表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/250

~91 公爵邸へ潜入しますよ~



 公爵邸へと潜入するため警備の確認、

 そして結界の有無を確認していたタケル。



(周囲は貴族街だから通りの人も(まば)ら。

 けど、兵士は二人一組で巡回、と。

 

 警備は正面と裏に2人づつ。

 結界はーー


 「魔力探知」と「解読」のスキルを使うタケル。


 ーー単純な魔法防御と侵入者対策の

 感知式伝達魔方陣に麻痺効果が付いたもの、

 だけど……)


 何かに引っ掛かる。


(この波動、もしかして……

 とりあえず確かめてみるか)



 門番の横を通る時は

光学迷彩(インビジブル)」「隠蔽」「隠形」

 そして屋内では「光学迷彩(インビジブル)」に代わって

「形影」を使う。


「形影」はマニスが使っていた影魔法を参考に作った

 タケルのオリジナル。

 マニスが使っていた影に潜む「影法師」の簡易版。

 光さえあれば影に見えるというスキル。


 ただこれも場所によって切り替えれば良いと

 考えているタケル。





 公爵邸 東側の庭




(フンフン、結界の魔力供給を辿って来るとだね。

 ここに行き着くんだけど……)



 高さが人の背丈よりも少し小さい扉だけが

 地面から出ている祠のような場所に辿り着く。



(えーと、感知式伝達魔方陣が5重になってんのか。

 んでもって、

 こっちは麻痺効果じゃなくて即死効果。

 厳重もだけど何より物騒だねぇ)



 言いながら感知の魔方陣から

 その伝達部分を無効化するタケル。

 即死効果は闇魔法の複雑な魔方陣となっていたが、

 これも同様に無効化する。


 余談だがサクラの出来る

 基礎的な魔法はタケルも当然出来る。


 特に潜入、罠の解除など盗賊系のスキルは

 師匠から隠れるために

 真っ先に伸びたスキルでもあったため

 大概の罠や結界は

 タケルにとって何の足枷にもならない。


 サクラの追跡も掻い潜るくらいのスキルを

 身に着けているのだ。

 少し魔法の出来る程度では相手にならない。


 鼻歌交じりで罠と結界を解除したタケルは、

 後で元に戻すのを忘れないようにして

 サッと扉を開けて中に飛び込んだ。




 ……




 中は地下に続く階段が伸びており、

 かなりの段数があるようで螺旋階段になっている。



 暫く降りたところで最下層に到着する。

 と言ってもこれより下は無いようで

 真っ直ぐに伸びた通路の両側に

 所々扉が付いている。


 一番近くの右側の扉の中を

 「魔力探知」と「気配察知」で探り

 誰も居ないことを確認し

 少しだけ扉を開けて中を確認するタケル。




 ……




 中を確認したタケルは無言で扉を閉める。

 


(ああ、勘が当たりそう……)



 嫌なモノを見たタケルは同じく次の扉を確認する。


 人が10人程並んで寝られるようにベッドというか

 拘束台のような物が置かれた部屋で

 更にタケルの不安を加速させる。


 そして一番奥の突き当りの部屋の扉に行き着いた。



(ここが結界に繋がってる魔力の供給源だな……

 けど、魔力だけじゃないんだろうなぁ)



 どうもこの最下層には、

 今は人が居ないようだと判断したタケルだが、

 念のためスキルは展開したまま

 ゆっくりと扉を開ける。




 ゴォォォ――

 シュルシュルシュル――

 ゴゥンゴゥン――




 薄明りの付いた部屋の真ん中には

 魔力供給減と思われる巨大な磔台があり、

 そこには頭に2本の角が生えた人相の悪そうな

 人型の生物が何やら魔法言語の書かれた鎖を

 巻き付けられている。


 部屋の奥にある透明の巨大な容器から

 チューブ管のようなものが伸び、

 その生物の背中へブッスリと刺さっているようだ。


 その生物は時折呻き声を上げるが

 当然誰かが応えることは無い。


 どうもそのチューブ管から生物へと

 何かが送り込まれているようであるが、

 スキルを使うことも無く

 その何かが分かってしまうタケル。



(ハァ、容器の中は何もないように見えるけど……


 一拍置いて呟く。


 ーーやっぱり魂か)



 イヤな勘が当たり肩を落とす。

 タケルが最下層に降りて一番初めに開いた扉の中は

 シ体の山であった。


 魂は記憶の蓄積や

 生命力を含むエネルギーの器でもある。


 当然その中には魔力も含まれており、

 その魔力と共に流れる生命力の波動を

 タケルが感じ取ったのである。


 謎の生物についてはまた後で相談するとして、

 概ね公爵家引いては聖光神がやっている事の一端を

 垣間見たタケルは気分の悪いその場所を

 後にするのであった。


 



 公爵邸 食堂内 厨房




 先程の場所の結界や罠を元通りにし

 公爵邸の屋敷へ向かったタケル。


 先程見たもので気分が悪くなり、

 オマケに匂いも酷かったため

 何となく良い匂いに釣られて向かったのは

 食堂であった。



(ちょっと胸も敵もムカつくけど、

 とりあえず切り替えてだね。


 この良い匂いのするところはと、

 やっぱり食堂だったか。


 厨房は休憩中か? 賄は何が出てんのかな?

 良い匂いだねぇ)


 ちょうど料理人達は

 昼食を主や家人達に供した後らしく

 今は自分たちが食事中である。

 

 物陰の影に潜みその会話に聞き耳を立てるタケル。



「坊ちゃんは今日も学園へ行かなかったんだぜ」


「ああ、知ってる知ってる。

 部屋に籠ってるらしいな」


「そうそう、わたし毎日料理を運んでるからね。

 でもケガしてるようにも見えないし、

 今日も司教さんかな?

 来てたから、やっぱりどこか悪いのかもね」




 ーーワイワイ

 ーーガヤガヤ

 ーーハハハ




(フーン、確かディーすんも司教とか言ってたな?

 部屋探して行ってみるかね)



 良い匂いに釣られて来ただけのタケルであったが、

 図らずも良い情報が手に入り

 早速、坊ちゃんとやらの部屋を探しに厨房を出る。


 

 食堂は邸内の東の端にあり正面玄関からは

 右手の奥に当たる。

 だいたい偉い奴の部屋は2階だろ、

 と当たりを付け2階へと向かう。


 正面玄関からすぐの両側の階段を向かって右手から

 スイスイと上っていくタケルは

 廊下に出て直ぐに大声のする方向へと足を向ける。





 公爵邸 2階 東側の一室



「そんなことは言い訳にならん!!

 貴様等の事情など知らんわ!!


 シスとか言ったか? 

 5日も待たせおって返事がそれとは

 話にならん!!

 サッサと言ってセレネースを拐って来い!!」


「まぁ落ち着いてください、坊ちゃん」



 落ち付いた様子で答えるシスと呼ばれた女性。

 タケルはまだ廊下だったが

 大声だったのでよく聞こえた。

 

 しかしこれからの会話を聞くのに、

 ここでは少々聞き辛いので

 どうしたもんかと頭を捻っていると、

 こちらへやって来るメイドの女性。


 手にはお茶のセットを持っている。





 コンコン





 大声のした部屋の扉をノックするメイド。



「入れ」



 ぞんざいな返事に失礼しますと

 声を掛け部屋に入るメイドの影に素早く被さって

 同じく部屋に入るタケル。




 カチャカチャ




 お茶のセットを準備するメイド。

 沈黙が痛いだろうと思うタケルの考え通り、

 メイドはお茶の準備が終わると挨拶をして

 そそくさと部屋を出て行った。




 バタン




 窓から入る陽光で出来たソファの影に

 移ったタケル。

 顔の見える位置まで少し移動したところで、



(やっぱ一緒なんだな、顔……)



 シスの顔を確認しそう零すタケル。

 続く会話をそのまま聞いている。



「貴様等は神都でも腕利きだというから

 依頼をくれてやったのに、

 3人で掛かっておいて3人共が行方不明だと?

 そんな子供騙しの言い訳が通用すると

 思っているのか?」


 答えるシス。


「先程も言いましたが落ち着いて下さい。

 依頼は引き継いで

 私共が責任を持って遂行しますから。


 何か不測の事態があったとしか考えられませんので

 調査はこちらで行いますし、

 拐って連れてくれば時間はそこまで

 問題ではないでしょう?」



 依頼が未達成に加え待たされたため興奮が収まらない

 ギュスタフはベラベラとよく喋る。



「僕はいまスキル「大剣士」それに「大魔導士」を

 持っているんだ!!

 これにセレネースの奴が持つ「聖剣召喚」が

 手に入れば五聖守護様の部下として採用は

 確実なんだ!!ーー


 気になる単語が出てきたな、と思うタケル。


 ーーたくさん愚民共の魂を

 提供してやっているだろう?

 それに見合う仕事してもらいたいもんだな」



 先程の光景が思い出され「日光浴」で

 焼いてやろうかと思ったがグッと我慢する。



「……聖光神様からも感謝しているとの

 お言葉を頂いております。

 これから坊ちゃんの件で打ち合わせを行い

 数日中には依頼を完遂致しますので

 暫しお待ちを」



 お茶に手を付けるギュスタフを他所に

 お茶も飲まずに部屋を後にするシス。


 タケルはソファの影からシスの影へと移動する。




 ……




 シスは周囲に魔力感知を張っているようだが

 タケルに気付いた様子もなく

 無言で公爵邸を後にする。





 学園本棟 いつもの小部屋




(だと思ったけど、やっぱりここなのね)



 あとで入室ログを忘れずに弄っておこうと

 思いながら

 少し慣れて来た皆同じ顔のシス以外の2人と

 シスの打ち合わせを盗み聞く。




「お疲れ様です、シスお姉さま」

「お疲れ様です」


「ああ、セット、にウィットも揃ったか」



 これで話に合った3から10が揃った。

 見ていないのは3のトワに4のカトル。



「どうでしたか」


「どうもこうも大層ご立腹だったよ」


 肩を竦めるシス。


「本来ならサンクお姉さま、ヌフにディースの捜索を

 総出でせねばならんところを協力者ということで

 手を分けなければいかん」


「確かに。

 何者かの手に落ちて我らのことを調べられても

 マズいですし、

 公爵邸に集まる優秀な人材と実験できる環境も重要。

 優先順位が付けにくいですね」


 そう言うのはセット。

 続いてウィット。


「十中八九、拐われたかコロされたか……

 あの3人を遠征試験中に

 一度にそんな事が出来る奴がいるのでしょうか?」



 暫しの沈黙の後口を開いたのはシス。



「分からん……

 ただ我らはあのお坊ちゃんの依頼を優先する、

 面倒だがな。

 捜索の方はカトル、トワお姉さまに

 任せるしかあるまい」



 そう言って打ち合わせが終了した3人は

 それぞれ小部屋を出て行く。


 彼らは特に確認していなかったようだが

 部屋の入室ログを見るタケル。

 特に不審な点も無いので

 自分だと思われるログを削除する。



 今は夕食の近付いている時間帯で

 講義室近くの廊下や周囲に人気はないが

 念のため確認し部屋を出る。


 そして食堂近くで姿を現すタケル。



「さて、夕食の調理するかね」



 言葉では今からの夕食の調理について呟くが

 目には剣呑な雰囲気を乗せ厨房に向かう

 タケルであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ