1ー7
「もう!マオ!何で起こしてくれなかったの!?」
朝起きて来たシーナが文句を言ってきた。
「えーだって、シーナすっごい気持ち良さそうに寝てたし、寝言まで言ってたし。どんな夢見てたんだ?」
少し揶揄いながら聞いてみる。ま、予想はつくけど。
シーナは顔を赤くして
「気持ち良くて寝たのは認めるけど、べ、別に夢は見てない・・よ。」
「ほーう!寝言で「マオ大好きー!愛してるー!」って言ってたのに?」
「ゔっ!言ってない!そもそもそんな夢じゃなかった!」
「あれあれー?シーナさん?夢は見てないんじゃなかった?」
「え、えっと!そ、その、えっと、何ていうか・・」
シーナが顔を赤くしながらあたふたしながら言い訳をしようとしている!可愛い!
俺はをギュッと抱き寄せる
「大丈夫。どこにも行かないよ。」
「えっ!?……絶対だよ。」
シーナは昨日の夢がバレてるのを知り恥ずかしそうに俺の体をギュッと抱きしめた。
「さて、朝ご飯にするか!今日も結構歩くからいっぱい食べてとかないとキツイぞー」
俺とシーナは朝食を終え、出発する。
今日は昨日の倍ぐらいの距離を行けたら良いと思ってる。森の中を1週間も魔物と戦いなが進んで行くのは、精神的にもキツイ。早く森を抜けたい。寝袋も持ってないので、地面に布を敷くしかないし、体が痛く疲れも余り取れない、早く街に行ってふかふかのベッドで寝たい。
俺が色々考えていると、マップに魔物の反応があった。魔物はまたこっちに気付いてない。1キロ先に5匹固まっている。俺達は、少しずつバレないように近付き魔物の姿を確認する。
「あれはオークか?キモいな。」
2メートルぐらいのでっかい豚が二足歩行をし、「ビィービィー」となんか喋っていた。
悪いがオークの言葉を理解するつもりはない。俺とシーナは100メートルほどオークから離れて木の陰に隠れる。
「ウィンドカッター!」
風の刃が5匹のオークの首を綺麗に落とし、絶命した事をマップ上で確認する。オークの死体をアイテムボックスに収納する。
「やったね!今日はお肉がいっぱい食べれるね!しばらくは食料に困る事は無くなって良かった。」
シーナの言葉に驚き、オークが食える事を初めて知る。えーこいつ食べるの?なんかめっちゃ抵抗あるんですけど・・
オークの見た目は、豚の二足歩行したデブだが殆どが筋肉らしく、肉が引き締まっており美味しいそうだ。シーナの集落にオークが出た事があるらしく村人たちが倒し、お肉を分けて貰って食べたことがあるそうだ。
この後、更にオークを5匹倒しアイテムボックスに収納して歩き出す。
森のほぼ中央に巨大な魔物の反応があった。
この反応はドラゴン?なんか弱ってそうな反応出し、行ってみるか。
「シーナちょっと寄り道していいか?」
「いいけど、どこに行くの?」
「ちょっとドラゴンの所に…」
「ドラゴン!?ちょっと待って!迷いの森のドラゴンって言ったら『黒竜ロゼ』!?あれは災害を齎すって言われてる魔物で、危険度SSS以上なんだから!」
その昔、女神アナが黒竜ロゼを倒すべく『神界』からやって来て、5日間に及ぶ激しい戦いの末に、女神アナも封印する事がやっとだったらしい。
「封印されてるんだろ?何かあれば全力で守るから!」
俺はそう言いマップの反応する方角に向かった。
黒竜ロゼが封印されているのは洞窟の中だった。そーっとそーっと洞窟の中を歩き奥に進んで行く。
<気付いているぞ。人の子よ>
俺の頭の中に直接話しかけてくる。ちっ!バレてたか。もうコソコソする必要も無くなった。
「念話ってどう使うんだ?」
シーナも確か念話のスキルを持ってたのを思いだし聞いてみる。
「頭の中で思った事を、魔力を使って相手に送る感じかな?」
<お前が黒竜ロゼか?>
<如何にも、我が黒竜の王ロゼだ>
<ロゼお前いつから此処に封印されてるんだ?>
<さて?正確なのは分からんが、500年程だろうか?>
「ちょっと!さっきから何で黙ってるの!?」
黒竜ロゼとの念話はシーナに聞こえてなかったらしく怒らせてしまった。
「悪い悪い!ちょっと黒竜ロゼと話をしてて」
「えっ!?黒竜ロゼと?どうやって、あ!念話!それでさっき念話の事聞いてきたんだ。それで何話してたの?」
「黒竜ロゼは500年ぐらい此処に封印されてるんだって。」
俺はさっきの念話の内容を伝える。
<おい。ロゼこの子にも念話伝わる様にしてくれ>
<承知した。「うわっ!」退屈だったのでな、話し相手が増えるのはいい>
シーナは突然の念話にびっくりしていた。可愛い
俺達はやっと奥に到着し黒竜ロゼと対面した。
黒竜ロゼは全長60メートルぐらいあり、真紅の目に光沢のある全身黒い皮膚、頭には2本の角があり、すげーかっこいい!ロゼの身体には女神アナとの闘いの傷が、あちこちに傷が有り強者の風格が漂っている。
<処で、お前達はここに何しに来た?>
「えっと!私はマオに着いて来ただけで・・」
「ここに黒竜ロゼってスッゲー強いドラゴンが居るって聞いてな。しかもそのドラゴンの魔力の反応が、弱々しくて様子を見に来たんだ。」
ロゼの身体が一瞬ピクッとし、こちらを睨む。
<我が弱っていると言っても、人族を1人2人殺すのは分けないぞ>
「イヤイヤ、お前を殺そう何て思ってないよ。ロゼよ俺に仕えるきわないか?」
<フハハハハ、そんな面白い事を言う人族は初めてだ>
ロゼは笑い出し、俺をじっと見つめる。
<お主、我が『竜王の真眼』でも底が見えぬ魔力!>
まー無限だから底がないんだが
<生憎だが、我は女神アナの封印で動けぬ、もし解けてもこの傷で暫くは動けぬ>
「その封印と怪我が治れば俺に仕えるって事か?」
<良かろう。それが出来るのなら我はお主に仕えようでわないか>
俺は封印を解こうとした時、シーナではない別の女性の声がした。
「止めろ!!そこの人族よ!その黒竜がどれほど危険な存在なのか分かっているのかっ!?」
振り向くと、背中から綺麗な羽根の生えた人が宙に浮いており、手にランスと盾を持ち白銀の鎧を身に付け、フル装備でこちらを睨んでいた。