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(2016/03/06)誤字修正しました。

「そうだ、師匠。俺も町についてっていい? 本を買いたいんだけど……」


 この家に魔法書は一冊も置かれていなかった。

 まあ、べつにおかしなことではない。

 大魔法使いである師匠の頭のなかには、この世に存在するありとあらゆる魔法の知識が詰めこまれているのだから。


 けど、俺の頭に魔法に関する知識は存在していなかった。

 それに、師匠はその知識を伝授してくれなかった。

 まあ、師匠の知識はとても高度なものなので、教えてもらったところで俺が理解できるかどうかはわからないけど。


 そこで、町に出かけるたびに本を買ってもらっていたのだ。

 もう千冊は超えてるんじゃないかな?

 最初はなかなか理解できなかったけど、いまではどんな難読書も絵本みたいにスラスラ読める。


「こないだ買った本はもう読んでしもうたのか? けっこう買いこんでおったようじゃが……」

「思ったより簡単な内容だったからね。買ったその日に読んじゃったよ」

「こないだちょっと読んでみたが……あれ、かなりの難読書じゃぞ? 少なくとも一〇歳が読むようなものではないのじゃが……」

「かもしれないね。だけど、どれだけ知識を手に入れたところで、師匠のすごさには勝てないよ。だって師匠は魔法杖を使わずに魔法を使いこなせるんだからさ」


 大魔法使いである師匠は風刀以外にも様々な魔法を魔法杖なしで使いこなすことができている。


 そんなに多くの魔法を見せてもらったわけではないが、師匠の万象治癒ヘブンズキュアには何度かお世話になったことがある。


 万象治癒はその名の通り回復魔法だ。


 人間が普段出している力は潜在能力のほんの一部にすぎないが、俺はかつてベヒーモスに襲われた際にリミッターを解除し、常時とんでもない力を発揮できるようになった。

 鉄板に拳のあとを残すどころか、障子紙に穴を開けるくらい簡単に鉄板を貫けるようになったのだ。


 だが、常にリミッターを解除した状態だと、身体が持たない。

 俺の身体はことあるごとにぼろぼろになり、何度となく骨折した。


 だというのに、一晩寝ればどんな怪我だろうと完治してしまっていたのだ!


 師匠はなにも言わなかったけど……あれはきっと、俺が寝ているあいだに師匠が万象治癒を使ってくれたのだ。

 何度となく骨折したことで俺の骨はちょっとやそっとじゃ折れないくらい頑丈になったが、師匠がいなければいまごろ全身複雑骨折したまま、寝たきりの生活を送っていただろう。


 もちろん師匠に頼りっきりなのは申し訳ないので、俺はより一層修行を積み、いまでは自分の力をちゃんと制御できるようになったのだが……。


 そんな俺の力がかすんでしまうくらい、師匠はすごいことをしているのだ。


 まず、異世界ヘクマゴスには精霊エレメントが存在すると信じられている。

 そして人類は魔法杖で宙にルーンを描くことで精霊と交渉し、魔力と引き替えに超常現象――魔法を発動させているのだ。

 このルーンの形状は人類が長い年月をかけて発見してきたものだ。

 ルーンの形状は厳密に決まっていて、正しく描かないと魔法は発動しないのである。



 そんな常識を、師匠は覆したのである!



 さすがは大魔法使いだ。

 俺は心の底から師匠を尊敬している。

 とはいえ、


「ねえ、師匠。俺、そろそろ魔法杖ウィザーズロッドがほしいんだけど」


 師匠のもとで修行を続ければ、たとえ魔法杖がなくたって、いずれは風刀以外にも多くの魔法を使いこなせることができるようになるだろう。

 けど、俺はアニメの世界に登場したような魔法使いに憧れているのだ。

 どうせ魔法を使うなら、魔法使いらしく杖を使いたい。


 師匠が手にしているような立派なものじゃなくていい。

 なんでもいいから、俺は魔法杖がほしいのだ!


「アッシュよ。お前に杖はまだ早い。いまはとにかく身体を鍛えまくるのじゃ!」


 師匠はいつもと同じことを言った。

 師匠がそう言うのなら、それが正しいんだろう。


 魔力は精神力を鍛えることで向上すると、本に書いてあったしな。

 俺は肉体を鍛えるのと同時に、精神力も鍛えているのだ。

 師匠の言う通り身体を鍛え続ければ、いずれはとんでもない魔力を手に入れることができるはずだ。


 そのためにも、もっともっと過酷な修行に励まなければ!


 俺はやる気を再燃させつつ、ウォーキングウッドを薪にするのだった。


ブックマークしていただき、ありがとうございます!

次話もなるべく早くお届けできるよう頑張ります!

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