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異端、騎士を目指す  作者: 柳瀬 ルカ
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王国パレード 1 エリアス

覗いてくださりありがとうございます。

「うおっ、すげー!!」

 俺は人混みの中をぴょんとぴょんと飛び上がりながら沿道を見る。

 ここ、ユクリウス王国のお姫様の誕生日パレードには多くの観衆が詰めかけていた。

 見渡す限り人。人。人。

 まだ2月だというのに観衆の熱気は凄まじかった。


 この国では男系相続が基本だが、今の国王夫妻に王子はいないとか。

 つまり、今からくるお姫様が次の国王と言われている。


 ただ、そんなことはどうでもいい。

 俺が気になるのは、どんな女の子か。

 噂によるとかなりの美少女らしい。


 歓声が一際大きくなった。

 先頭の騎士のパレードに続き、きらびやかに装飾が施された馬車がやって来るのが見えた。

 

 その馬車の中から手を振るお姫様を見て息を呑む。

 数々の宝石を見にまとったお姫様は噂以上の美しさだ。

 今まで言葉巧みに数々の女性を口説いてきた俺が表現できないほどに。


 美しい女性は正義だ。

 その美しさをもう一度楽しもうと再度その姿を思い浮かべようとする。

「あれ??」

 何度試みても思い出せないけど、俺が女の子の顔を覚えられないなんてありえない。

「認識を妨害する能力……?」

 俺は周りを探った。


 ああ、いい忘れてた。

 俺はエリアス。名字は捨てた。

 そして、主に心理系、物理系、時空系の3つに別れる能力のうち、心理系の能力者だ。

 “探った”というのは読心のこと。

 「読む」と書くけど実際は「聴こえる」ものだ。


 その力を使って周囲の人の心を探っているけど、周囲の人は認識が阻害されてることへの違和感すら感じてないみたいだ。

 つまり、かなり高度な術だ。

 というか、能力では無理だと思う。


「となると、魔法だな。」

 貴族に門外不出で伝わる魔法にならできるかもしれない。


 能力解除を忘れていたら汚い声も聞こえてきた。

「次の国王は女か。」「はっ。何もできないだろ。」「お飾りさ。」


 女の子への軽はずみな思考に苛立つのを抑えて、聴きたくない言葉に能力を解除しようとした時、

「殺してやる。」

 と物騒な声が聞こえてきた。

 いや、多分実際の声じゃなくて心の中の方だ。

 読心の対象にしてなくても強い感情は聴こえることがある。

 そして、概して正の感情より負の感情のほうが強い。


「ちっ。気持ち悪い。うるさい。」

 さっきから流れ込む感情は耳障りなものだったが、最後のはとても耐えられるものではない。


「誰を殺すんだよ。姫様を狙ってるのか?」

 ほとんど吐きそうな顔でさっと周囲を見渡すと、ちょうど黒ずくめの大きい男が馬車に向かって飛び出すところだった。

 多分あいつが声の主だ。


 俺も即座に飛び出したが、実は運動神経は悪い。

 足を一歩踏み出した時には、男は数歩先にいた。

 間にあわない、全く。

 

 けれど同時に動けたのは俺だけじゃなかった。


 馬車の近くから迎え撃つようにツインテールの少女が人混みを跳躍し、男をメインストリートから弾き出した。

 俺は踏み出していた二歩目の足をそのままに、口をぽっかり開けて男が飛んでいった方を見る。


 裏路地の方で派手に土煙が上がった。

 衝撃音はちょうど上がったパレードの花火がかき消した。

 気づいたものはほとんどいなかっただろうし、気づいた者も演出だと思っただろう。

 騎士たちも何事もなかったように振舞っていたから。

 

 けれども、直前に殺意を察知していた俺にはわかった。

 今の一瞬に命のやり取りがあったことを。

「なんだあれ。」

 体の小さな少女の、一体どこにあんな力があるんだ。


 少女のあり得ない怪力と、一瞬見えたかわいらしい顔立ちが頭から離れなかった。


わかりやすさのために部分を分けサブタイトルを変更しました。

混乱された方がいたら申し訳ございません。

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