~88 雷神ユウコ様と模擬戦ですね①~
神域から帰ってきた3人は明日の夜、
落ち合う場所を学園の屋根に決めたようであった。
いつもの小部屋はヌフの話にも出たように
いつ暗部がやってくるか分からないからだ。
スキルを使えば見付からずに集まれるかも
しれないが、わざわざ危険を犯す必要もないため
そういうことになった。
その後コッソリとそれぞれの部屋へと戻った
3人であったが、さぁ寝るか!!
タケルがベッドに寝そべったところで念話が入る。
(ん? サクラか、どした?)
一拍置いて答えるサクラ。
(あの……さっきはゴメンね。
ちょっと、その、恥ずかしくって
◯星拳しちゃって)
女子だなぁ、女子なんだが。
と思いつつ返答する。
(ハァ、恥ずかしくて◯星拳できるなら
ゴールドセ◯ントにもすぐ成れそうだな。
まぁ別に気にしてないよ。
で、それだけじゃないんだろ?)
流石元々一肉体二精神だわ♡
と思いながら答えるサクラ。
(ええ、タケルにだけ話しておこうと思ってーー
そう言うと、
サクラはヌフとディースについての
考察を話し始める。
そもそも聖光国暗部の名前は全てフランス語の数字で
2から10。
出てきていないのは1だが、これは聖光神であるアン。
名前が示す通り1、
暗部の長が聖光神自身であるとすると辻褄が合う。
ただし「液体魔法銀」を混ぜ込んだ身体
擬似肉体が一体足りないことになるが
聖光神自身の身体もそうなのだろうか?
疑問は残るがとりあえず話を先に進めるサクラ。
この情報から分かることは聖光神が異世界の知識を
持っているか、聖光国側に異世界の知識を有するもの
もしくは異世界人が居る可能性を示唆することを
説明する。
だからといってやることに変わりはないが、
暗部たちの身体を構成する擬似肉体には
異世界の知識が使われている可能性がある
ということである。
使われている素材もしくは理論が分かれば
構成を解く方法も自ずと見えてくるということだ。
それはこちら側にとっては有利な材料と成り得る。
そしてもう一つ推測出来るとすれば、
ヌフとディースの名前は9と10を示し、
これは10体しかいないとされる擬似肉体の中でも
最後の方に魂を入れ込まれたと考えられる。
そこに二人の記憶が少し残っていたという
謎を解くカギがあるように思う。
と推論を展開するサクラ。
ーー異世界人絡みな気がしましたので
まずはタケルに聞いてもらおうと思って。
聞いてみてどうですか?)
サクラには見えないが難しい顔をしているタケル。
(そうだなぁ。
サクラの推測はいつも当たってるからなぁ。
擬似肉体の構成を崩す方法が分かれば
暗部は簡単に倒せるし、
もうそういったことをさせない様には出来るから
良いんだけど、
ヌフっちとディース君の記憶が残ってた
謎を解くことが何に関係してんのかワカラン)
説明するサクラ。
(それはですね、
要因は記憶操作にもあると思ってますが、
その要因を持った魂を擬似肉体に連動させる、
定着させることで起きる不備ではないかと。
定着させるのが難しいということは、
聖光神自身も擬似肉体であった場合、
要因が分かれば聖光神を崩壊させる切っ掛けに
なるかもしれないということです)
難しくなってきたのでタケルの頭では限界を
迎えそうである。
(グァァ!! ムズい!!
けど、要は聖光神側にいるかもしれない異世界人か
その知識を持ってるヤツ、
それとヌフっち等の記憶が残った原因が分かれば
良いんだろ?)
タケルから見えてはいないが
口許に笑みを浮かべるサクラ。
充分理解していると伝えようとしたところ
タケルから一言追加がある。
(それって同じヤツが関係してんな。
勘だけど、テヘ。ペロはやらん!!)
笑い飛ばせないサクラ。
(……あなたはホントなんでそこに行き着きますかね?
私が結構な時間を掛けて辿り着いたと言うのに、
ハァ)
今後は聖光神に直接会うことで、
何か少しでも分かれば、と思うサクラ。
とりあえず今日は寝ることにした二人であった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
明けて次の日。
Sクラスはギュスタフが変わらず休んでいる以外は
特に変わりなく、
厨房から食堂にいるサクラを
チラリと確認したタケルは昨日の出来事で
沈んでいたのは分かっていたので
エレーナ、中身セイラとセレちゃん達と楽しく昼食を
摂るところを見てホッとするのであった。
その夜。
学園の屋根からコッソリと神域へ向かうユウコと
タケル達。
変わらずヴァジュラが出迎えてくれたが、
ヌフとディースも一緒である。
ヌフはタケルを見るなり開口一番。
「おい、バカ男前」
キョロキョロと見回すがそんなアダ名が付くのは
性別からもタケルしかいない。
「お前だタケルアンデッドマン」
今度はディースからも呼ばれる。
自分のことだと分かったタケルは、
「ちょっと二人共くっ付けんの止めてくんない?
んで、なに?」
ヌフとディースは昼間もここに居たので、
その時のことを話し始める。
「止めはせんが、我らは昼間にそこのジイさんと
一手手合わせしたんだがーー
ヌフもディースも手も足も出ず、
ディースはスキル「神隠し」を使って勝てないまでも
負けないように位相空間へ跳び込んだが、
スンナリと首根っこを掴まれ諸手を挙げたそうだ。
ーーという結果でな。
身体も鈍るし丁度良かったんだが、
自信は砕け散ったよ」
続けてディースが言葉を継ぐ。
「何が言いたいかというと、
お前ジイさんとユウコ様も相手にするんだろ?」
一拍置いて二人から
「「安らかに眠れ」」
と手を合わせて祈られたタケルは
慌てて言葉を返す。
「お祈り止めて!! 縁起でもない。
模擬戦だっちゅーの。
まぁちとキツイけど、何とかするワイ」
「マネすんな!!」
ゴキ
首が曲がったままのタケルを見ながら
少しだけ心配してやる二人であった。
「麓でやりますかな?」
そうユウコに聞くのはジイことヴァジュラ。
「麓」
ユウコとヴァジュラに続いてタケルが後を追う。
サクラ含めセイラ、ヌフ、ディースも付いていく。
戦闘を観戦するためだ。
麓は周囲に果てしなく大森林が広がっており、
降りてきた全員が着いたところだけポッカリと
空き地になっており
近くにはまだ小さな雷の精霊達が居たようだが、
ヴァジュラに促され森ではなく
山の方へ帰って行った。
「ユウコ様、準備が出来ましたよ」
「ジイお願い」
ユウコがそう言うとジイことヴァジュラが、
目を開けていられない程の光と共に黄金色に輝く
全身鎧に変化し、
光が収まるとユウコが鎧を纏って立っていた。
サクラ以外の3人は神々しい鎧を纏う美しくも勇壮な
ユウコを見てホウとため息を吐いている。
何度か見ているサクラも美しいとは感じているが、
どうせタケルは「スバラシイ、ゴールドセ〇ント」
とでも思っているのだろうという思いが先行し、
若干感動が薄れているのであった。
「相変わらずスバラシイな、何座?」
「相変わらず主殿はブレない。
あのアニメは面白い」
……
「雷動極天」
「黒雷動極天」
ッカッッッッ!!!!
ゴゴゴゴロロロロ――――
ッガガッッッ!!!!
ゴゴォオオオオオ――――
沈黙が開始の合図だったのか、
先手はユウコが取った。
「雷動極天」は「雷撃」の
約1万倍以上の威力を誇るユウコのオリジナル魔法。
「黒雷動極天」については
「雷動極天」を超える威力を誇る超究魔法。
魔力もバカ食いするがユウコには関係ない。
「最初から飛ばしてんな」
そんな感想を独り言ち、
ユウコの本気度を見て身体に白の混じる焔を纏い
一気にステータスを跳ね上げタケル。
ユウコに負けず放つのは、
「拳神演義 超究奥義 千変万華鏡」
ドドォッッッッ!!!!ーーーー
.
タケルの得意な無手での超級奥義。
魔法、物理問わずすべての攻撃をカウンターで
相手の攻撃力も取り込み倍返しする技である。
撃たれた雷撃が白黒黄金色問わず不規則な軌道を描き
ユウコを中心に時間が巻き戻ったように帰って行く。
ユウコはというと落ち着いた様子で、
「ジイ」
「分かっております」
スゥ
ユウコに当たる寸前で全ての雷撃が掻き消える。
少し離れた山の麓で観戦していたサクラ達。
戦闘の様子が非常に眩しいため少し目を細めたり
手を翳したりしている。
初めてタケルの戦闘を見るヌフとディースは、
落ち着いている訳ではないが力を測っているようだ。
「……言葉も無いな。
あの紅いのを纏ったらステータスが
尋常では無いくらい跳ね上がったんじゃないか?
どうだディース?」
「私のスキル「詳細鑑定」でも分からない。
ただもう人間じゃないくらい
ステータスが跳ね上がっているのは見れば分かる」
そう言って顔を見合わせた二人は
サクラに問い掛ける。
「「なんだアイツは?」」
タケルの戦闘を一度ならず見ているセイラは
黙って観戦しており、
むしろユウコの方を見ているようだ。
そんな二人の質問に答えになっていない
答えを返すサクラ。
「フフ、まだこれからですよ。
それにユウコ様はもう一つ上をご所望のようですよ」
再度顔を見合わせた二人は、
サクラの方を向いて先を促す。
「別に難しい話ではなくて、
タケルの強さはまだ先があるということですよ」
そう言ってニッコリと微笑むサクラは
周囲の景色も相まって
とんでもない神微笑となっていたが
サクラの答えを聞いて白目を剝いていた二人には
見えていなかったのだった。
点検ミスで一部修正しました。
いつも読んで頂き有難うございますm(_ _)m




