6話
「学園長!」
アルバート先生を先頭に、学園長室の前は騒がしくなっていた。理由は、
「人身を殺す許可をくださいっ!」
物騒な話ではあるが、俺が災厄を招く要因であるならば、俺も彼女と同じように排除しようとするだろう。
だが、
「まぁまぁ。あんたは始末書を書いてな」
と……内容の温度差に腹を下しそうだ。
「くっ! ……始末書が終わったら、取り合ってもらいますからねっ!?」
悔しそうに戻っていくアルバート先生。まるでコメディーに感じられるが、実際問題は悲劇でしかない。
「さて。まずは本人の口から説明してもらおうかね?」
と、初対面の時に見せた視線と同じーーいや、それよりもさらに鋭い視線が、俺の目を射抜く。あまりの鋭さに、失明するのではないかと不安になる。
「そ、そもそも。俺は、この学園で、アルバート先生の授業を受けていた。ギリギリ覚えているのは、モニカに、移動だと言われたところまでだ。そこから先は、気が付いたら工場跡地にいた。その合間の記憶は全くない」
仮に嘘をついても、この人の前では無意味。学園長は、相手の心を読み取る術を持っている。原理が分からない以上、対策の建てようもないし、建てることが逆効果になる。
故に、洗いざらい話す方がいいのだ。例え、悪意を持っていたとしても。
と、打算を弾くにしても、こちらの持っている情報が少なすぎる。
「ふむ。では、こちらからの説明をしようかねぇ」
そんな俺の気持ちを汲み取ってか、学園長はソファーに腰を埋めて口を開く。
俺の想像通り。最悪の事態を。




