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一目惚れと言う名の面接

ここは三重県某所にある、某イタリアンカフェ「グラッチェ」。

春の桜が満開の頃、ある男が面接に訪れた。

男の名前は蓮見 司。

愛知県の大学に通う二十歳の青年だ。

お小遣い稼ぎにと、バイトを始めようとした矢先に、ちょうどここの募集を見た。

面接の電話をした時は、店長を名乗るぶっきらぼうな男が出た。

そして、その電話から三日後の今日十六時から面接となった。


「恐い店長さんだったらどうしようなぁ。」


そんな事を考えつつ、店内へ入った。

正直、ここへ来たのは初めてで、雰囲気はおろか、メニューすら知らない。

店に着いたのが約束の十六時より十分ほど早かった為、店内をぐるりと見回して観察してみる。

お客さんはこの平日の夕方にしては多い気がした。

決して大型店舗とは言えないが、それでも三十席以上はある。

あんまり突っ立ってるのも怪しいので、ホールにいた主婦さんらしき女性に声をかける。

「すいません、十六時から面接の蓮見ですが、担当者様はいらっしゃいますでしょうか?」

「あぁ!面接の子だね!

すぐに呼んでくるから、そこの奥の席で待っててくれる?」

言われて通されたのは最奥のボックス席。

すぐに、と言われたので、蓮見は履歴書と筆記用具を取り出した。

それと時同じくして一人の女性が現れた。

キッチンに居たのか、白い調理服を身に纏っていた。

「待たせて悪いね。私はここのサブ、本条です。

早速だけど、履歴書もらおうか。」

蓮見は胸が苦しくなった。ドキドキする。

決して心臓が弱いわけでも、動悸とかいうものではない。

それは、蓮見が一番分かっていた。

一目惚れで初恋をしてしまったのだ。

一目見ただけで心奪われた、清楚系美人。

そろそろと履歴書を渡す。もちろん手は震えている。

履歴書を受け取る手もしなやかで白い。

指も細くて長く、繊細さがこれでもかと言うくらい表現されている。

本条は履歴書を一通り見終えると、顔を上げる。

「…バイトは初めてなんだね。

ウチはホールとキッチンに分かれるんだけど、希望ある?」

蓮見は迷ったが、ここはどうしても受かりたくなった。

故に希望云々は後回しだ。

「希望は特にはありません、働かせて頂ければ!」

すると本条はきょとんとした顔になった。

「へぇ、てっきりただの小遣い稼ぎかと思ったけど、勘違いか。まぁ、いいや。

人が足りないのは事実だし、私の権限で採用するよ。」

蓮見が天にも昇る気がしたのは、気のせいではないだろう。


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