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1話
目の前に広がるのは、自分の腰よりも高い位置まで成長したススキ達。黄金色に色付いた草原は、夕陽に照らされて、黄金と呼んでも差し支えがないくらい、光輝いていた。
「もう……終わりなのね…………」
黄金の草原。その中央には、乾燥させた麻で編まれた衣服に身を包む女性。こちらからは逆光のせいで、シルエットだけが、細めた瞳に写っている。
「もう……終わりなのね…………」
切り取られた映像を連続再生されてるような。同じ姿勢、同じ言葉、同じ声音で詠う彼女。
彼女だけではない。
オレンジ色の空から吹いてくる、身体を優しく撫でるような風。
その優しさに、嬉しそうな、そわそわした声をあげるススキ達。
何もかもが、全く同じであった。
「もう……終わりなのね…………」
彼女の、寂しそうな笑顔も。
しかし、何度目かの再生で、その風景は燃えるように消えてく。
まるで、俺が燃え盛る炎にくべられたかのように。




