[第8話:兄弟]
いまだに雨が降り続ける。
「うるさいな・・・」
レニアがそう言うと、雨の音が
少しだけおさまる。
「うるさいな・・・」
そう言って、一粒の雨を手のひらで受け取り、
思いっきりにぎった。
すると、雨が一瞬で止んだ。
「ホントにお前何者なんだよ・・・?」
千里がレニアに聞く。
「何者・・・だと?」
そして悲しそうな・・・顔をした。
「やはり聞いていないか・・・」
「何だよ?」
千里が聞くと、
「・・・私のことに決まっているだろう」
レニアの声が少し大きくなる。
歩李はそれに少しおどろく。
「・・・私のことを知らないのか?」
千里は意味が分からない。
「なにを聞くんだよ?」
するとレニアは自分の手を強くにぎる。
「お前には兄がいるだろう?」
レニアの声が耳に響く。
兄・・・?そんなの聞いたことがない。
千里に兄弟はいないはずだ。
「何言ってんだよ? オレに兄弟はいないぞ?」
千里はそう言った。
レニアは冷静にこう言う。
「いや・・・そんなのダレから聞いた?
そう、感じているだけだろう?兄弟はいない、と。」
「だーから、兄なんていねーんだって・・・」
「何度も言わせるな。おまえには兄がいるんだ。」
しばらくの間、沈黙が続く。
「・・・・・・んなことあるワケねーだろ!
もし・・・もしそーだったとしても・・・
いや、ない!だってオレ、母さんとかになにも聞いてねーし!」
レニアは不気味に微笑む。
「・・・やはり皆、話していないのか。」
「は?だから、ワケ分かんねェよ!」
すると歩李が、
「もしかして・・・その兄は、ずっと前に死んじゃった・・・とか?」
と言う。
「・・・そのとおりだ。」
「その・・・じゃあ・・・
その死んじゃったオレの兄って・・・ダレなんだ?」
千里がそう言うと、レニアが静かに口をあける。
「私だ・・・。」
千里の目が見開かれる。
「なッ・・・」
「・・・私は貴様の兄・・・佐野千里の兄だ・・・」
大変遅れてしまいました・・・
すいませんッ!!




