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~79 遠征試験1~



 タケルとの会話からヒントを得たサクラ。


 

 あれから特に暗部に動きは無く、

 いつもの部屋で待ちぼうけを喰らったが


 部屋のログを見ても他の時間に来たような

 形跡もないため、

 遠征試験まで動きはないだろうと予測したサクラ。


 その間に幾度かスキル「高速演算」と

 ユニークスキル「並列思考」で分析した結果、

 暗部の目的は「魂の確保」という結論に至る。


 学園でステータス、スキルを育て神都に送ること、

 そしてタケルの言葉


 「誘拐の件とも全く無関係じゃない」


 これまで誘拐とは別個で考えていたサクラだが、

 タケルに聞いたマニスの件も含めて考えれば

 自ずと答えは出た。


 エッチなことをするのが目的ではない……はず。


(魂は簡単に言えば情報の集合体。

 記憶にスキルに全てが詰まったモノ。

 それを自由に取り出すことが出来るとすればーー



 マニスについては魂を引っぺがして別の肉体に入れ込み

 記憶も弄り最後はコロそうとしたようだが

 要は手駒にしたのである。


 誘拐犯についても「協力者」という単語から

 国の上層部で行われているであろう魂の確保と絡めて

 考えれば


 相手は王族だが露見しなければ問題ないと考え

 ギュスタフが公爵家で国の上層ということもあり

 セレネースの魂を使って良からぬことを考えても

 可笑しくないと結論付けた。


 

 そもそも学園であれだけセレネースに絡んできており

 また誘拐の話が出た日は食堂で一悶着、その時に

 サクラが怪しいと思った言葉がギュスタフの口から

 出たのである。


 誘拐犯がギュスタフで十中八九間違いないと

 結論付けても可笑しくないのである。


 しかし、ここで彼を問い詰めてものらりくらり

 躱されるだけで意味がない。


 まずはセレネースを拐われないようにすること。

 これが最も大事なことだ。



 また魂の件に戻るが

 マニスを例に取ってみても集めた魂を都合の良い手駒に

 するため都合の良い肉体に無理やり押し込み

 記憶を操作すれば簡単に強い軍隊が出来上がるのだ。


 ヴァッケンや聖光国では国民には分からないように

 反抗的な者達をそういった方法で

 手駒にしているのだろう。


 飼い主の手を嚙まないように……


 更に詳しい話はあるが、

 いずれにしろタケルには全て念話で伝えてあるので、

 セイラにも伝わるだろうと思っているサクラ。



 但し結論は出たが、

 問題が解決したわけではなくーー





「セレちゃ~ん。

 明日の遠征試験に護衛を付ける件はどうなったの?」


 今は遠征試験3日前の

 午前の講義が終わったところである。


 講義室でサクラがセレネースに頼んでいたことの

 確認を取っている。



「ん?

 あのデブも含めて貴族位以上には護衛を付ける件?」


「そうそう、後みんなの安全も考えて

 せめて試験会場の南の森周辺の警備の強化なんかも

 出来ればって」


「ああ、一応父上には伝えたわよ。

 でも、今は戦争のこともあるし、あまり兵を割けないし

 今までも学園の先生方で問題なかったんだし

 気にすることはないって。


「頑張るのじゃぞ」ってさ」



 心の中で溜息を吐くサクラ。


 ここでサクラが声高に


「セレネースが誘拐されますよ!!

 暗部の連中に!!」


 と言っても相手にされないどころか、

 どこからの情報だとか貴様何者だ!?


 などといった状況になるのは目に見えているので

 消極的対策として警備の強化含め

 セレネースの父である王に打診してもらったのだが……


「そう、しようがないよね」


 念のためというサクラの意向を汲んだ形だが、

 結果は御覧の通りで

 ダメ元でお願いしてはみたもののーー


(ハァ、そうなるとやっぱり手が足りないですね……

 どうせ動くのは夜でしょうから

 代替案はありますけど……)



 現在の情報から考えられる限りの

 状況をシミュレートしたサクラであるが


 何かしら別の突発的な状況が無い限り

 遠征試験でのセレネース誘拐は起こるだろうと

 予測していた。


 そして、それを阻止するための方策も考えたが

 万全には後一手足りないことも理解していた。



(ひとつはマレーネ先生に

 協力してもらうことなんですけど。


 流石に聖光国の学園講師の方に頼むのは

 どう考えても色々とリスクが高い……

 結局、私だけで動くしかないんですよね)



 更にひとつ溜息を吐いたサクラは

 いつも通りセレネース達と昼食を摂りに行き

 気分転換はするものの、


 無情にも遠征試験の日はやって来るのだった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




「今日もよろしくね、サクラちゃん!!」

「よろしく、サクラさん」



 二人はサクラと班分けで一緒になったサラとデーブ。


 何度か一緒に実戦訓練や試験の打ち合わせをした

 今回のサクラの仲間達である。


 デーブは名前と反対で背の高いスラっとしたイケメン。

 もう一人は名前の通り

 腰まである髪の毛がサラサラのサラ。


 大変カワユイ子で性格も温厚。

 サクラのお気に入りの一人なので

 セレネースと一緒でいつも仲良くしているようだ。


 デーブはイケメンだが少しよそよそしいため

 若干距離感はあるが仲が悪い訳ではない。


 マレーネの配慮なのか、

 貴族ではなくどちらも平民出身で気兼ねはしなくて

 済むようである。



「こちらこそよろしくね、頑張りましょう!!」


 サラは魔法、デーブは槍術が得意であり

 両者ともにギルドランクBのようだ。


 ギルドカードも持っており見せてもらったが、

 サクラもお互い表面だけということで見せ合い

 Hランクであったことに驚かれたのはつい昨日のこと。



 

 挨拶もそこそこにマレーネの開始前の

 注意事項が始まったようだ。



「それでは先生方もよろしいか?


 では、第1学年Sクラス遠征試験を開始しますが、

 説明したように明日の同じ時間に簡易詰所のある

 この森の入り口に帰ってくるように。


 念のため先生方に巡回をお願いしていますから、

 何かあった場合は直ぐに連絡することを

 忘れないようにして下さい。


 あと前にも言いましたが、

 討伐数については腕輪にある記録魔道具で

 判断しますから外したりしないように。


 腕輪の交換などの不正は

 個人の魔力を認識させてありますから

 直ぐに露見しますので。

 

 あとは壊さないように、

 と言ってもどうしても壊れてしまった場合は

 時間ロスになりますが

 ここに戻るか巡回の先生に伝えなさい。


 あと野営は必ず交代で見張りをすること。

 魔獣は夜こそ動きますからね。


 簡易結界の魔道具を渡してあるとはいえ

 油断はしないように。


 長くなりましたが以上です。

 それでは開始します。


 ご武運を祈ります」



 腹を括ったサクラはチラリとセレネースの方を見る。

 気付いたセレネースがニコリとして

 手をフリフリしてくれたことに同じく手を振って返す。

 


(さて、なんとかしますか!!)



 そう言ってデーブとサラと共に

 森の中へと入っていくのだった。





 学園南側 フィロン大森林 入り口から3㎞地点




「槍堅壁」


「|旋風刃≪エアカッター≫」



 ここまで然したる危険もなく

 順調に討伐数を稼いでいるサクラたち。


 魔獣も熊系統や狼系統が多いが苦戦などはあり得ない。

 問題は昼食を摂る予定時間の後に行く

 森林奥地に出るボスクラスの魔獣である。


 今は既に3㎞ほど1時間半近くは進んでおり

 そろそろ休憩を挟む頃合いである。



「フゥ、後ろが安心だから前に集中できるよ。

 ありがとう、サクラさん」


「そうそう、殿(しんがり)がしっかりしてると全然違うもんね」


 会話の通りサクラは殿を務めることになった。


 バックアタックの警戒なのだが、

 後ろから姿を現した瞬間、

 学園から借りて来たハルバートの餌食になっている。


 なので、前衛のデーブ、中衛のサラは

 後ろに魔獣が出たことに気付いていないこともあった。


 要は順調ということである。



「二人共、ありがと。

 じゃあそろそろ隠れられそうな所を探して

 休憩にします?」


 若干の疲労も見られる二人に声を掛け、

 警戒しながらも近くの大きな木の周辺に簡易結界を張り

 休憩を取る。



 またサクラは試験開始から

 セレネースの魔力を追っており

 現在の位置もほぼ正確に把握している。



(今のところ動きは無いようですね。

 森に入ってる様子もないですが油断は出来ません)



 動くのは夜としても万が一にも油断は出来ない。





 学園南側 フィロン大森林 入り口から10㎞地点



 昼食も摂り順調に森の奥地までやってきたサクラたち。


 討伐数も問題なく稼げており、

 後はボスクラスの魔獣を倒せば成績もかなり上位に

 食い込めそうである。



「一応これまでの討伐数を数えたけど、

 僕は24体かな」


「あっ、と私は19体、サクラちゃんは?

 殿してもらってるからあんまり稼げてないんじゃない?

 ゴメンね」


 そんな気遣いが嬉しく

 ニコニコとしながら答えるサクラ。


「私は8体ですけど、そんなの気にしなくて良いですよ」



 それを聞いたデーブが、



「まぁサクラさんは討伐数云々より

 そもそもマレーネ先生に土を付けてるからなぁ。


 討伐数は0でも良いんじゃないの?

 ハァ、こっちはコツコツ魔獣を倒しますか」



 と、肩を竦めておどけて見せる。


 サクラとサラはそれを見てクスリと笑うのだった。




 そんな会話をしているうちにボスの一体が出現すると

 言われている森の奥に到着する。


 木と草が鬱蒼と茂った場所を警戒しながら進むと、

 長さ30m程の瓢箪型湖の畔に出た。



「ここですね、後ろは大丈夫ですよ」


「うん、ありがとサクラちゃん。

 ……今は居ないのかな?」


「……いや、水の中に居るとも聞いたことがあるから

 油断せず警戒しながら少し調べてみよう」



 そう言って慎重に進むデーブ。




 !?




 舌打ちしそうになるのを我慢するサクラ。

 しかし心の中では盛大に舌打ちする。



(チィッ!! 入って来ましたか!!

 いや、落ち着け私。


 まだ森に入ってきただけ、1、2、二人。


 やっぱりディースが問題、でも2人という可能性も。

 いや最悪を考えないとーー



 更に心の中で毒吐くサクラ。



 ーー水の中は当たりでしたよデーブ君。

 さっきまで寝てたじゃない!! この……


 見てないから分かんないけど、

 このタイミングはヤメテーーーー!!)



 心の中で絶叫しているサクラを他所に湖の中から

 姿を現すフィロンドラゴンダイル。


 といってもワニとトカゲを組み合わせたような

 6本足の魔獣でドラゴンではない。


 しかし10m程もある大きな体躯と硬い鱗、

 6本足のためかスピードがあるという

 地味に厄介な魔獣である。


 サクラが先手を取って弱った所を

 仕留めてもらう予定であったが


 このままだと戦闘中に

 セレネースが暗部と接触してしまう。


 しかし今デーブとサラを放って置いて

 居なくなるのも非常にマズい。


 などとサクラが考えている間に

 暗部二人はセレネースの方へと

 かなりの速さで近付いているのが分かってしまう。


(クッ!!

 目立ちますけど、

 もうこのクソワニしばいてセレちゃんのーー



 口の悪くなったサクラの思考に割り込む念話。



 ーーいた。サクラ見付けた)



 エ!?



 気配も無く突然現れたのはーー








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