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バレンタイン タカシバージョン
タカシさんバージョンです。
彼は鈍感そう……。
「あ、タカシさん」
学校から帰ってきた後、既に駅前で待ってくれていたタカシに声をかける。
「おう、スズエ。お前から遊びに誘ってくれるとは思ってなかったな」
「まぁ、今日は、ね……」
なんとなーく、彼は今日が何の日か忘れている気がしていた。案の定、彼は疑問符を浮かべながら「どこに行くんだ?」とスズエの手を握った。
「さっきから様子がおかしいが、どうしたんだ?」
「……えっと……本当に分かりません?」
「……?確かに、今日はやけにチョコとかもらったが……」
そこまで言って、タカシはようやく気付く。
「あー……」
「……こんの鈍感……」
二人して顔が赤くなる。スズエはスッと紙袋を彼の前に出す。
「これ、その……」
「あ、ありがとう……」
受け取り、しばらくしてその意味が分かったタカシはスズエの方を見る。
「これって……」
「さぁー!帰りましょー!」
あくまで顔を合わせないスズエに、タカシは微笑みながら隣に立った。