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T  作者: 水面
18/22

迷路。

いったい何回電話したやろ。


本当は、この日は移動日だったけど、

急に思い立ち、俺だけ無理を言って、

東京に一旦帰らしてもらった。

とにかく無性にあなたに逢いたかった。


やっと通じた携帯から聞こえてくるあなたの声。


どうしたの?


今、東京。少しでも逢いたい。


私は用事で銀座に居るの。


分かった。迎えに行くから。



銀座か…、弁護士のところなんや。

先日の3人でのホテルの話し合いで埒があかなかったので、Tは正式に弁護士を雇った。


何となく疲れた声をしてたけど、

大丈夫なんやろか。心配や…。

あなたを銀座の路地で拾って、

俺は聞いた。


弁護士さんのとこ?


うん。あちらの弁護士さんと私たち4人で…。


どうやった?

まだ別れてくれへんて?

顔色悪いで。どこかで休んでいく?


ごめんなさい。そういう気分じゃないの。


違うて。ほんまに顔色悪いで…。


疲れたの。すこし、目を瞑っていたいんだけど、

このまま、車を走らせていてくれる?



このまま、あなたを連れて

どこかへ行ってしまいたかったけど、

そういう訳にもいかず、

あなたを乗せて、無言のまま、

渋谷近辺をぐるぐると走った。

迷路に迷い込んだような今の俺たちの状態を

表しているようだった。




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