バレンタイン レイバージョン
レイバージョンです。
話が割と長くなってしまった……。
レイから車で来ると連絡が来ていたのでスズエは校門前でスマホをいじっていると、男子生徒がコソコソと何かささやいていた。
「森岡、どうしたんだろうな……?」
「誰待ってんだろ……」
「今日、バレンタインだもんな……」
「もしかして彼氏?美人だし、他校の男子生徒もあり得そうだもんな……」
そんなことなど知らず、スズエはまだかなーと暇つぶしをしていると目の前に不良っぽい見た目の男子が出てきた。
「森岡、誰待ってんの?」
「……?君には関係ないよね」
「えー?俺が一緒に待ってあげるって言ってるのにー」
「別に頼んでない。早く帰って」
「いいじゃんか、つれないなー」
その男子がスズエに触れようとするが、その前に手首を掴まれる。
「ごめんね、その子、俺を待っててくれたんだ」
レイだ。しかも心なしか殺気を放っている。
「なんだ?この男……」
「私の彼氏だけど」
スズエの言葉にレイが一瞬驚いた表情を浮かべるが、すぐに「うん、だから絡まないでくれないかな?」と笑う。どうやら意図が分かったらしい。
唖然としている周囲を放っておいて、スズエはレイと一緒に車まで向かう。
「いつもあんな感じなの?」
車に乗ったレイが尋ねてくる。スズエは「いつもは絡まれないんですけどね……」と苦笑いを浮かべた。
「でも、乗ってくれて助かりました」
「ううん、大丈夫だよ」
ニコッと、レイが笑う。
「むしろ、あんなふうに言ってくれてうれしいよ」
「え……?」
「だって、俺スズエが好きだし」
さりげなく告白されて、スズエは頬を赤く染める。
「あ、あの、その……」
「うん?」
「こ、これ……」
スズエが紙袋を渡す。それを受け取り、「これが返事だって思っていいのかな?」と微笑んだ。
「は、はい……」
「……そっか。うれしいよ」
同じく頬を染めながら、レイはスズエの頭を撫でた。