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孤独な夢
スズエが見ていた夢です。
本編にもちょくちょく出ていましたね。
夢を見る。
皆が笑っている夢。
私はそれを遠くから見ているの。でも、やがて自分はそこにいてはいけないんだって思った。
だって、私、シルヤが無事なら他の人達は犠牲になってもいいなんて、最低なことをどこかで思っていたんだから。そんなの、許されないでしょ?
でも、結局私だけが生き残った。罪深い私だけが、まだ生きていた。
ごめんね。
そう思いながら、私は背を向ける。そのまま一歩、また一歩と赤く燃え盛る炎のところまで踏み出していく。その先は地獄だと知りながら。
「スズ姉」
だけど、不意に手首を掴まれて私は振り返った。そこには笑顔のシルヤと兄さんが立っていた。
「混ざろうぜ」
「そうですよ。皆、待っているんですから」
二人は私を責めることなんてせず、ただ私を皆の輪の中に入れた。
私ね、分かってるよ。
これはただの夢で、現実じゃないって。
あぁ、本当に……なんて優しくて温かくて、悲しくて残酷な夢なんだろう。