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異端、騎士を目指す  作者: 柳瀬 ルカ
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決闘大会 3 ルーカス

 その日クシェルは、教室に戻ってこなかった。

 結局俺は自分のせいだと説明することはせず、具合が悪いと言ってその後すぐに早退した。

 クシェルの振る舞いを無駄にしたくなった。

 いや、本当は勇気がなかっただけかもしれない。


 一刻も早くエリアスに相談したかった。

 門を出ると無心で走り出した。

 

 ようやく家に着いたが、エリアスはいなかった。

 いつもと違う午後の空気。

 昼の貧民街に仕事はなく、人もいないためとても静かだ。


 エリアスだって授業があって、まだ帰らないことに少したってから気づいた。

 なんとなく力が抜けて玄関に座りこんだ。

 少し前までエリアスと一緒にいるのが当たり前だったが、今は違う。

 それぞれの共有しない時間ができた。


 頼りっぱなしは良くないよな。

 俺のためにもエリアスのためにも。

 床に転がり天井を見つめながらそう思った。




「おーい、兄さん?」

 ー安心する声だなー

「ルーカスったら!!」


 俺はハッとする。

 玄関でそのまま寝てしまっていたみたいだ。

「もう、死んでるかと思った。」

 エリアスが上着を脱ぎながら言う。


 まだ覚醒しない頭でその姿を見る。

 俺はお昼に帰ってきて、今は七時。

 どう考えても寝すぎた。


「なにかあったの?」

 俺は答えに詰まる。

 そう、いろいろあったんだ。

 ファルコが俺のために怒ってくれたこと。

 クシェルが俺のために汚れ役を買って出てくれたこと。

 話してしまいたかった。


 けれど、今回は頼らないって決めたんだ。


 いつも気づいてくれるエリアス。

 エリアスは俺を兄さんと呼んでくれてるけれど、実際兄らしいことは何もできてない。

 

「何でもないよ。」

 俺の言葉に手を止め顔を上げた。

 数秒間こちらを見たが、エリアスはそれ以上何があったか聞き出そうとはしなかった。 


 少し経ってからエリアスは呟いた。

「大丈夫だよ、兄さん。きっと、ファルコともクシェルともうまく行く。」

 その表情は俺の知らないもので、少し怖かった。


 いや、気のせいだったかもしれない。

 次の瞬間にはいつもの笑顔を浮かべていたから。


「ありがとう。」

 俺の弟でいてくれて。

 今日の投稿分で何らかの評価をしてくださる方がいたら、私のほうが驚いて白目を剥くことになるでしょう。

 あり得ませんけど(笑)


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