~80 遠征試験2~
ーーユウコ様!?」
なんで!? どこから!?
聞きたいことは山ほど有るがーー
ーーユウコ様!!
そこから4時方向に高速で移動する二人が
分かりますか?」
「当然」
「止めてください!!」
「任せて」
返事をしたとほぼ同時に響き渡る轟音。
カッッッ!!!!
ゴッロゴロゴロゴローー
物凄い音と光に気を取られる二人と一匹。
「フッ!!」
一瞬でドラゴンダイルの首を切り落とすサクラ。
首が落ちたところで気が付いたサラとデーブが
目を丸くして固まるが、
そそくさと茂みの方へ小走りで向かうサクラは
ピタリと止まると、
「フフフ、少しお花を摘みに
行って参りますわ」
こんな場所に似つかわしくない神微笑を
二人に向ける。
妙な雰囲気に気圧されたのか
首を縦に何度も振る二人であった。
茂みに入って二人から見えなくると、
スキル「光学迷彩」と「隠形」「隠蔽」を使い
セレネース近くの大木の樹上まで転移するサクラ。
セレネースは先程の轟音がした方向を仲間2人と共に
何事か話しているようだ。
ドラゴンダイルを切ってからここまで10秒弱。
セレネースがまだ無事であることに胸を撫で下ろした
サクラは、
(ユウコ様、有難うございます。
色々お聞きするのは後にします。
二人はどうなりました?
あと少し魔力を抑えて下さい)
(黒焦げ、シんでないけど。
ム、まだ抑えるのかムズイ)
いつものユウコの反応に癒されるサクラだが、
今はそれどころではない。
(ユウコ様、その二人を確保しておいてもらえますか?
後ほど合流しましょう。
それと先程まで私が居たところの2人を
分からないように守ってもらえますか?)
(わかった、サクラは?)
慎重に周囲を見渡しながら答える。
(もう一人潜んでいるはずなんです。
私のことが露見するのもマズいので
一気に片を付けます)
(わかった、見守りセ〇ムする)
だんだん染まってるなぁ、クスリと零しながら、
ディースの「神隠し」を看破するために
新しく開発したサクラの魔法
「時空間把握」を発動させる。
サクラが「神隠し」について分析を行い、
能力を推測したところーー
ーーやはり位相空間に隠れるようなスキルですか?
周辺空間は全て把握しました、
時間の流れも正常。
となると、出てくる瞬間しか分からないですか。
厄介極まりないですね。
クックックッ、
しかし開発出来ましたよタケルをヒントに)
ユウコにサラとデーブを任せて
悪役の様な笑みを浮かべながら自信を覗かせるサクラ。
樹上からセレネースを見守る。
しかしあまり長居も出来ないため、
ここまで来たら早く現れて欲しいと思っている。
だって、ねぇ……
一方ディース。
(何だ今のは!? やられた?)
仲間の位置を把握していたディースだが、
反応が一気に弱くなっていることを理解する。
……
(今の魔力反応、ヴァッケンの奴か?
私に攻撃は当たらんが、それより依頼が……)
迷うディース。
(……失敗は消されるだけ、やるしかない)
腹を括ったディースは、
サクラの予想通り位相空間から通常空間へと現れる。
!!
(マキシマム・グレー”幻想郷”!!)
……
私はセレネースを無事に確保。
学園本棟にある小部屋へと戻ってきたところだ。
「おお、戻ったかディース」
「ウム、ご苦労」
サンク、ヌフお姉さまが声を掛けて下さる。
「はい、この通りセレネースも確保しております」
頷くお姉さま達。
「よくやった。
フゥ、これで面倒な侯爵家の依頼も完遂だ」
「サッサと当主に渡して、
ああ、息子の方か、まぁどっちでも構わん。
それでこの依頼も終わりだ」
うん?
そういえばあのヴァッケンの奴は?
「そういえば、お姉さま方無事だったのですね?」
「? 何のことだ」
「何を言っている?」
答えるサンク、ヌフ。
「いえ、失礼しました」
あのヴァッケンで感じた
魔力のうちの一つがあそこに居たように思ったが……
依頼も完遂、構わんかーー
……
セレネース達は雷の話で少し立ち止まったが、
その後も遠征試験を続けている。
「フゥ、上手くいったようですね」
念話に切り替えるサクラ。
(ユウコ様、こちらも一人確保しましたので
拘束をお願いしてよろしいですか?
ひとまず目は覚まさないでしょう。
こちらに置きますのでお願い致します。
あとは隠れて頂いて夜に合流願います)
(ラジャ)
いやホント誰の影響か。
だんだんオモシロ可笑しい返答をするようになった
ユウコと合流するのを楽しみにしながら、
またなぜここに居るのか等色々と聞きたいこと
盛り沢山なサクラであった。
それと……
(お花摘みって出てきたのに……どうしましょう)
セレネースが無事で
ホッとすると同時にどう言い訳をするかで悩むサクラ。
ある意味ディースのスキル解読以上の難問であった。
学園南側 フィロン大森林 10㎞地点 瓢箪湖畔
サラとデーブの元に戻ったサクラ。
サラの、
「あっ、サクラちゃん!!
長かったねぇ、便秘?」
の一言でデーブが固まるが、
「そうなのよ、最近お肉が多いからかしら」
普通に返したサクラを見て更に石化する。
という一幕はあったが、
全員無事で今は湖畔で
地球ではゲルやヨートと呼ばれる物に似た
テント型住居で休んでいるところだ。
少し離れた隣ではサラが眠っている。
簡易結界は張っているものの、
見張りは置いており今はデーブの番である。
そのデーブを横目で見ながら、
ユウコとの待ち合わせ場所に向かうサクラ。
テントからあまり遠いのも心配なので、
湖畔を挟んで逆側の少し入った所で
待ち合わせをしている。
着いてみると、
剣が1本立っている……
「ユウコ様?」
直ぐに返事がある。
「ん、サクラお疲れ」
クスリとしながら答えるサクラ。
「お疲れ様ですユウコ様。
先程は有難うございました。
ホント困ってましたから、助かりました。
まさか真っ昼間に動くとは……」
一拍して返事がある。
「なら良かった」
相変わらず愛想も何もない返答だが、
誰よりも優しいことを知っているサクラ。
また聞かれないと肝心なことから何から
何も喋らないことも知っているので、
聞きたいこと盛り沢山のサクラは
質問を始めるのであった。




