愚論
見る夢は、過去か未来か?
それは気持ち悪く冷たかった。
手っ取り早く有名になる方法。
それは殺人だ。
いくら真面目に働いたって、決して日の目を見ない人間もいると言うのに、殺人犯はマスコミにはやし立てられて、一躍時の人となる。殺しの手口が残忍であればある程、殺した人数が多ければ多い程、世間の脚光を浴びるのだ。場合によっては歴史にも名を残すだろう。
努力や才能で、有名になるのは難しい。
しかし、殺人と言うで有名になるのは比較的簡単なのだ。事件を、起こしさえすればいい。
殺したい奴を殺せばいい、好きなだけ殺せばいいのだ。それで、有名になれる。
憐れみ、恐怖心、色々な感情をを多くの人間に植え付けられる。考えようによっては最高の手段。
それを、僕はもうすぐ遂行するのだ。
生易しすぎる朝の光に身を照らされたこの後に、始まるのだ。
勢いよくベッドから身を持ちあげる。
大嫌いなこの時間だが、いつになく清々しかった。
心に闇を潜ませて、何事も無かったように僕は階下に降りて朝食を食べる。
こんがりと焼けたパンには、僕の心など微塵もわからないようで、ただ香ばしい匂いをバターと絡ませて、舌をささやかに喜ばせる。
平和。
くそくらえな平和も、もう長くはないだろう。