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~82 暗部の事情~



 精霊神であるユウコの神域へとやって来たサクラ。



「相変わらず神々しい景色ですね」


 周囲の雲海と山脈に目を向けながら

 感想を口にするサクラ。


「ん? 主殿と来てたか」



 そう、サクラがまだタケルの身体に居た頃

 何度か来ているのだ。


 そんな話をしながら

 荘厳な神殿を奥に向かって歩く。

 天井は3階までブチ抜いたくらい高く、

 その天井には神話を物語にした様な

 彫刻が施してある。


 その彫刻に目を遣っていると奥から

 コツコツと大理石であろう床に足音を響かせて

 やって来る人物が一人。



「控えおろう!!ーー



 突然、威厳のある声が

 サクラとユウコに降りかかる。

 サクラはビクッとするが、


「帰ったジイ。3人は?」


 ーーお言い付け通り迅雷鳥の孤塔へ」


「わかった。サクラ」



 その後に続くのは至って普通の会話であったことに

 ポカンとするサクラを他所に塔へと向かうユウコ。

 慌てて付いて行きながら尋ねるサクラ。



「あの、先程の方は

 確か執事様のヴァジュラ様ですよね?

 えと、最初のお声掛けは一体?」


「ああ、ジイの趣味。

 今はスケさん、前は「成敗!」でケンさん。

 その前は「シして屍拾うものなし」でスギさま」



 一体何の挨拶かと思ったが、

 時代劇の観過ぎだ!! しかも古い……

 

 タケルからでしょうけど観てましたっけ?

 でもユウコ様も宣伝まで知ってましたし。

 いつの間に観たのかしら?

 ーーオレじゃないぞ師匠だぞ(タケル談)ーー


 謎の声掛けの謎が解けたところで

 「迅雷鳥の孤塔」へと着いたようだ。


 ここは神殿から空中に伸びた回廊に先にある。

 回廊の左右はすぐに雲海で、

 落ちれば気持ち良く雲海に包み込まれる

 ようなことは無く下まで真っ逆さまである。


 また孤塔周辺の雲海は迅雷鳥の巣になっており、



 ジャァアアアーー

 グルルルゥゥーー

 ギュアアァアーー



 迅雷鳥はユウコが通ると歓迎してくれているようで

 時折近くまで寄ってきては

 鳴き声をあげて翔んでいく。


 雷がバッチバチ鳴ってるから

 ユウコ様以外は感電しそうですけど……



 そんな孤塔の最上階にある暗部3人の軟禁場所に

 やって来る。




 ガチャリ




 扉に鍵は掛かっておらず

 部屋にはソファと椅子、テーブルが置いてある。

 


「あのままだとシぬから

 多分ジイが少し回復させてる」


 憔悴しているが話すことは出来そうな

 椅子に座っている2人、

 サンクとヌフはジッとサクラを見ている。


 ディースはソファに寝かせてある。



 ……



 沈黙が流れるが口火を切ったのは意外にも

 サンクであった。



「何なんだここは?

 自害しようにもこの腕輪で出来ん。

 扉は出てもまた戻って来るーー


 一拍置いて続けるサンク。


 ーーそれに貴様何者だ?

 サクラと言ったか、ヴァッケンも貴様の仕業か?」



 こちらが質問するはずなのに……

 しかもなぜ上から?


 気持ちを切り替え

 傍らでフワフワと浮いているユウコが頷くのを

 確認すると、サクラはまずーー



 ーーディースのことは聞かないのですか?」


 眠ったままのディースを指差すサクラ。


「フン、何を聞けと?」


 心の中で溜め息を一つ。


「そうですか……」



 そう言ってサクラは


「マキシマム・グレー"幻想郷(ユートピア)"」


 を発動させるのであった。




 ……





「ヌフ!! 何とか引き付けておけ!!」


「ハッ!!」



 ……




「ハァハァ、あのジイとやらやたら粘りおって。


 食事なぞ何が仕込まれているか分からんのに

 食うわけ無かろう、バカめ」


 とにかくこの情報をドゥ様かトワ様に。


 そう思い転移を敢行するサンク。






 聖光国アビスクリムゾン

 神都グローリアス

 神城シャラフ 暗部リーダー執務室




「ドゥお姉さま!!」



 私は扉を開けると同時に叫ぶように

 お姉さまに声を掛けた。


「今日は私だ。

 なんだ慌てて、サンク」


 ドゥお姉さまでは無かったことに謝罪する。


「あ、し、失礼しましたトワお姉さま」


「構わん、何だ?」



 私達が任務に失敗し捕らわれていたが

 逃げてきたこと。


 そしてヴァッケンを襲った精霊のことや

 手引きしているのがサクラであることを報告する。



「とにかくあの精霊は危険です。

 それに仲間のサクラも」



 情報を整理しているのか少し間が空いて

 お姉さまに尋ねられた。


「フム、良く報告してくれたーー


「ハッ、有難うございます」


 ーーご苦労、ゆっくり休んでくれ。

 永遠にな」




 

 ……





 暫く瞑目して様子を窺っていたサクラが

 悲しげに薄く目を開いて

 何が起こったのか分かっていない

 ヌフへと目を向ける。



「き、貴様、お姉さまに一体何を!?」



 変わらずフワフワと部屋の中を宛てもなく

 浮いているユウコを見て風船みたいと

 関係ないことを思い思考を逸らしてみるが

 言わないと話が進まない。



「シにました」



 驚きに固まった後、

 呆然としながらもサンクに目を向け、

 眠るように目を瞑っているのを見たヌフは

 息をしていないことを確認する。


 眠るようにシんでいるサンクを確認し、

 今まで感じたことの無い恐怖をサクラに感じるが

 そこは暗部である。


 しっかりと気を保ち

 ヌフはサクラに取引を持ち掛ける。



「ディースも……

 貴様は情報が欲しいから我らを生かしたんだろう」


 頷くサクラ。


「ではディースに掛かっている魔法を解け。

 代わりに私に掛けろ。

 ディースはまだ生きているだろう?」


 ディースを庇うヌフに驚くサクラ。


「何の魔法か分からんが、

 このままだとディースはシぬのだろう?

 情報なら私から取れば良いと言っている」


 考え込むサクラ。


(あのサンクの夢にも出て来たトワ?

 あの人も3人とそっくり。


 でも性格はそれぞれ違うようだし……

 嫌な推測が立ちますね)



 間を置いて右手をヌフに向ける。


「お、おい、ディースの魔法をーー


「マキシマム・グレー"幻想郷(ユートピア)"」


 構わず発動させるサクラ。


 ーー大丈夫。

 ディースはもう暫くなら

 夢の中でも問題ないですよ」


 

 さっきのヌフの言葉がディースと同じ思いから

 発されたものであればヌフも暫くは大丈夫と

 結論付けたサクラ。


 それとは別に嫌な推測と

 サンクのシに落ち込み俯いていたサクラだが

 立ち止まってはいられない。



「とりあえずタケルに連絡を取ってみましょう。

 セイラさんも一緒ですから

 何か分かるかも知れませんし。


 今度は繋がるかしら?

 ホント何してるのかしら?


 二人で……」



 ミシミシッ

 ビシビシッ


 ギュアアアア アアーー

 シャャアアアーー

 キュウウアアーー

 

 

 さっきまでの沈んだ雰囲気は怒気に塗り潰され

 反応した壁が軋み、

 迅雷鳥がけたたましく鳴くのであった。



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