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女神の雫〜ルタルニア編〜  作者: 山本 美優
少年、少女 それぞれの理由
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第十三話 約束1

 レイリア達の住まうルタルニア王国があるフロディア大陸は、女神フロディアにより創られし大陸と伝えられており、現在は六つの国が存在する。


 大陸南西にあり、現在では大陸一の強国と呼ばれる『ルタルニア王国』。


 大陸北方にあり、大統領制の科学立国である『リオラ国』。


 大陸西方にある、かつての覇権国家『グランシア王国』。


 大陸中央部に存在する魔法国家であり、大陸の国家群の中で最も古い歴史を持つ『聖王国センティアナ』。


 三十年ほど前に近隣の小国を武力でまとめ上げ建国された、大陸東方の軍事国家『リガルム帝国』。


 そして、リガルム帝国より南東の半島に位置するのが、大陸に住まう人々の殆どが信仰する『フロディア教』の総本山、宗教国家『トランセア』だ。


 ルタルニア王国は約八十年前にグランシア王国より独立した国だ。


 そのため、国王を頂点とした王政を敷いているルタルニア王国の国家制度は、グランシア王国と似通っていた。


 身分制度に関しては、グランシア同様、国王の下に貴族と呼ばれる支配階級と、非支配階級である平民とが存在していた。


 貴族には王族である『公爵』、建国時に多大なる功績を挙げた者の末裔である『侯爵』、建国時に功績を挙げた者の末裔、若しくは、子爵であった者が優れた功績を認められた事で陞爵しょうしゃくした『伯爵』、建国の後に優れた功績を挙げた者、若しくはその末裔である『子爵』、建国の後に功績を挙げた者である『男爵』とに分かれていた。


 また、王国全ては国王のものであるという原理原則から、子爵位までの者には国王より国土の一部が貸与され、その地の統治を国王よりゆだねられていた。


 国王より貸し与えられた土地の統治者となった領主は、王国法に抵触しない限り、独自の司法、立法、行政権が認められていた。


 この様な身分制度が敷かれている中で、公爵家の次に位置する侯爵家の娘として生まれたのがレイリアだった。


 レイリアの生家であるゼピス家は、遥か昔より強大な魔力を持つ一族で、現在でも風の魔法にいては大陸一とさえ言われている。


 そのため、ゼピス家がグランシア王国に仕えていた時代には、ゼピス家は『グランシアの守護者』とさえうたわれ、現ルタルニア王国の一番北に位置する広大な土地を治めていた。


 ところが、八十年程前のゼピス家当主であったジリス=ゼピスが、ルタルニア王国の初代国王となる当時のグランシア王国第三王子イルレーゼウと共に圧制を敷いたグランシア王へと反旗をひるがえした結果、グランシア王国の約南半分にルタルニア王国が建国された。


 この功績により、ジリスはルタルニア王国の侯爵にじょされた上、以前と同じ地域を治める事を認められた。


 また、この様な理由でゼピス家がおさめる領地は現グランシア王国との国境沿いとなり、ゼピス家はグランシア王国から国を守る『ルタルニアの守護者』と呼ばれるようになった。


 そして、この戦争の際してイルレーゼウやジリスと共に戦線を支えた五人の仲間達も、ジリスと共に侯爵へと叙された。


 このため、ルタルニア王国には建国時より六つの侯爵家が存在し、人々はそれらの家々をまとめて六侯家ろっこうけと呼ぶようになった。


 更に、六侯家の治める地域はその名を六侯家の家名と同じか、その家名に準じる地域名へと変更された。


 そのゼピス地方を治める現ゼピス侯爵家の当主が、レイリアとカイの父、ファウス=ゼピスだ。 


 そのファウスもまた、風の魔法を得意とした強大な魔力の持ち主であった。


 そのため、ファウスはルタルニア王国内の魔術士の頂点とも言うべき、王国筆頭魔導士の称号を得ていた。


 一方、レイリア達の母シェリアは、レイリアが六歳の頃、流行り病で亡くなった。


 その後、ファウスには幾度も再婚の話があったのだが、隣国センティアナの王族の一つ、西さい家の出身であったシェリアと駆け落ちまでして結ばれたファウスは、後妻をめとる事を拒み続けていた。


 シェリアが亡くなってからのちは、父方の祖母であるレイラが母代わりとしてレイリアとカイの面倒を見ていたが、レイリアが七歳の時にさらわれた、いわゆる『ゼピス侯爵令嬢誘拐事件』をきっかけに、レイラは領地へと戻った。


 それからのレイラは、秋、冬、春は主に領地にて過ごし、夏は避暑のため、ゼピス領の南に隣接するグレナ領にある温泉と芸術で有名な山間の街、グレイベラにて過ごす事が多くなった。


 こうして、王都リシュラスのゼピス邸では、父のファウス、兄のカイ、そしてレイリアの親子三人での暮らしが始まった。

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