4話 仕組まれた入学試験 ③
こんばんは きいです
前回のあとがきにあった“帝国軍”というのは、今の日本軍のことです、説明不足ですいません
それと今回は、一つお知らせがあります
今週はいつもより時間に余裕があるので、来週の水曜日までにもう一本出せるかもしれません
そしてこの前書きですが、こんな感じで、前回のあとがきに関する付け足しや訂正とお知らせが、あればその都度書いていくスペースにしようと思います
それでは、どうぞ
「…僕は…生まれつき心臓に…不治の病を患っているんです…」
「「えっ!」」
幻舞が聞いたのは、正面にいる楓と後ろのほうからの楓とは異なる二種類の驚きの声だった
「誰だっ!」(まずい、どこから聞かれてたんだ?)
「あんた…それは本当なの?」
「…あぁ本当だが、それよりもどこから聞いてた!」ギロッ
「っ!ごめんね盗み聞きしちゃって、聞いてたのは丁度会長がモジモジしてたとこからだよ」
「ちょっと!それは忘れてよ!えーと…そういえば名前を聞いてなかったわね、私は知ってると思うけど一応、鳳 楓よ!あなたは?」
「はい、私は風早 千鹿と言います!」
「風早 千鹿ってあの鏡写しの剣士?」
「まあ、世間からはそう呼ばれています」
「ミラージシュバリエって去年の剣術大会の時の?」
「そうよ、その決勝であんたにボロボロに負けたのは私よ…」
「だから今日はチャンスだと思ったの!強くなった私を見せつけて、今度こそは負かしてやると思ったの!でも…さっきの試合見せられちゃったら足が震えて動かなくってね…」ハハッ
「千鹿ちゃん、あなたの感じた恐怖だけど、体育館にいた人達全員が感じたと思うわ、私を含めてね…でも、今は感じる?」
千鹿が俯いたまま無言で首を横に振ると、それに合わせて楓は続けた
「なら落ち着いて聞けるわね?彼の話」
それに対して千鹿は、今度は顔を上げてウンと首を縦に振った
「じゃあちょっと待っててくれる?」
『ねえ幻舞君、あのことっていうのがさっき言ってた病気のことならもう耳に魔法を使うのはやめてね?』
「いえ、会長にお手数をかけてしまうことを考えれば、全然構いまs
「お願いだからやめて!」ポロポロ
言葉を遮られた幻舞は、初めて見た楓の姿に、表には出さなかったが内心すごく驚いていた…今まで不敵な笑みを浮かべて静かに怒りを露わにしていた楓が、大声を上げて怒る姿に
「会長…分かりました、だから涙を拭いてください」(会長のためにも、耳の方に回せるだけの魔力もつけないとな…<魔法破棄>解除、……固有魔法阻害より、<進行制御>)
『…ごめんね、急に泣いちゃって』ズー
「いえ、こちらこそすいません」
『それで耳のことなんだけど、千鹿ちゃんに教えてもいい?』
「別の構いませんが、どこまでかによりますね」
『耳が聞こえないってことだけだよ、でもいつか、千鹿ちゃんだけに限らないけど気の許せる人ができたら、ちゃんと教えてあげてね
それと、気の許せる人私に紹介してね!』
「なんで紹介!?」
「し・て・ねー」ムー
「はぁ、分かりました、でも、僕は秘密主義なので、いくら気が許せるといっても情報を与えることはできませんね!」
『あのねー、気が許せるってことは“仲間”なのよ?』
「仲間……?ふっ、俺にはもう仲間なんていませんよ!それにこれから先もいりません」
「それってどういうk、っ!」ゾクッ
(すごい殺気、さっき聞いた以外にもまだとんでもない過去があるっていうの?ちゃんと聞いてあげたいけどごめんね…あなたのことを少しでも恐れてしまう今の私には、とてもじゃないけど聞けそうにないわ…)
『わかったわ、でも、私にはちゃんと報告すること!じゃあちょっと待ってて』
「おまたせ、千鹿ちゃん!幻舞君には許可をもらったから話すね…さっきの私と彼のやりとりを見てたからわかるかもしれないけど、彼は耳が聞こえないの、だから話すときはノートを使ってね」
「はい、そんな予感はしてました、でもそうだとしたら、引っかかることがあるんですけど、さっきの試合で目を閉じたまま後ろからの攻撃を避けたのは一体どうやったんですか?私は、去年同じことをされてるんですが、とてもまぐれとは思えないんですよ!
ー1年前全国武術大会(剣の部)決勝ー
(…そんなにざわついたら、相手の選手が)チラッ
「っ!」ビクッ
(な、何なの、この異様なプレッシャーは!…こんな研ぎ澄まされたのは、お父さんからでさえ感じたことなんてなかったのに…こいつ一体何者なの?)ブルブル
『let's strike on』フォーン
(はっ、まずい試合に集中しなきゃ!でも、足が…相手は?って、えっ!こんな隙だらけの相手に、突っ込まずに待ち構えてるの?これじゃあ私の魔法は使えない)
「しょうがない、こうなったらこっちから仕掛けて、無理やり魔法を使える状況をつくってやる!」パンッ
ミラージシュバリエは頬を叩き喝を入れ、幻舞に向かって中学生とは思えない速さで突っ込んで行った
「やー」タッタッタッタッ スカッ
(まぁ、一発目があたるほど甘い相手じゃないことはわかってるよ!)スカッ スカッ
(それでも、はぁ、はぁ、剣を一回も使わせれないほどの実力差があるなんて、はぁ、これじゃあ、はぁ、“略奪”どころじゃない…こうなったら、ごめんね風早家)
「風属性変化形魔法<気流操作>風早流固有魔法無抗より、<風に乗る身体>合技、魔法剣術<止まない剣の嵐>」
「いつまでこれをかわしていられるかな…早く剣を使いなさいよ!」スカッ スカッ
幻舞は、このままの反応速度だといつかは攻撃を受けると悟り、攻撃をかわしながら目をつぶった
「なっ!この状況で目をつぶるなんて、バカにするのもいい加減にしなさいよ!」キーン
「ふん、そんなことしてるから余裕がなくなるのよ!」スカッ キーン
そのあと、剣が空を切る音と、たまに鳴るキーンという剣と刀がぶつかる音だけが数十分間体育館中に響き渡ったが、それ以外の音は一切しなかった、観客の声も、ユニフォームを切る音さえも…
結局私の体力が尽きるまで一発も当てることができなかったんです、今日のような一発や二発どころじゃない数をですよ?あれは絶対にたまたまなんかじゃないです!会長は何か知ってるんですか?」
「月島家はね、もともと索敵能力に長けた一族なの、だから索敵に関係した術に必要な行為だと思うんだけど、詳しくはわからないわ(これくらいはいいよね?)じゃあ、そろそろさっき言ってた不治の病について聞いてもいい?それと、千鹿ちゃんは帰ってもいいけどどうする?聞く?」
「聞くに決まってます!こいつの弱みを握れるチャンスですからね」ニコッ
「ははっ、そういう理由なのね…まあわかったわ、でも覚悟はしておいたほうがいいかもしれないわよ!」
そう言われて、ヘラヘラしていた千鹿の顔は一瞬にして真面目な顔に変わった
「分かってます」ゴクッ!
『おまたせ幻舞君、さっそくだけど、さっき言ってたことについて詳しく話してくれる?私と…千鹿ちゃんに』
「会長には構いませんがそっちのひとは…」
「ん?どうかした?」ニコッ
「はぁ、なんか慣れてきた自分が怖いです…じゃあ話しますがその前に、風早さんに僕の固有魔法について話したほうが話がしやすいんですが、俺の固有魔法も含めてこれから話すことを全て秘密にすることができますか?」
「 」ウンウン
「もしできなかった場合は、それ相応の罰が下ることを覚悟しておいてくださいね」
「っ!」ビクッ
「そんなマジな目でそんなこと言う人に歯向かえるわけないじゃない!」ボソッ
「あはは」
「じゃあ僕の魔法から…僕の固有魔法は“阻害”と言い、僕は今のところ、魔法の発動または、すでに発動されてる魔法に対する妨害までしかできませんが…ってすいません、話が少し逸れてしまいましたね、つまり、この魔法をさっき言った病の進行に対して使うことで、魔法を使ってる間は、病が進行することは絶対にありません!(まぁ、体に異常が出ることはあるんだけどね)でも、あなたも魔法闘士なのでわかると思いますが、ずっと魔法を使っていれば魔力欠乏によって倒れてしまいます、なので、寝てるときは魔法を解くためその間はどうしても病に侵食されます、そしていつかは…死にます…」
「「っ!そんな…」」
言った本人は二人の反応を窺うように、そんな二人はあまりの衝撃のあまり、黙り込み、少しの間静寂なときが流れたが、そんな空気を切るようにペンを手にしたのは千鹿だった!
『一つ聞きたいことがあったんだけど、去年戦ったときに攻めてこなかったのはなんで?体に気を使ったの?失礼だけど、あんたはそんなやつには見えないんだけど』
「それは、風早一族のものではないあなたの固有魔法が、どこまで相手のことをみれるのかわからなかったので、僕のことを知られないようにしただけです」
「はぁ、病気の方に魔力を回してあの強さなのか…それに、私が鏡写しの剣士って言われてるのが“略奪”のおかげっていうことを、たかが数試合観ただけでに見破るなんて…」
「しょうがないわよ千鹿ちゃん、この子の頭どうかしてるから…戦闘面もあんななのに頭まで切れるなんて、もし神様がいるなら一言ぐらい文句言いたいわ!」プク
「あのーお二人さん、何を話してるんですか?」
「おっと」『なんでもないよ!それより続き聞かせて』ニコッ
「はぁ」ヤレヤレ
「 」フー
幻舞のため息と同時に二人はまじめな顔に戻り、再び三人の間に重苦しい空気が流れた
「母親が倒れたときに、僕はこの病気のことについて知らされました、今となって思えば、もう長くはないと自覚していたから、『死ぬ前に言っておくべき』と思ったのかもしれません、そのときに知らされたのは、この病気が心臓にあること、一生治らないこと、生まれつきあったこと、そして…生きれて9歳までだと言うことです」
「えっでも、まだ生きてるってことは…ぜんぜん…」
『9歳までしか生きられないって言われているのに、どうして生きてるの?』
あまりの寿命の短さに冷静さを失った千鹿とは反対に、楓は落ち着いたままだった、というより、動揺を一生懸命隠していた
「さっきこの病気に魔法を使ってると言ったのが、その答えです」
『じゃあこのままだとあと何年生きられるの?完全には…進行を止めれてるわけじゃ…ないって…言ってたやつの…ことでしょ?』グスグス
とうとう、楓も動揺を隠すことができなくなった、茫然と立ち尽くしている千鹿に対して楓は、涙を止めれずにいた
「僕が病気に対してこの魔法を使えるようになったのが発現してから一年後、6歳のときです、そして睡眠時間の6時間しか魔法を解いてないので、6歳からあと十二年後の18歳までです、さっきみたいな例外があれば寿命はそれに比例して短くなっていきますが…」
「ごめんね…」『ごめんね、あなたの貴重な寿命をあんなふうに使ってしまって…』シュン
「大丈夫ですよ、会長が僕にあんなことさせたのも、なぜ不利な条件をたたきつけられてまで僕のことを知りたがったのかも、大体わかってますから!」
会長のためならと言おうとした幻舞だったが、さっきの光景を思い出し、それのことを口に出すのをやめた
『ちょっとわかり易すぎたかな?』アハハ
『ちなみにどこら辺で気づいたの?』
「確信したのはさっきですが、勘付いたのは、あなたが、僕をわざと入試に間に合わせなかったことがわかったときなので、体育館に入ったときですね、ついでに言えば、そのときに一つと、一試合目が始まる前の会話からも一つ、わかりますよね?」
「えっ!」(そんな前から…それに、もう一つの試験の内容まで気づいてるなんて…)
「心配しなくても大丈夫ですよ、その話は僕としても都合がいいですし、そもそもそこまでわかってて、もう一度体育館に来てるんですから断りはしませんよ」
「そう、よかった」フー
『じゃあ、本題に入るね…
読んでいただきありがとうございます
今回から、ナレーションを乱用していこうと思います(会話文だけでは情景などが伝わりにくいため)が、前回言った相手の使う技など、主人公の頭脳を発揮できるところは、思う存分発揮してもらおうと思っているので、こちらから変えるつもりはありませんが、何か意見があったらその場合は別ですので、その点についてもコメントのほうをよろしくお願いします
さて、今回のこの作品について説明するコーナーですが、今回は、ミラージシュバリエこと、風早 千鹿について説明していこうと思います
固有魔法 :略奪 無抗(一族特有)
魔法属法 :風属性
得意魔法系統:付与系 治癒系
親 族 :月島広代が死んでから、“上位一族”になった
臨機応変に今まで“略奪”してきた剣術を用いて(相手が剣士ならその剣術も“略奪”し、
それも生かしながら)闘うことを得意とすることから“鏡写しの剣士”と呼ばれている
補 足 :中学時代1、2年で剣術大会で二年連続優勝を果たし剣では負け知らずだったが、
3年時に、決勝で幻舞に負けた
主人公もそうですが、前に説明したとおり得意の魔法系統は特訓次第で増やすことができるので、これから増えていくこともあり得ます、あと前回も言ったのですが、登場人物の説明は、今のところ言えるものでこれからのストーリーにかかわってくるから伏せているものもあるので、これがすべてではございません、ご理解のほどよろしくお願いします
これで
今回の説明をおわりにします
最後に、読んでいただきありがとうございます、あとがきは結構重要だと思うので、ここまで読んでいただき本当にありがとうございます、これからもあとがきはお見逃しなくお願いしたいです(前書きは私自身も薄っぺらいと思うので、読まなくても構いませんwまあ、読んでくれたらうれしいですが)
それでは、これからもこの作品の本編とあとがきと、ついでに前書きもよろしくお願いします