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ツカノマ  作者: 狼の皮を被った羊
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序章1

ある日、隕石がある国の実験室へ落ちた。隕石に着いていたウィルスにより実験室の放射能が変貌。風に乗り、世界中に散布された。白血病で死んだ人が五億人。被害は予想より遥かに少なかった。しかし、一部の人に変化が起きた。特異な力が使える人間が増えたのだ。その力は古来より人間の一部が使えた練気と言われる力に酷似しており、練気と名付けられた。そんな練気を使える人は練装者といわれ、彼らに一般的な銃弾も刃物も効かなかった。一部では核弾頭を喰らっても死なない者まで現れた。練装者となった彼らの中には、練気を犯罪のために使うものが現れた。殺人、窃盗、強姦。犯罪を実行するのが楽になったのだ。目には目を、歯に歯を。練装者には、練装者を。と言う事で、練装者で捜査官となった者を練査官と言った。

「ふぁぁぁふ。」

少年が欠伸をしている。少年の白髪が風になびく。遊園地のステージ前にあるベンチに暇そうにして座っている少年は少し浮いていた。子供から大人まで楽しそうにしている。此処はクレーンランド。よく花火をやっていたりもする。クレーン車が多すぎるのも特徴だ。

「あ!優亜、此処にいたんだ!」

「探したんだよ?」

少女二人組が少年の元に歩いてくる。一人は赤髪の活発そうな少女。もう一人は、水色の髪が目立つ少女である。

「あぁ、華恵と美香か…。」

「あぁ。じゃないわよ!もう少ししたらマムシレンジャーのショーがそこのステージで始まるのよ!?テンション上げてよね!」

(マムシレンジャーねぇ。あれって確か、五人組で、全員マッチョな覆面の男で、敵を毒殺する戦隊モノだったな。しかも全員が褌とローブ姿という変質者的な感じだったし。…何処が面白いんだ?)

少年が首を傾げる。

「まぁ、華恵ちゃん。優亜くんもショーが始まったらハイテンションになるかもよ?」

「そうよね!マムシレンジャーほどかっこいい戦隊なんてないもの!」

「違うよ!華恵ちゃん!かわいいの間違いだよ!」

(この二人の感性が理解できない。)

優亜は頭を抱えそうになった。

目の前ではショーの準備が終わりかかっていた。


ショーの開始前。優亜を挟むように美香と華恵が座る。ステージ前の客席にはそれなりに人がいた。皆(?)ショーの始まりを今か今かと待っているようだ。お姉さんがショーが開始の挨拶をして、黒い兎の怪人が現れ、マムシレンジャーが登場すると子どもたちははしゃぐ。いいや、子供だけではない。優亜の両隣の少女が各々「かっこいいー!」だの「かわいいー!」と叫ぶ。更に少し離れた先ではスーツに身を包んだ生真面目そうな男性でさえもハイテンションになっている。目の前では、相変わらずマムシスプラッシュやマムシ汁ブシャーといった技(毒をぶっかけるだけ)が炸裂していた。

ステージにはマムシレンジャーの五人と怪人とお姉さんの八人でぎゅうぎゅう詰めだ。

(ん?八人?)

と優亜が思ったとき。発砲音がステージの方から響いた。優亜がステージの方を見ると、お姉さんが倒れている。更に奥の方には一人の男が拳銃を片手に持って立っていた。ステージの床からゆっくりと血が流れ、ステージから観客席の前列の方へ流れた。

誰かが悲鳴を上げた。

子どもが泣いた。

耳鳴りが止まない。

頭が真っ白に

なっていく。

動かない、

体が。


耳鳴りが止んだ。


ふと優亜は我にかえり、美香と華恵の手を握りそこから逃げ始めた。客席から通路の方へ出て、走る。

バンッ。「ぐぁっ!」

発砲音とともに、誰かが苦痛の声上げた。そちらを一瞬見ると、血溜まりが広がりつつあった。そこえ、拳銃を持った男が近づき、ナイフらしき刃物でとどめを刺す。

「きゃぁぁぁぁぁっ!」

美香が転けてしまった。優亜が慌てて駆け寄ろうとするも優亜の足元に銃弾が撃ち込まれた。男はゆっくりと美香に近づき、美香の髪を掴んで顔や体を撫で回すように見る。優亜がすり足で徐々に近づこうとする。しかし、優亜の右太ももを弾丸が貫く。優亜は奥歯を噛み締め、痛みに耐える。顔を上げると、美香の顔が恐怖で染まっていた。涙を流し、絶望に震えている。


あぁ、またなのか。俺は一人も守れないのか…。


美香が悲鳴をあげる。

男が優亜に銃口を向ける。


………だ。嫌だ。二度と大切な人たちを失いたくない。俺の無力さで失うのは嫌なんだ。動いてくれ、俺の体。思い浮かべろ、あのときの俺を。


錆びた機会が動き出すように、優亜の体が動き、立ち上がる。

五回目の発砲。

カランッ。     カランッ。

空薬莢が落ちる前に何かが落ちた。優亜は今だ立っている。彼は男をずっと睨んでいる。その目は、紅い。彼の足元には潰れた弾丸が一つ。

「まさか?能力持ちか…?」

男が呟く。

「化け物がっ!」

再度、優亜へ発砲。

カランッ。     カランッ。

またも潰れた弾丸が彼の足元へ落ちた。

「クソがっ!!」

またもや、発砲ーとはいかなかった。

「弾切れのようだな。」

優亜が相手に言う。男はナイフを取り出した。そのまま、優亜に近づき、ナイフを優亜の体に刺そうと思っているのだろう。ナイフを構え、正面から優亜に突進してくる。

しかし、金属音とともにナイフはステージの方へ飛んでいった。

「馬鹿正直に正面から突っ込んでくるから弾かれるんだ。」

と優亜は何かを右手に持ちながら言った。彼の右手には刀があった。一言で言えば黒。刀の刃も棟も黒い。しかし、刃のほうが万物を飲み込む様な漆黒。反りのある刀が男を捉える。男は恐怖していた。

殺されると。

あまりの恐怖で男は失神してしまった。それと同時に優亜も倒れる。その時、会場は静まっていた。

「見つけました。適任者を。」

観客の中に冷静な人物が一人いた。スーツに身を包み、生真面目そうな男性だった。彼は嬉しそうにその場を立ち去る。

「ブランクがある様ですが、まぁ大丈夫でしょう。」

男性は携帯電話を取り出し連絡をしていた。

「えぇ。見つけましたよ。ええ。彼ですよ。

『虚像』です。」

生意気で申し訳ありません。狼の皮を被った羊です。後書きなので一応感想的なものを。この話は、かれこれ8年ほどかけて(原作含む)作り上げてます。ふわっとしているところもありますが、最後までお付き合いお願いします。不定期ですが、投稿は致します。トマトジュースが好きです。その他、作品も投稿していきたいと思っております。今後ともよろしくお願いします!

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