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~83 相変わらず予想が付きませんね、ハァ~



「控えおろう!!ーー


「行ってくる」


 ーーいってらっしゃいませ、ユウコ様」



 来たとき同様よく分からない挨拶のヴァジュラ。

 ただここではこれが普通なのだ


 とりあえず控えはしないがペコリと頭を下げるサクラ。

 神域を出ていくユウコに付いて行く。


 とりあえずヌフとディースをヴァジュラに任せて

 夜の内に学園寮まで戻るサクラ。


 サンクの遺体は念のため保管してもらっている。




 例の小部屋はユウコも認識したので

 ユウコが傍に居れば問題なく戻ることが出来るので

 直ぐに到着する。


 到着するなりユウコが

 サクラに向かって言葉を掛ける。



「あのナントカ言うのがシんだのは

 サクラのせいじゃない」


 先程のサクラの沈んだ表情を見ていたユウコ。

 少し心配していたようで更に言葉を継ぐ。


「多分夢の中でコロされた?

 それは自業自得、背負う必要は無い」



 ユウコをジッと見詰めて黙って聞いていたサクラは

 少し心が軽くなるのを感じる。



「お気遣い有難うございます。

 ダメですねぇ、ハァどうも慣れません。

 誰に似たのやら……」


 顕現したままだと身長は150㎝そこそこのユウコ。

 見上げる形でサクラにそのつぶらな瞳を向けながら

 諭すように言葉を掛ける。


「ダメじゃない。

 優しい証拠、主殿も優しい、一緒。

 怒ったら怖いところまで一緒」


 それを聞いたサクラはユウコの優しさに涙腺が緩むが、

 零れそうになるのを堪えて再度礼を言う。


「グス、有難うございます」


「タケルへの連絡は明日でも問題ない。

 捕虜も寝かしつけてるし問題ない。

 あとはサクラが元気になれば良いだけ。

 今日はもう寝る」



 こうやって見ていると

 小学校高学年くらいにしか見えないユウコに

 そう言われると余計に涙を誘われるが、

 同時に明るい気持ちにもなったサクラは、



「はい、有難うございます。そうしますね」



 そう言って、

 剣化したユウコをアンクレットに仕舞おうとしたところ

 ユウコがもう少し話をするというので

 何かと思い耳を傾ける。



「だいたいサクラは色々考え過ぎ。

 頭が良いからだろうけど、主殿を見てみるーー



 どうやらお説教のようで、

 まさかユウコにここまでお説教されると

 思っていなかったサクラ。


 かなり怒ってるように見えたが

 実はかなり心配されていたのだ、

 と気付いたのは明け方近くになってからであった……




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 明けて翌朝。




 学園本棟 第1学年Sクラス 講義室



「ふぁ~」


「眠そうね? セレちゃん?」


 目を擦りながら答えるセレネース。


「ムニュ、夜中起きたらサクラちゃん居ないから

 待ってたんだよ」


 ドキリとするサクラ。

 マズったか、と思ったが、


「せっかく起きたしお喋りでもしようかと思ったけど。

 なかなか帰ってこないから、

 また便秘かもと思って途中で寝ちゃった」


 便秘ネタが定着してきたな、と遠い目をするサクラ。

 ただこれも自業自得なので、


「うん、もう力んでも力んでも出ないからさ!!

 お腹から直接出そうかと思ったよ、ウフフフ」


「フフフフフ」



 遠征試験から特に仲良くなったサラとデーブが

 直ぐ近くに座っているが、

 サクラより更に遠い目をしている二人。

 

 しかし周囲はお姫様と驚異の美貌を誇る美少女が

 微笑んでいる姿を見て大変癒されているのだが

 幸いにも会話の内容は聞こえていない。




 ガチャ




「では、皆さん席に着いてください」



 担任のマレーネが講義室へと入って来る。

 午前の講義前に連絡事項を伝えるようだ。



「はい、皆さん昨日一昨日とお疲れさまでしたね。

 このクラスは流石と言うべきか、

 魔獣の討伐数も例年以上でしたし

 高レベルの争いでした。


 残念ながらギュスタフ君は体調を悪くして

 お休みですが」


 そう言って遠征試験の総括を話すマレーネ。

 

 ギュスタフの休みを聞いたサクラは公爵家についての

 調査も何とかしないと、と気を引き締めるのであった。



 サクラがそんなことを思っていると、



「それでは今日は転入生を紹介しますね。

 先日のサクラさん同様、

 世界武闘技大会の実績を以ての入学となります。


 諸事情があって入学が遅れましたが

 無事今日からここの学園生として

 生活することになりました。

 入りなさい」



 講義室の廊下へ向かって呼び掛けるマレーネ。




 ガチャリ




「!?」



 その姿を見て驚くサクラ。



「エレーナさん!?」



 喜びの余り手をブンブンと振る。

 その横で手を振るサクラを見て

 セレネース達が驚いている。


 対してエレーナはサクラに気が付くとニコリと微笑み

 マレーネの傍らへ進む。


「はい、こちらはエレーナさん。

 エレーナ・ウィリアムさんです。

 ヴァッケンの大会では決勝トーナメントで

 惜しくも敗れましたが実力は確かだと聞いています。

 では自己紹介を」



 マニスのこともあり、

 アリアに帰ってからのエレーナは気になっていたが、

 タケルとセイラに任せるしかなかったため

 実際どうなったかも聞いていなかった。


 そのためかなり驚いているサクラ。


 嬉しいのは確かだがあれから時間も経っており、

 マニスの事情も粗方聞いているはずだが……



「ウム、エレーナじゃーー



(じゃ?)



 ピタリと動きを止め目を細めながら

 語尾に即座に反応するサクラ。



 ーーワシは人見知りじゃからイジワルせんでくれよ。

 よろしく頼むぞ」



(ワシ?)



 ジーっとエレーナを見詰めるサクラ。

 傍らのセレネースがその様子を見て尋ねる。



「えと、サクラちゃんどうしたの?

 喋り方に特徴あるけど、

 大会出てたみたいだし知り合い?」



 まだまだジーっとエレーナを凝視したまま

 サクラが答える。



「ええ、知り合いですとも。

 ちょっと後で話をして参りますわ、ホホホ」



 なぜかやたらと丁寧になるサクラを他所に、

 自分達とは離れた場所に座ったエレーナから

 目を離さないまま

 午前中の講義が終わりお昼休みになる。



 食事を早々に切り上げて

 エレーナのところに話をしに行こうとしていた

 サクラであったが、


 食事を持ってキョロキョロとしながら

 厨房の方に目を遣りいくつかのテーブルを見回すと

 目標が見付かったのか、


 サクラとセレネース達が座るテーブルに

 近付いて来る人物がいる。



「まだ知り合いがおらんのでな、

 サクラよ仲間に入れてくれんかのう」



 エレーナである。


 頭を抱えそうになるサクラを他所に

 セレネース達は当然歓迎し4人席だったため

 お誕生席に椅子を持ってきて座るエレーナ。


 一方サクラは、



(ここで変に念話で話し掛けて動きが止まっても

 困りますし、それにまだ決まった訳ではーー


 念のためサクラが慎重に事を運ぼうと考えていたところ


(久しぶりじゃのうサクラよ、元気そうではないか?)


 そのサクラの考えを木っ端微塵に打ち砕くのはやはり、


(ん? わからんか? ワシじゃ、セイラじゃ)



 セイラであった。





 そしてその夜。

 


 学園本棟 いつもの小部屋




「何してるんですか!?

 なんで来たんですか!?

 その姿は一体どういうことですか!?

 語尾は“じゃ”じゃないし、

 一人称は“ワシ”じゃない!! ハァハァ」



 いつも暗部が使っていた小部屋を言葉少なに説明し、

 セイラを案内して来たサクラ。


 部屋に入るなり興奮度マックスである。

 もうマ〇ブル・ス〇リュー・マッ〇スが

 出ても可笑しくない。


 その様子を見た外見エレーナ、中身セイラは、



「お、落ち着け説明するから、の」



 と言って、珍しくサクラの勢いに押され

 宥めるので精一杯だ。



 そこへアンクレットから顕現させていた

 ユウコが口を挟む。



「サクラ落ち着け。セイラのすることだ」



 その一言で少し落ち着いたサクラ。

 その一言に納得のいかないセイラ。



「ちょ、どういう意味じゃ!?

 と、騒ぐ前にじゃな。

 ユウコ殿うまくいったようじゃの?」


「セイラの悪知恵は大したもの」



 褒められているのか分からないが

 一旦置いておき話を進めるサクラ達。



「それでさっきの質問には答えて頂けるんですね?」



 切り出すサクラにセイラが頷き説明を始める。


 セイラ曰く。

 タケルに相談を持ち掛けられた遠征試験前から、

 ここ数日間でフィーネに居るエレーナに

 マニスのこと含め事情を話した際に、


 聖光国の大司教ーーディースだな(タケル談)ーー

 からスカウトを受けていたことを知り、

 まずはセイラが潜り込むことを思い付く。


 外見については

 サクラも初めて聞く「液体魔法銀(ミスリル)」の説明から

 入ったセイラ。


 この不思議な液体であり個体である魔法物質は

 触れたモノの姿形を読み取りソックリ真似るという

 性質を持つ。


 そしてセイラは魔国の宝物庫にある、

 この「液体魔法銀(ミスリル)」を10分で引っ張り出して

 ダグザに渡せと魔王に伝え


 ダグザに連絡を取りマニスが使っていた闇の召喚魔法を

 苦も無く使ったセイラの元へ召喚されたダグザから

 瓶に入った「液体魔法銀(ミスリル)」受け取った。


 そして運送屋のようなことをさせられ、

 不機嫌なダグザを誉めそやしまくり機嫌を取って帰し、

 そのまま呼び出しておいたエレーナに触れさせ

 現在に至るということだ。


 また同時にサクラを助けるため

 ユウコに剣化してもらい学園宛てに荷物として送った。


 と話し説明を終えた。



 ……



 その説明を聞いて、



「その「液体魔法銀(ミスリル)」は外れたりは?

 セイラさんの体表全てを覆っているのですか?」


 訝しげに尋ねるサクラ、

 それについては傍でフワフワ浮きながら話を聞いていた

 ユウコが答える。


「大丈夫、顔だけ。

 魔力を微量通していれば息も出来るし

 外れないし問題ない。

 呼び方は違うけど確かジイが持ってるはず」


 どうもこの液体金属のことを知っているユウコの説明を

 聞いたサクラはとりあえず納得したようだ。

 実は別のことも気になっていたからだ。



(どうりである部分がエレーナさんより

 ゴニョゴニョ……)


 さて置き質問は終わってないとばかりに続けるサクラ。


「それは分かりました。

 エレーナさんに事情を説明して

「液体魔法銀(ミスリル)」に触れてもらったんですね?

 まぁそれは良しとしましょう、ですけどーー



 最も肝心な質問をサクラはグッと身を乗り出して

 セイラにぶつける。



 ーーなんで来たんですか?

 もし露見したらどうするんですか?」



 これにはセイラ本人が一拍を置き、

 いつもネタ探ししているような雰囲気ではなく、

 珍しく真剣な表情でサクラを見据えて答える。



「……ワシがこの目で確認したいんじゃ。

 元々ワシ等の問題じゃ」


 

 大戦後殆ど表に出ない聖光神を直接確認出来る機会など

 そうは無く、

 ゼヒライテの話からも魔王と訳アリで、

 少なからずセイラにも関係があるだろうと推測していた

 サクラは一つ溜息を吐いてセイラに釘を刺す。



「ハァ、そう言われてしまえば

 納得せざるを得ないじゃないですか。


 でもホントの本当に気を付けてくださいよ。

 ただでさえ有名なんですから」



 サクラが渋々とはいえ納得した様子を見て

 ニヤリといつもの調子に戻ったセイラ。



「分かっておるワイ。

 まぁこれでまた一緒ではないか、の?」



 張り詰めていた糸が切れたようなセイラに

 気を削がれたサクラ。

 

 そこで忘れていた訳ではないが

 サクラがセイラに問い掛ける。



「ところでタケルは?」



 おお、と左手で右手の掌をポンとする古い作法を見て、

 相変わらずだなと少し気持ちが暖かくなるサクラ。


 答えるセイラは、



「あ奴は厨房に潜り込んだぞ」



 ハ?



 固まったまま、

 ふと傍らのユウコが目に入ったサクラ。


 同じように固まっていることから

 ユウコも知らなかったようだ。


 もしスキルで推測したとしても

 この結果は出ないだろうと思うサクラ。


 ダメだこりゃ……


 と心の中で深い溜息を吐くのであった。



遅くなりましたm(_ _)m

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