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~7 とりあえず薬草を換金しましょう~



「これってギルドに持ってったら報酬出んのかな?」



 リザードマンの亡骸を見ながら、

 ベレヌスが剣に戻ったので機嫌の直ったサクラに

 聞いてみる。



『恐らく槍やボスの鱗なんかは

 買取して頂けそうですが、

 初心者のタケルがいきなり7匹ものリザードマンを

 倒してしまったことが露見してしまいますね……』



 そうなんだよね、非常にマズいんだよね。

 サクラの言う通りなんだよね。



「申し訳ないけど湖に流すか穴掘って埋めるかかな」


『そうですね。誠に申し訳ないですが埋めましょう』


「そだね……」



 二人して、というか働くのオレだけなんだけど

 目立たないところに穴を掘って埋めることにした。


 そうそう、ちなみにオレのリュックって空間魔法で

 拡張してるから剣やらスコップ、つるはし等の

 工事道具系統少々


 ーー修行してるときに要るときがあんので

 ずっと入ってる。

 なんの修行かは聞かないで(遠い目)ーー


 料理道具は一式入ってる。


 というか前も言ってたけど、

 慌てて出てきたから常時入ってるモン以外は

 なんも入ってないけどな!!

 お金になりそうなもんとかな!!


 チクショウ、師匠め!!……怖いからやめとこ。


 とりあえずザックザック穴掘りしました。

 埋め終わって、二人して合掌……見た目一人だが。


 気を取り直して薬草を取りに掛かる。

 対岸にはまだリザードマンらしき気配はするが、

 こちらに寄って来る気配はない。


 というか、

 さっきから近くでリザードマンや魔物とは違う

 気配がするんだけど……


 なんだろ……?

 割と気配察知は得意なんだけどな。

 サクラもなんも言わんしな?

 

 別に敵意とかでもなさそうだし……

 ワカラン、気のせいか??


 言ってるうちに特になにも感じなくなったな??

 ……まぁいいか。


 とりあえずズイズイ薬草取りを進めます。


 こちら東側の湖岸には

 邪魔する魔物はいなくなったので

 リザードマンを仕留めてから1時間とちょっとで

 150本ほどの薬草が取れた♪



「ヨッシ、結構集まったお。

 これで300デルフィぐらいにはなるだろ」


『はい♪ お疲れさまでした。

 ギルドで換金しましょう』



 薬草だけ取りに来たのに色々とあったけど、

 やっとこさ落ち着ける場所を確保できそうだ。

 オッチャンの店での食事も楽しみだし。

 早速ギルドに向かおう。




☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★



 ギルドのドアを開けると、

 そろそろ夕方なので、

 来た昼頃と比べると冒険者は疎らで

 商談に来たであろう商人と思しき人達の

 出入りが多いようだった。


 セイラさんも例に漏れず

 冒険者や商談に来た商人をあっちにやったり

 こっちに案内したりで忙しそうだ。


 本人全然動かずに顎で指示してるけど

 案内された方は

 なんだかニコニコして離れていく。


 みんなMなのか? ちょっと変態なのか?

 などと考えていると、


『セイラ様お忙しそうですね』


(うん、一切動いてないけどな。

 ほかの受付の人はあっちゃこっちゃ動いてんのに)


『え、ええ、確かに(汗)それは置いておいて

 改めますか?』


(他の受付で換金してもらって

 オッチャンとこ行こう。


 セイラさんとこは後で行けばいいだろ?

 まだ宿も決まってないし)


 とりあえずセイラさんの用件が

 何か分からないという恐怖から

 一旦逃れられるという安堵感を得て、

 オレは足早に空いた隣の受付に向かった。


 セイラさんはオレに気付いているのかいないのか、

 内容は周囲の喧騒で聞こえないが


 先程と変わらず忙し面倒臭そうといった

 器用な様子で「あっちじゃ」とか

 「奥に勝手に入れ、職員がおるわ」

 とか言ってる。



 そんな様子を横目に、

 受付での換金は概ね順調に終わった。


 ただ薬草の中で花が咲いてしまっているものは

 薬効の原料となる養分が

 花に取られてしまっているので

 換金は適わなかった。



「結構頑張りましたね。

 147本で294デルフィですね」



 薬草は結構多かったらしい。

 それはさて置き、

 とにもかくにもオレたちはこの世界に来て初めて

 お金を手にしたのだ。


 労働で得たお金はどこの世界でも嬉しいものだ。

 人間でも鬼……ゴッホゴホン!!

 師匠でも関係ないのだ……はずだ。



「やっぱり嬉しいもんだねぇ」


『フフッ、嬉しいですね。

 早速ガトーさんところへ伺いましょうか』


(そうだな、行きますか!!)




 現在のところ、

 然程目立つこともなくパーフェクトな

 行動だと思う。


 しかし油断は禁物、目立つの厳禁、端っこの方で

 目立たず騒がず静かに食事を済まそう。


 そして宿を取って一休みだ。

 後ろになんとなく誰かの視線を感じるので

 自然と足早になるが誰の視線かは言わぬが花だ。




☆★☆★☆★☆☆★☆★



 初のお給金を頂いて

 少しばかりの高揚感に包まれながら

 オレ達はガトーさんの店に向かった。


 ガトーさんの店はギルドの3軒ほど隣なので

 すぐに着く。


 店の扉を開けると、

 一斉にこちらに視線が注がれた。



「誰だ?」

「若いな、冒険者か?」

「あんまり強そうに見えんなぁ」

「ダサいなぁ」

「ダメダメだな」

「……ウフフ♡」

「すぐに……」

「クスクスクス」



 ……ちょっとコメント入り過ぎだろ!!

 もだけど、途中変なの混じってなかったか?

 ま、まぁいいけど。


 コソコソともしくは聞こえるように話すのが

 聞こえた。

 初来店の客を値踏みしているようだなぁ。


 まぁこういう酒場なんかでは常連客が多いし

 酒場あるあるだね。


 とりあえず気にせず奥にいるガトーさんに

 声を掛ける。




「オッチャン、来たよ~」



 オレの声に厨房にいたガトーさんがこっちを向いて

 応えてくれた。



「おうタケル!!

 なんか依頼受けたのか? 

 とにかくコッチ来いコッチ!!」



 ガトーさんが声を掛けてくれたので、

 周りの客達も「なんだ知り合いか」といった感じで

 興味を失ったようで各々仲間たちと話や食事を

 再開したようだ。


 助かった、特に♡の奴っ!!


 ガトーさんに言われるまま

 店の右手奥のカウンター席に座った。



「すまんなぁタケル、こんな端っこで。

 狭いけど勘弁な、この時間は結構混むんだわ」



 ガトーさんは両手を合わせて

 申し訳なさそうにしているので、



「オレ端っこ好きだし、そんな狭くないよ」



 そう、そんなに狭くはない。

 大人ひとりが充分に座れるスペースがある。

 そう思っているとオッチャンが申し訳なさそうに

 言葉を継いだ。



「いや、今から狭くなるんだ」



 へ?



 不意に大きな影が動いたので左手の方を見ると

 クマさんがいた。


 多分身長は3メートルぐらい、色は明るい茶色、

 幅が少なくとも大人ふたり分……


 横ではニッコリと笑いながらオレを見下ろす人? 

 の良さそうなクマの獣人をオレは口を開けて

 見上げていた。



「こんにちは、タケルくんっていうの?

 僕はポー、よろしくね」



 と言ってニッコリ微笑んでくれた。

 ……めっちゃ可愛い、クマの○―3みたい!!

 名前も、近いよな。



『カワイイ~♡』



 案の定動物大好きのサクラが騒いでいる。


 大きさと可愛さのギャップその他諸々に

 驚愕しながらも



「よ、よろしく」



 と、なんとか答えた。

 しかしどうやって座るんだろう?

 という疑問はすぐに解決された。


 店の奥から店員の女性

 ーー多分ご近所のパート奥様ーー

 が出してきた特別大きい椅子に座った。



(確かに、そうなるわな)


『カワイスギル♡……』



 ……サクラは放っておこう。



 どうにかポーさんの横に腰を下ろし、

 ガトーさんの料理を楽しみにしながら待っている。


 ポーさんが横にいるので

 少し椅子から仰け反るように

 ぐるっと首だけ回して改めて店の中を見てみると

 殆ど満席だ。


 ちなみにこの世界にも当然暦は存在する。

 しかし1年が10か月になっており、

 1か月が40ないし41日。

 1週間の単位は10日。

 1日の基準を示す時間は概ね28時間である。


 全てサクラの受け売りなんだけどね。

 地球とは違い長く感じるのは間違いない。


 まぁこの世界の人たちからすると

 これが普通なんだけど。


 そんなこの世界での夕方18時半頃。

 もうガトーさんの店は満杯になる寸前だ。


 18時半というと地球の感覚だと概ね夕食の時間だし

 おかしくないと思うのだが、

 28時間が1日の世界だと……ちょっと早くね?


 まぁ身体使って生きてる人が多いから

 お腹が減るのも早いんだろうけど。

 城やギルドでない限り定時ってのも適当だろうし。


 取り留めもないことを考えながら、

 ボ~っとしているとガトーさんから声が掛かった。



「おうタケル!! 

 スマンがもう少し待ってもらえるか!!」


 全然い~よ、と言おうとすると、


「んでな、ちなみに宿屋は決まったか?」



 と、聞かれた。

 聞こうと思ってたことを先に聞かれたので、

 渡りに船で出来れば紹介して欲しいと伝えると、



「押し付けんのもなんだし黙ってたんだがよ、

 よかったらウチ使わねぇか?」


「ん? ガトーさんとこ宿屋やってんの?」



 聞くと宿屋と食堂、酒場は概ね一緒に経営している

 ところが多いらしい。

 ガトーさんの店もご多聞に漏れず

 一緒に経営してるようだ。



「隣なんだよ」



 ガトーさんの指さす方向を見るとカウンターの奥に

 扉があり宿屋へ繋がってるようだ。



「そこのドアから向こうへ行きゃ、

 うちのカカァが受付やってるからメシ待ってる間に

 部屋取ってきたらどうかと思ってよ。

 空いてるはずだわ」



 右手の方向の扉を見て、

 ガトーさんを見て深く頭を下げて礼を言った。



「ありがとう、オッチャ……ガトーさん。

 なにからなにまでお世話になりっぱなしで」


『ホントホント。

 どこかのタイミングで

 ちゃんとお礼をしなといけませんね』


(そうだな)



 頭を下げてサクラと話していると、



「よしてくれや!!

 ほいで前も言ったか?オッチャンで良いからな!!

 なんにしろ、お代はちゃんと頂くしな!!」



 ニヤリと片方の口の端を釣り上げ笑うオッチャン。


 まぁこの行動も

 オレに気を遣わせないためだろうなぁ。


 横のクマさんも話を聞いていたようで

 「ヨカッタね」と言ったあと、

 ニコリと笑ったが口が蟀谷近くまで裂けていた。


 恐らく微笑んでくれたのだろうが、

 なんだかついでに食べられそうだな……



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