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~76 学園生活初日1~



「しかし良かったのですか?

 昨日の今日で授業を受けるなんて」


「いえいえ元気なもんですよ」

(タケル相手に比べればねぇ)


「そうですか、でも無理はしないようにね」



 話しているのはサクラと

 魔法研究学園の第1学年Sクラス担当教員の

 マレーネ・シグラ。


 敬虔な聖光教信者であり

 流石にSクラスを担当するだけあって

 ギルドランクはSの猛者である。


 おっとりした見た目ではあるが実力は確かなのである。

 ただ一筋縄ではいかないSクラスに

 苦労はしているようだが……


 

 昨日、副学園長室で入学手続きを済ませたサクラ。


 アレクサンドルと違い休む間も無く学園に

 連れて来られたため1週間後からの登校でも

 構わないと言われたが、

 一刻も早く学校というものに行ってみたかった

 サクラは今日から授業を受けることを希望したのだ。


 当然情報収集もガッツリやるつもりである。


 真っ白のワンピース型セイラー服は

 上半身にワンポイントが入った半袖、

 スカートは膝上のフレアー型。

 黒のソックスに靴はローファー。


 自分の姿を見ながら、

 ポニーテールにした髪を結い直し、

 上機嫌で講義室へ向かうサクラであった。




 学園本棟 第1学年Sクラス 講義室



 ーーワイワイ

 来るらしいぞーー

 ーーガヤガヤ

 どんなやつだーー

 ーーガヤガヤガヤ




 ガチャ




「もう噂になっているようですね。

 ハイ、皆さんお静かに」

 


 シーン



「10代での優勝者は

 もう10年程は出ていませんでしたかね。


 ヴァッケンでの世界武闘技大会の優勝者でもあります

 転入生のサクラさんです。


 出身はエルフの森周辺の少々ーー


 チラリとサクラを見るマレーネ。


 ーー辺鄙な田舎ですわよ」


 言い難いところを確認するが、

 代わって答えるサクラ。


「コホン、それで今回の大会優勝の功績を以て

 当学園へと特別入学という形で転入されました。


 皆さん仲良くするようにお願いしますよ。

 ではサクラさん自己紹介を」



 マレーネの傍らから一歩前に出て自己紹介するサクラ。



「サクラと言います。

 なにぶん田舎暮らしの田舎育ちでしたので

 ご迷惑をお掛けするかもしれませんがご容赦を。

 よろしくお願い致します」



 そう言ってニコリと微笑むと、



 キャアアア――

 ――カワイイィィ

 ワイワイワイ――

 ――ダメだかわい過ぎる……

 ――ガヤガヤガヤ



 既にファンが出来そうな勢いである。



「ハイハイ、静かに!!

 席は同室のセレネースさんの隣で構わないわね」



 そう言ってセレネースの方へ促すマレーネ。


 サクラが席の方を見るとセレネースが

 手を振り振りし手招きしている。



「へへぇ~隣の席だね。

 しかしスゴイ人気だね~サクラちゃん。

 また後で学園案内するね」


「ありがとね、セレちゃん」


 そう言って

 今朝から愛称を変えたセレネースに答え、

 また今朝もらったばかりの講義の教本を

 開くサクラであった。





 学園本棟 1階食堂室



「わぁぁ、広いんですね」


「でしょでしょ、ウチの学園自慢の食堂よ。

 充分に席はあるから、

 あっ今日は南部ボアのステーキ定食だよ!!

 行くわよ!!」



 講義も終わり今は昼休み。

 セレネースに案内してもらい昼食を摂りに

 講義室とは反対側にある食堂へ来ているサクラ。



 今日は人気のメニューらしく

 足早に注文所へ向かうセレネースに、



「おやおや、これはこれは

 セレネース姫ではありませんか。

 どうしたのです? そんな足早で?」



 取り巻き5人程を連れて話し掛けてきた人物は、

 聖光国 公爵家次男である

 ギュスタフ・ラルフ・アトラクティフ。


 王族であるセレネースとは小さい頃からの付き合いで

 何かと出来の良かったセレネースを疎ましく思い

 毎度会う度に嫌味を言ってくるイヤミな男である。

 ちなみにポッチャリである。



「どこも何も食事を注文しに行くのよ」



 肩を竦め小馬鹿にするような目で見るラルフ。


 今のどこに小馬鹿にする要素があるのか

 分からないサクラはとりあえず会話を聞いている。



「そんな庶民のように慌てて食べ物を漁るから

 いつまで経ってもお転婆姫などと言われて

 嫁ぎ先も決まらんのですよ」



 カチンと来たセレネースだがサクラも居るので

 何も言わずサクラの手を引いて注文所へ向かう。



「ハハハ、無視ですか。

 図星だから何も言えませんか!!

 ハハハハハーー




 席に着いて話し始めるセレネース。



「もう、モグモグ、アイツ本当にイヤミばっかりで

 面倒臭い、モグモグ、ったらないわ、モグモグ」


 まぁまぁ、と取り成すサクラに

 食べながらも愚痴を零すセレネース。


 ラルフのフルネームから公爵家との付き合いに始まり、

 成績や実戦訓練でやたらと絡んでくること

 

 そして王族、貴族以外は居ないものとして振る舞い

 平民出身者はいつも彼の言動や行動に

 迷惑を被っていることを話す。


 それを頷きながら聞いていたサクラは、


「でも、実力は確かではないのですか?

 彼もSクラスで見ましたよ」


 とセレネースに尋ねると

 少し困惑した表情で語り始める。



「それが可笑しいのよ……

 今年入学するまではアホのパッパラパーで

 ステータスもスキルも見た訳じゃないけど


 私と同等に戦えるなんてありえないくらい

 弱かったのよ。


 それが特待生で入学して来てるし……

 特待生だと入学試験受けなくても良いから

 公爵家の力を使ったのかと思ったんだけど


 実戦訓練では私も何度か負けてるし

 正直よく分からない……

 ううん、気持ち悪いのよ変わり様が」



 食べながら話していたセレネースも手を止めてまで

 ラルフの変貌ぶりを話してくれる。


 お姫様がパッパラパーって……

 と、そこにもあそこにも引っ掛かりはあるものの

 主目的を蔑ろにする訳にもいかず

 その話は頭の隅に留めておくサクラ。


 そんな中、手に手にステーキ定食や

 定番のスープとパン、好きなおかずを3品付けて

 もらえるアラカルト定食、

 ダイエットしているのか飲み物だけを持った

 同じクラスの女子達がジーっとこちらを見ていることに

 気付くセレネース。



「あーー、みんな!!

 こっちこっち良かったら一緒に食べようよ!!」



 ワァ、と歓声が上がり

 直ぐにサクラとセレネースの周りはクラスの生徒で

 一杯になる。


 後は折角の食事時にこんな話もね、

 と気持ちを切り替えたセレネースやクラスの女子達が

 学園のことや聖光国のことを色々と教えてくれ、

 同じくらいサクラのことを聞いてくるのであった。





 学園本棟 実戦訓練用闘技場




「グホッ、ゴッホォ」



 バタ

 

 ゴッゴッーー




「やめなさい、そこまでですラルフ君」



 昼からの実戦訓練で準備運動、

 二人組での模擬訓練を経て今は二手に分かれての

 勝ち抜きの実戦訓練である。


 この実戦訓練は攻撃魔法は使用禁止であるが、

 身体強化など補助魔法は使っても良い。


 要は剣技や武技を鍛える訓練となっている。

 魔法はまた別に時間を取ってあるようだ。


 組み分けはマレーネが行い

 今は公爵家のラルフと同じクラスの男子が

 実戦訓練ということで刃挽きはしてあるが

 得意の得物で戦っている、いや終わったところだ。


 ラルフは片手剣で戦っていたが、

 相手が気絶し倒れたにも関わらず腹部に蹴りを

 加えていたのだ。



「ハハハ、実戦訓練ですからね。

 ちゃんと止めを刺さないと」



 実戦訓練の際は念のため回復魔法師が準備をしている。


 溜息を吐きながら、

 マレーネはその回復魔法師に指示を出し

 倒れている学生に手当を行ってもらう。



「やり過ぎです。

 聖光教の教えにもある通り戦いといえど

 相手にも慈悲を以て接しなさい」



 バカにした目付きで答えるラルフ。



「ハッ、そんなことしてたら

 こっちがシんでしまうではないか?

 そもそも平民と同じクラスなど、

 身の程を弁えろというのだ」



 話にならないと判断したマレーネは

 ラルフを睨みながら下がらせる。



「本来なら勝ち残りですから次もラルフ君ですが、

 あなたはもう下がりなさい」


 納得のいかないラルフはマレーネに食って掛かる。


「はぁ? まだまだ出来ますよ僕は」


 ニヤリと笑いラルフに向かって尋ねるマレーネ。


「次は私が相手ですが良いのですね?」


 ラルフがマレーネを睨むがそれも一時。

 直ぐに目を逸らし舌打ちをしながら下がっていく。


 それを見て気持ちを切り替え

 雰囲気を変えるべく生徒達に声を掛ける。


「それじゃあ今日の実戦訓練の仕上げに

 みんなには私との対戦を見てもらいましょう。

 相手はーー


 一拍置いて対戦相手の方を向くマレーネ。

 

 ーーサクラさん、いらっしゃい」



 ブッ!!



 珍しくお下品に吹き出すサクラ。


 ラルフのやり過ぎで気分を害していたサクラは

 お昼にあったことも含めて、

 どうやったら誰にも気付かれずあのデブの顔を

 身体と同じくらいにしてやれるかと物騒なことを

 ニコニコしながら考えていたところ


 突然の指名。

 

 ちょっと焦ってしまったが、



「あら、お疲れですか?」



 挑発なのは分かっており穏便に過ごしたい

 サクラであったが丁度良い機会でもあると

 タケルに連絡を取ることを思い付く。


 この状況で連絡を取る者はそうは居まいと

 スキル「並列思考」を駆使し念話を始めたのであった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★



(ヘイヘイ、タケル!! お昼食べてるかい!!?)



 直通念話であることを理解しているサクラ。

 なので直ぐに繋がることが分かっている。


 テンションが可笑しいので

 これで繋がらなかったらタダのバカである。



(……食べ終わったよ)


 何か変なテンションに悪い予感しかしないタケルだが、

 サクラは現在ここフィーネとはかなり離れた

 聖光国に居るため少しホッとしながら話を聞く。



(んで?

 昨日の今日だからあんま情報は期待してないけど。

 何かある?)


 推測も交え簡単に説明を始めるサクラ。


 まずは学園で隠し部屋を見付け、

 ディース、ヌフ、サンクという暗部であろう

 二人ないし三人について伝える。


 ディースとヌフは真っ白な髪に透き通るような肌で

 容姿がそっくりで双子ではないかということ。


 またヴルカヌスは大司教と紹介したが

 表向きは大司教で裏では暗部といった情報収集その他を

 主に行う部隊の一員ではないかということ。


 大司教ということであれば教会がある場所であれば

 どこに居ても可笑しくないからだ。


 そして一番の目的である聖光国の狙いに関することだが

 その取っ掛かりとなるかもしれない情報として、

 ディースとヌフが昨晩話していた

 世界中の強者を集めることが目的であることを

 伝えたサクラ。


 その他、

 大会優勝者は聖光国へ来ていることが多いが

 全員でないこと。


 また年齢等の理由で

 直接神都へ送られる者も居ることから

 学生として3年間で教義や兵士としての訓練を受ける

 概ね20歳までとそれ以上で分かれることを説明。

 

 あと、上層部4人が居なくなったヴァッケンへは

 倪下、殿下が向かって事態の収拾に

 当たっていること等を説明した。



 昨日の今日でと言ったものの結構情報取ってんな、

 と感心しつつ、


 タケルの方は親衛隊は三柱の精霊神が

 ヴルカヌスは自分が倒したこと。


 また情報を取るためにバロンが獣王国王都へ

 連れ帰ったことを説明。


 あとベックス、センターやマニスとエレーナの状況に

 ついても伝えた。


 サクラの学校のこともセイラからどんなところかは

 聞いたようだ。



(そうですか……

 会長やマニスちゃんにお姉さんのエレーナさん。

 酷いことを……

 なんとしても聖光神の目的を

 探り出さないといけませんね。


 それから、ヴルカヌス王を倒したことは

 私も昨晩聞きました。


 タケルだろうとは思っていましたが……

 ただ気になるのはそれが何者かに敗れた、

 程度ではありますがそれが伝わっていたということ。


 そうなると少なくとも誰かがタケルとの戦いを見ていた

 と思われますから気を付けてください。


 ちなみに気が付かなかったのですか?)


(そうだな、あの場には誰も居なかったぞ)


(そうですか……

 タケルが気付かないとなると

 遠距離からの遠見系統のスキルかもしれませんね。

 いずれにしろ注意してください)


(そうだな、分かった。

 そしたら今の話、セイラさんに伝えてくるわ。

 オレ、ガトーさんとこだからギルド行ってくるーー


 そういえば、と

 既に安心であることは分かっているため尋ねるタケル。

 

 ーーそういえば、さっきのあのテンションは何?

 何してんの今?)


 答えるサクラ。

 

(ああ、いま担任の先生と実戦訓練中なんですよ。

 また今夜も暗部が集まるようでしたら連絡しますね。

 あまり長いとアレなんで、あっ優勝じゃないですよ。

 じゃっまた!!)




 ……




(オレとおんなじこと言うのね……まぁいいけど。

 それもだけど実戦訓練? 最中に念話してんのか?

 何やってんだ?)


 まぁとりあえず元気そうで良いか、

 とギルドに向かうタケルであった。



昨日と今日も

ブックマークを付けて下さった方

有難うございますm(_ _)m


なんとか今日中に更新できました。

いつも読んで頂き有難うございますm(_ _)m

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