バレンタイン ケイバージョン
そのままです。
こんな感じで何人か本命チョコを渡していく物語を投稿します。
「やっほ、スズちゃん」
バレンタイン当日の放課後、ケイが学校近くまで迎えに来ていた。
「あれ?私、頼みました?」
「いや、俺が勝手に来ただけだよー」
なるほど、道理で記憶がないわけだ。
来てくれたのに乗らないわけにもいかず、スズエは助手席に座る。
「えっと……何か用事があるから来たんですよね?」
尋ねると、ケイは「そうだねー」と笑いかける。
「エレンには睨まれたけどねー」
「何やったんですか……」
「何もやってないよー」
本当に君のお兄さんは過保護なんだからー、なんて聞きながらついた場所は人気の少ない公園。
「……あ、あの」
スズエが薄く頬を染めながらケイを呼ぶ。
「どうしたのー?」
「こ、これ……バレンタインの……」
スズエは学校にまで持って行っていた紙袋を渡す。彼に気付かれるわけにいかないと持って行っていたのだ。
「これは……そう言うことだって思っていいのかなー?」
「か、勝手にしてください」
一切顔を合わさないスズエにケイは笑う。そして無理やり顔を合わせた。
「ありがとう、スズエ」
突然の呼び捨てに、スズエの顔がゆでだこのように真っ赤になった。