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~90 学園内総合実戦大会~



 ユウコの神域 神殿内 応接室(大)



 ユウコとの模擬戦を終えたタケル達は

 応接室でお茶を振る舞われているところだ。


 

「主殿、最後の初めて見た。

 前と違う、あれは?」



 夜も少し遅いのでヴァジュラが淹れてくれた

 軽くハーブのような香りのするお茶を

 皆で飲んでいるとユウコが質問を口にする。


 ユウコの問いに答えるタケル。



「ん? ああ、あれか。

 対神特化の技で魔力体が多い神様とやるときに

 良く使うんだよ。


 当たれば当たったとこに滅の概念が働いて

 相手の肉体があれば肉体もだし魔力も

 一気に削ってくれるって言ってたな。


 ユッコは魔力量がエゲつないからな」



 ユウコはその説明を興味深く聞いていたが

 自身のことも聞きたいようで、



「雷霆掌は?」



 その問いにイヤそうな顔を

 隠そうともせず答えるタケル。



「メチャクチャ痛かったぞ!!

 あの新しいやつ「絶対貫通」の概念に

 ユッコの魔力半分くらい乗っけてるだろ?」


「ん、そう。

 攻撃に魔力半分、主殿にあと半分削られた。

 ちょっと疲れた。


 でもあれを受ける主殿はスゴイ。

 わたしも精進しないとーー


 何か閃いたのか、続けてユウコが


 ーーだからヌフもディースも鍛える」



 先程の戦いの感想戦を繰り広げる

 タケルとユウコの会話を静かに聞いている

 周囲の者達であったが、

 その言葉にヌフとディースが反応する。


 ディースは、


「何が“だから”なのか分からんが、

 精霊神に鍛えてもらえるなど願ってもないこと。


 こちらから頼みたいくらいだ。

 ここは有難い場所だが、やることは無いしな」


 同じく頷くディース。


 それを聞いたヴァジュラが代わりに答える。


「ホッホッ、まずは引き続きわたしが付きましょう。

 ユウコ様とやるにはまだまだ力不足ですからな」



 ヌフもディースも異論はないようで

 ヴァジュラに頭を下げている。

 ユウコも納得顔で、



「ん、まずはジイにお願いする。

 外に出た時にすぐやられたらダメ」


 それを聞いたヌフが、


「ム、外に出してくれるのか?」


 答えるユウコ。


「ん、そのうち。でいいんでしょ?」



 お茶を手に取りタケルとサクラの方を向いて尋ねる。


 これにはサクラが答えた。



「ええ、有難うございます。

 裏切っても構いませんよ?」


 微笑みながら答えるサクラだが目は笑っていない。


「フッ、わたしもディースも恩を受けている身だ。

 それにさっきのを見たら、な?」


 ディースも頷きつつ、


「はい、今更です」



 それを聞いたサクラは目から剣呑な雰囲気を取り去り、



「まぁ心配してませんけどね。

 念のため釘を刺しただけです」



 そう言って手元のお茶を美味しそうに啜る。



 そういった話になったが、

 ひとり黙って聞いていたセイラが

 珍しく神妙な顔付きでユウコに質問するようだ。



「そ奴等のことは良かったワイ。

 外に出るなら追手のことも考えんとイカンしな。


 それに追手だけではなく

 今後ワシも聖光国のトップ共と

 戦うことになるじゃろう。


 そこでじゃ、ユウコ殿、ヴァジュラ殿、

 ワシも鍛えてくれんか?」

 


 真剣な表情のセイラさんを見るのも久しぶりだなぁ。

 などとタケルが思っていると、ヴァジュラ答える。



「セイラ殿は見る限りそちらのお二人よりも強い。

 わたくしと良い勝負でしょう。

 ですので鍛えるのはユウコ様ですな?」


 チラリとユウコを確認するヴァジュラ。

 ユウコは頷いている。


「いや過信はしとらんつもりじゃ。

 ヴァジュラ殿には及ばんと思う。


 じゃがユウコ殿が鍛えてくれるなら

 それはそれで有難いワイ」



 そういったことになったところで、

 ヴァジュラが加えて

 一言セイラに伝えることがあるようで、


「そういえばユウコ様にお聞きしましたが、

 セイラ殿は普段は液体魔法銀(ミスリル)

 顔に付けておられるとか?」


「ウム、そうじゃ。なんでじゃ?」


「わたくし共も似たような物を持っておりますが、

 あれは息は出来るとはいえ少々息苦しいでしょう?

 こちらでもっと楽なものを用意いたしましょう」


 これもまた願ってもない申し出で一も二もなく

 お願いするセイラ。

 

 腕輪タイプで魔力体形成の魔方陣が組み込んであり

 ユウコ達精霊の身体を構成する際の技術を

 組み込んであるらしく、

 大変貴重な物で魔力体を持たない者でも

 ある程度思い通りに魔力体を形成できる

 代物とのこと。


 帰り際に渡しますので、

 と言って席を外すヴァジュラ。


 

 話に区切りが付いたところで丁度お茶も飲み終わり

 今日はお開きになった。


 帰りにヴァジュラから

白の隠者(ホワイト・スキャナー)」という腕輪が

 セイラに貸し出され

 タケルやその場に居る者達に七変化をして見せ

 その効果に驚かされるも、

 

 最後にタケルの姿でサクラの身体をまさぐるという

 行為をしたところでサクラが気絶し

 皆からジト目で見られるという一幕はあったが、

 とりあえずタケルとサクラ、セイラは

 学園に戻ったのであった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 明けて翌日。



「ウチのクラスからは、モグモグ、

 5、6名って言ってたよねぇ」


「大会出場者は全部で16名だから、モグモグ、

 それくらいじゃないの?」



 話しているのはサクラのクラスメイト達、

 会話の主はセレネースとサラである。


 今はお昼休みでいつもの4人にエレーナ(セイラ)

 食堂で一緒に食事を摂っているところである。



「あとはAクラスから4、5名で

 他のクラスはそれに合わせて人数を絞るんだろうね」


 デーブがそれに合わせて答えている。


「ホウ、そんな大会があるのか?

 ワシは聞いておらんぞ」



 エレーナ(セイラ)の口調は面白いこともあり

 既に受け入れられており

 エレーナ(セイラ)も直すつもりがないため

 結果オーライとなっている。


 そこで少しを頬を膨らませて突っ込むのはサクラ。



「もう、エレーナ(セイラ)さんが遅刻なんてするから

 聞いてないんですよ。


 朝の連絡事項で言ってましたから。

 マレーネ先生にだいぶ怒られたでしょ?」


 セレネースとサラはクスクスと、

 デーブは笑いを堪えている。


 朝寝坊をしてしまい遅刻をかましたエレーナ(セイラ)

 職員室でかなり絞られたようである。


「ム、そうなんじゃ。

 慣れん環境でちょっと寝坊したくらいで

 クドクド言いおってあの小娘、

 ワシの万呪怨殺でーー


 小娘発言については現在自分の方が更に小娘であり

 それを聞いたセレネース達は

 声を上げて笑っているが、

 サクラは危険な香りがし始めたので

 遮るように話題を変える。


 ーーところで、学園内総合実戦大会って

 優勝者は聖光神様に

 直接お会い出来るってホント?」



 そう優勝者は表彰式の後お言葉を頂く、

 という栄誉を賜るため大会後に別室で

 少しの時間直接会って

 話をすることになるらしいのだ。


 元々ディースがサクラを聖光神に会わせるために

 暗部の上司に話を通していたのだが、

 今やディースはユウコの神域で修行中であり、

 事が進んでいるのかどうかも分からない。


 そこへこの大会の話が出たため

 サクラはその大会に出場するつもりでいる。


 答えるのはセレネース。



「うん、毎年そうだって聞いてるよ。

 サクラちゃんは選ばれるだろうし、

 わたしも出場できるかなぁ?」


 セレネース曰く、また先程の会話からも、

 大会は全体で16名

 Sクラスからは5、6名出場枠があるらしいのだが、


 先日の遠征試験の結果をある程度参考に

 出場者を決めるそうで、

 他クラスも遠征試験はSクラスとは別日に

 各々実施しているので

 その成績で出場者を決めるのは

 変わらないとのこと。


 そして説明の終わりに一つ付け加えるセレネース。


「ちなみにエレーナ(セイラ)さんは

 出場資格ないですからね。

 遠征試験に参加することが条件ですから」



 残念そうな顔をするエレーナ(セイラ)であるが、

 本心は「白の隠者(ホワイト・スキャナー)」で

 身バレしないようにしているとはいえ戦うとなると

 不安は生じるし、


 またサクラと戦うことも予想できるため

 丁度良かったと思っている。



 そんな話をしながらお昼休みも終了し、

 午後の講義も終わり放課後になったところで

 タケルに依頼していることがあるため

 連絡を取るサクラ。



(タケル? どうですか時間は?)


(ああ、サクラか。

 夜の仕込みが終わったから2時間くらい余裕が出来るし

 その間に行ってくるよ。

 面倒臭いけど)


(面倒臭いは余計です。

 ヌフさんやディースさんの後任の動きや

 公爵家の動きを探るのは色々と分かるかもしれませんし

 好都合なんです。

 文句言わずに行きなさい!!)


(へーい)



 念話を切るサクラ。

 

 今の話であるが、

 いまだに講義に出て来ていないギュスタフ引いては

 遠征試験でセレネースを拐うという依頼を出した

 公爵家を探ることで、


 実際その後にどういった事を行おうとしていたのか

 分かる可能性があり、

 また同時に暗部の動きも探ることが出来る可能性も

 あるため、早速タケルに動いてもらったのだ。


 サクラとエレーナ(セイラ)は放課後、

 セレネースに付き合うため動けない。



 タケルは念話を切った後暫くして、

 サクラからもらった地図で公爵邸の位置を確認し、

 いまその公爵邸の場所から

 一本通りを隔てたところを歩いている。

 


(フーン、でっかい屋敷。

 これでも王都、神都だっけ?

 にある本邸より大分小さいのかぁ。

 掃除が大変だろうな)


 潜入するために警備などを確認しながらも

 相変わらず緊張感の無いタケル。


(学園内総合実戦大会に公爵家に暗部の動き。

 で、聖光神が来るって? 大会はいつだっけ?

 な~んか盛り沢山で大変だけどーー


 潜入のため存在を薄く延ばしていきながら思うのは、


 ーーただ、ちょっと人の魂を弄び過ぎだな)



 マニスでありヌフ、ディースのこと。

 

 実際、許せないことというのは実はあまり無いと

 日頃から思っているタケル。


 しかし今回の一連の出来事については、

 どうしても許せそうにないため外面の対応はどうあれ、

 普段より積極的に動くタケルであった。



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