7話
学園長の説明は、俺の想像通りであり、もっとも危惧していた内容だった。
ただ、
「以前、討たれた魔王と同じ能力を?」
「そうさね」
他人の真似どうこう以前に、俺は魔王とは顔見知りでもなければ、何処かで会った覚えもない。もちろん。俺の知り合いに、異世界へ行ってきたような発言をする奴に、心当たりもない。
そして、史実が本当であれば、六人の魔王は全員が討たれている。この世には嘘のような伝説しか残ってないのだ。
ともかく。
俺が聞いた学園長の話をもう一度なぞろう。もしかしたら、新しい発見があるかもしれない。
午後の授業。アルバート先生による魔王の歴史の座学を受けた俺は、その後の授業にも参加させられた。
その授業は、科目的には体育に相当するのだが、体育ではない。というより、俺と彼女達では、まともな授業にならない。相手が素手で、こちらが銃を持っていたとしても、勝ち目があるとは思えない。
では、なぜ俺が参加できたのか。それは体育ではないからだ。
話がややこしくなりそうだから答えを言うが、マニファスーー自分と契約した武器を自由自在に出現させる技術ーーを体験……というか、体得するための練習みたいな授業だったんだ。
武器の扱いどころか。この世界に拉致されて二日目だと言うのに、俺に扱えるのか? そんな疑問が湧くが、学園長曰く、
「何事も最初は初心者だわさね」
と。
ともかく、俺はマニファスを使えるようにするため、武器の契約をしようとした。
だが、俺は既に登録を済ませてある武器があった。
「それを呼び寄せた瞬間に、あんたの近くにいた生徒達が大火傷。今は治療中というわけだわさ。で」
と、学園長先生は前のめりになり、
「いつ、どこで、あんたはマニファスの登録を済ませたのさ?」
「……すまないが、心当たりがない。異世界から拉致されるついでに契約させられたかもしれん」
「ふむ。あんたが寝ている間。というのも考えもんかねぇ」
確かに。俺が寝ている間に……
「……登録されていた武器の名は? 何て言うんだ??」
そう尋ねれば、学園長は渋い表情を見せる。なにか不味い事でもあるのだろうか?
「なら、確認をさせてくれ。俺が呼びよ「待つだわさ」せ……なんだ?」
「固有名称のあるマニファスは、それを呼んだ瞬間に手元に顕現するんだわさ。だから、」
と、学園長はソファーから腰を上げ、彼女自身の仕事机から、一枚の羊皮紙と万年筆を俺に渡して、
「そこに書くんだわさ」
「分かった」
了承した俺は、片仮名で書く。
ーーアマテラス
と。




