[第3話:山里雪]
やだ。死にたくない。
雪ちゃん?あれ・・・?
どこ?いない・・・
どうして・・・?
足が言うこときかない。
助けて・・・誰か・・・
助けて・・・!!
っ・・・腕が引っ張られた。
バランスを崩し、
倒れこむ。
ここは?どこ?
トラックはもうない。
ってことは・・・
見るとここは歩道。
あれ?
あたしの腕を引っ張ったのはだれ?
雪ちゃんは?
さっきのは何だったの?
どーゆーこと?
何があったの?
「歩李!」
声。この声は・・・
声のする方向を見る。
千里・・・?!
「お前っ・・・何してんだよ・・・っ!」
息が切れてる。
「何で千里がここに?」
すると千里は怒鳴るように、
「何で急に、道路のド真ん中に、
飛び出してったんだ?!
オレが、ついてってなかったら、
お前っ・・・死んでたぞっ・・・!」
あぁ・・・そっか・・・
雪ちゃんに引っ張られて・・・
それで・・・
でも、雪ちゃんはどこに?
姿が見当たらない。
「・・・千里、雪ちゃん知らない?
さっきまで道路の真ん中にいたはず・・・?」
千里はバカにしているような目で
あたしを見た。
「雪?ああ、あの転校生の山里か?
いなかったぞ。何いってんだよ?」
うそ。ウソ。いたのに。
なんで。雪ちゃん。どこ?
もう何もわかんない。
分かん・・・ない・・・
!!
雪ちゃん!!
雪が立っている。
とても悔しそうな表情で。
そして、走り去った。
急いで追いかける。
雪が角を曲がった。
歩李も曲がる。
けっこう足は速いほうだ。
でも雪の姿はない。
隠れる所もない。
消えたのか?
できるはずがない。
それなら、雪はどこ?
雪が千里の前に
現れる。
「あれ?山里?!
歩李が追いかけてったぞ?
おい!」
雪は千里に近づく。
そして、
「お前は歩李をいつもしつこく
心配している奴だな?
フッ・・・
それなら大変だな。
もうすぐ・・・
あいつは死ぬんだから。
あはは・・・
あはははははっ!」
雪が狂ったように笑い出す。
そしてまばたきした瞬間・・・
雪がいない。
消えた?
1秒もない時間で?
あり得ない。
死ぬってどういうことだ?
あいつは一体何者だ?
「雪ちゃん・・・
一体何者なの?」
「ふーん・・・歩李・・・かぁ・・・あはは・・・」
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