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天井


 暗闇の公園の中、青年は怒りに任せた。


 

 その日も、部屋の明かりを煌々と照らして、僕はベッドにあおむけになっていた。

 眠気は襲ってこない、ぎらぎらとした感覚が、僕の血管の中を喚きながら流れ続けた。



 ノートPC(パソコン)の電源も入れっぱなしだ。

 シュンシュンと機械の荒ぶる音が聞こえる。この前誤って落としてしまったときに、壊れてしまったのかもしれない。大事なものもそうでないものも、このPCには眠っている。しかし、それらをDVDなどにコピーして安全策を取っておくほど、僕の心には余裕がなかった。



 天井には、ほこりが溜まり糸のようになって釣り下がっていた。

 まるで、地獄の罪人たちの元に垂らされる仏の蜘蛛の糸のようにそれはゆらゆらと揺れた。

 しかし、それにつかまったところで、天国になど行ける気はしない。



 もうすぐ、あの蜘蛛の糸すら見ることができなくなる。

 PCの画面も、この天井も。

 


 僕に待ち受けているのは、計り知れない暗黒の恐怖と、絶望だけだった。

 それを思い起こすだけで、怒りと恐怖が入れ代わり立ち代わり自分の中で湧き上がる。

 


 思わず、ベッドの横の壁を強く何回も叩いた。

 以前に凹ませた部分に自分の拳が擦れて、痛みを感じたが、構うことな叩き続けた。




 ガン


 ガン


 ガン



 鈍い音が響き渡る。

 怒りを代弁してくれない、腐りきった打撃音だった。



 ガン


 ガン


 ガン



 暫く、たたき続けると、手の感覚が鈍くなってきた。

 痛みはほとんど感じない。ただぼんやりとした圧迫感が覆っているのみだった。




 



 

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