バレンタイン シンヤバージョン
シンヤバージョンです。
意外かもしれませんが、作者はシンヤも案外好きです。
「やぁ、シンヤ」
スズエが研究所に向かうと、シンヤが立っていた。
「おう、スズエ。学校から戻ってきたんだな」
「あぁ、本来なら休みのハズなんだけどな……」
はぁ……とため息をつくスズエにシンヤは笑いかける。
「でも、高校って楽しいところなんだろ?」
「まぁ、そうだけどな」
シンヤは学校生活というものを知らない。だから話を聞いたり、本で読んだりしてイメージするしか出来ないのだ。
「…………」
「どうした?」
「ちょっと来い」
突然スズエに手を引かれ、シンヤは驚きながら躓かないように体勢を整える。
連れてこられたのは所長室。そのロッカーには制服が入っていた。
「これ、着てみろ」
「は、はぁ……」
突然のことに疑問符を浮かびながらも、シンヤはそれを着る。それはスズエの高校と同じ木野山高校の男子制服だった。
「おー、似合ってるぞ。どうだ?」
「……案外いい、かもしれない」
シンヤの言葉に満足そうにしたスズエは、不意に紙袋をシンヤの前に出す。
「なんだこれ?」
「さぁ?なんだろうな?」
耳まで赤くなりながら目をそらすスズエに首を傾げ、中身を見る。そこには箱とチョコが入っていた。
「……あー、なるほどなぁ」
「これ以上言うな」
ニヤニヤしながらスズエを見ているシンヤを部屋に置いて、スズエは仕事にとりかかった。