表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

始まり

「始祖の魔導書」などの方の更新が遅くてごめんなさい。

 これを繋ぎにでも読んで下さるとありがたいです。

「ーー! ーーー、ーー!」

 

「うるさいなぁ……、もう」

 階下の騒ぎ声で目が覚めた。

 枕元の時計を見る。

 まだ6時だ。

「あああ……」

 もったいない。

 まだ寝れたはずなのに。

 だが、二度寝するにはもう目が覚めすぎていた。

「起きるか」

 早起きは三文の徳って言うし。

 気が変わらないうちにベッドから出て、リビングへ向かう。

 

 階段を降りたところで変なものを見た。


「……さあ開け! 世界を閲覧する瞳よ!」

 

 キラーン! 

 

 健の目が光る。

 比喩ではなく、本当に。


 え?


思わず固まってしまう。


そこで、変なポーズをしながら変なことを叫んでいたのは……父、健だった。


 もう一度言おう。


 え?


「な、何やってんの?」

「フッ、愚問だな。鍵を探しているに決まっているだろう?」


 え?

 誰これ。


「っと、そこか。ふっ、我が瞳から逃れられるものなど存在しない」


 寝ぼけた頭が段々と覚醒していく。

 これは……。


「厨二病!?」

「な、何を失礼なっ! しっかりと具現化してるんだから厨二病じゃないしっ」

「さいですか」


「では、行ってくる」

「いってらっしゃい」


 ドアを開け、外へ出て行った。


 しばらくして、車のエンジンがかかる音がし、それも段々と遠のいて行った。


「何だったんだ? アレ」

 僕は、早朝から起こった珍事にしばらく唖然としていた。


 まぁいいや。

 見なかったことにしよう。そうしよう。

 ご飯食べよう。


「おはよう」

「おはよう、顕」


「いただきます」


「そういや、父さん今日も早かったね」

「あー、そうね。なんか最近会社忙しいみたい」

 母が台所の片付けをしながら答える。

「ふぅん」

 それであの奇行か。ストレスでも溜まっていたのかもしれない。

 今度から少し優しく接そうか。

 

『おはようございます。本日最新のニュースをお伝えします。

 昨日、第37回具現化技術全国競技会予選第一試合が行われーー』


 つけっぱなしになっているテレビが今日のニュースを垂れ流す。

 どっかで何かの大会が開かれたとかいう、特筆することもないありふれた情報だ。

「ごちそうさまでした」


「机、拭いてよ?」

 台所の片付けが終わり、僕に遅れて朝を食べ始めた母が口うるさく言う。

「わかってる」

 でも、まずは皿を洗わないと。

 

 うちの台所は、アイランドキッチンとかそんな大層なものではない。築50年の家に相応しい、古くて小さな台所だ。母は常々この台所の狭さに文句を言っている。


 スポンジに洗剤をかけ、握って泡立ててから皿を擦る。白い泡がプラスチック製のプレートを覆っていく。

 箸も洗ったところで、蛇口を開けて水を流す。ここはささっと終わらせる。そうしないと、また母に小うるさく文句を言われるのだ。

 軽く水を切り、網に立てかけて置く。


 さて、出る時間まではまだ時間がある。何をしようか……。

 

「机!」


 母の鋭い声が飛んできた。

「分かってるって!」

 嘘だ。忘れていた。

 渋々と台拭きを水で濡らし、絞る。

 この台拭きは、なんだかヌメヌメしているのであまり好きではない。

「うぇぇ……」

 まだ手にぬめりが残っている気がするので、念入りに手を洗う。

 まだ時間もあるし、さっさと部屋に行ってゲームでもしよう。

「お弁当、置いとくからね」

「うん」



ーーピピピッ、ピピピッ、ピピーー


 かけておいたタイマーが電子音を響かせる。

 学校に行く時間だ。

 イベントの途中でセーブができないので、仕方なくフタを閉じてスリープ状態にしておく。


 寝転がっていたベッドから出て、部屋着を脱ぎ捨て、高校の制服に着替える。

 ブレザータイプの制服だ。

 高校に入ってすぐの頃は母にネクタイを結んでもらっていたものだが、今は自分でできるようになった。

 クローゼットの鏡で、ネクタイが曲がっていないかを確かめる。

「よし」

 さ、行こう。

 リュックサックを背負い、机の上にあるスマホを引っ掴んで部屋を出る。


 階段を降りると、母がテレビを見ていた。

 

「行ってきます」

 と、軽く挨拶をし、ダイニングテーブルの上にあった弁当箱を持って、外へと向かう。


「あら、今日は早いのね。いってらっしゃい」


 母の呑気な声を背に、玄関の外へと出た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ