表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/250

~6 薬草を取りに湖へ行きましょう~



『ホントに綺麗な女性を見ると

 見境がないんですから!!』



 う~ん、プンプンしてんなぁ。


 意識共有してる弊害がこれなんだよなぁ。

 けど、

 綺麗な女性が居たらキレイって思うよね男子なら。


 なんにも悪いことしてないのだが、

 どうもサクラはオレのことを女好きだと

 思っているようだ。


 女好きではないんだけどなぁ。

 キレイである部分が大きければ目も引き付けられる

 ってもんじゃないかなぁ。


 どう考えても自然な現象かと思うんですが?


 サクラも自然な生理現象のようなものだと

 分かってると思うんだけど、

 オレに悪い虫が付かないようにしてくれてるのか?



 ……



(オカンか?)


『ア゛なんて?』


(いや……)


 

 知らないふりで口笛を吹いてみるが、

 シューシューと蛇の威嚇音みたいになる。

 もうとりあえず返事しないでサッサと湖に行こ。




☆★☆★☆★☆★☆★



 サクラの怒気に当てられ足早になったのも手伝って

 早々に湖畔に着いた。


 相変わらず綺麗な湖で

 木々が湖面に映り込んでいるのが見える。


 だが薬草集めに入る前に少しやらなければ

 いけないことがあるようだ。



『左右の木の陰に2体。

 あとは奥に散開、半円状に5体。

 リザードマンと思われます』


「ん、わかった」



 あれぇ?

 セイラさん確かこの時間帯は大丈夫って

 言ってたのになぁ?


 まぁ、いいんだけどさ。


 さて、どうしたもんか。

 とりあえずリュックから氷の魔剣を取り出す。


 さっきはユッコに頑張ってもらったし

 精霊たちも少しづつこの世界に慣れて

 もらわないとな。



「スカー頼む」


『スカージ様、起きてください』



 二人で呼びかける



 ……



 一拍置いて返事があった。


「……眠いんだけどぉ」



 一応返事が返ってきた瞬間に

 魔力が周囲に広がったのを受けて

 左右に居たリザードマンが躍りかかって来た。



「ハァ、トカゲ……

 まぁ主殿の依頼なら仕方あるまい。

 ひと仕事するかの」



 魔剣のまま怠そうな欠伸。


 眠っているところを起こしたのはタケルなのだが

 目前に迫るリザードマンへ

 八つ当たりを敢行するスカージ。



「トカゲごときが妾の眠りを邪魔するとはの。

 早々にシね!!」



 さぶっ!!



 辺りの温度が急激に下がり、

 魔剣の周辺から20本ほどの氷の槍が現出する。


 リザードマンは構わず突っ込んでくるが

 突如ピタッと止まったかと思うと後ずさって行く、

 全身に氷の槍を生やして。




 ドサッッ

 バタァッ




 背中まで貫通した氷の槍は全身に及んでいる。

 そして重そうな音を立てて、

 ゆっくりと丈の低い草の上に転がった。



「ね、寝起き悪いね、相変わらず。

 さぶいし(ブルブル)」


『そ、そうですね』



 相変わらずの寝起きの悪さを

 サクラとコソコソ話しているタケル。


 その傍らで魔剣から発生した霧が

 徐々に形を成し何か顕現しようとしている。


 透けてない?

 と思うが透けていない肩口から肌の露出した

 腰のあたりを帯のようなもので絞った

 何とも不思議なオーロラのように

 色が変化するワンピース。


 同じ色の変化するショートブーツを履いた

 吸い込まれそうな蒼い瞳、腰までの長い蒼い髪、

 ビスクドールがそのまま大きくなったような

 20歳前後の女性ーー


 ーー氷の女王 精霊神スカージである。



「……いつも言っておろうタケル。

 妾は夜に強いのじゃ。


 昼は大方寝ておるよ。

 だいたいここはどこじゃ?」


「『おい!!』」



 サクラと同時に突っ込んだ。


 どうやらスカージさまは

 次の世界に飛ばされたのも知らなかったようだ……


 確か師匠んとこからこっち来る4、5日前に

 一度修行に付き合ってもらったはずだ。


 その後ずっと寝てたのか? 

 1週間ぐらい寝てたのか??



「スカー、お前がいつから寝てたのかは

 後で聞くとして、

 あと5体ほどリザードマンがいるんで

 力を貸してーー


「イヤじゃ」



 即答か!! んでもって拒否!!

 け、契約っていったい……



「だいたい貴様の髪の毛でも倒せるではないか。

 わざわざ妾が出るまでもないわ。


 夜になったら起きてやるから

 それまで静かにしておれ」



 と言って、剣化してしまった。

 いや、髪の毛では倒せんし。


 なんかオレが契約された側みたいに

 なってきてんな……



 言ってる間に正面の少し黒い?

 リザードマンーー多分リーダーか?ーー

 が水の槍やら弓矢やらで攻撃するのを躱しながら、


 とりあえず夜型の女王さまは

 リュックに仕舞ってだな、

 3本目の魔剣、炎の剣を取り出した。


 いずれにしろ炎の剣もどこかで出してやらないと、

 この世界に慣れないままでは困る。


 魔素? 魔力? エーテル? 

 色々と呼び方はあるけど

 精霊もそういった力の種類によっては

 馴染みにくい場所なんかもあるからね。


 そもそも魔力体だし。



「ベレヌス頼む!!」


『お願いします!!』


「御意」



 そう声を掛けたオレたちと、

 リザードマンたちが包囲を狭めてきたのは

 同時であったーー


 まずは横に薙いで右の2体を屠る。

 焼け焦げた匂いが辺りに充満する。

 この炎の剣では切ったモノは燃えるのである。


 残りは3体だが、そのうち一番右側にいる個体は

 他と少し感じが違うようだ。


 左の2体は先程味方が倒されたのを見て

 警戒し距離を取っている。


 できれば逃げてくれると有難いんだけど。

 って訳にイカンわな……


 左側から2本の槍が飛んでくる。

 結構な速さだがまぁ問題ない。


 避けつつ更に槍を投げた2体の背後に回るが、

 まだ2体は気付いていない。


 恐らくその2体を囮に

 オレの背後に回るつもりであった右側に居た

 ひと回りデカいリザードマンは

 2体の背後に居るオレからは2体を挟んで

 真正面の位置取りとなる。


 投げた槍はそちらに向かっているので

 必死で避けているようだ。


 後ろから横薙ぎに剣を払い

 2体を胴から真っ二つにし、

 跳んでデカいリザードマンの真上へ移動する。

 

 デカいリザードマンは槍を避けた後、

 オレがいないことを認識したが、

 どこにいったのかは分かっていないので

 一瞬パニックとなる。


 そんな隙を逃してやるほどお人好しではないので、

 頭上から降り際に

 サッサと首を斬り落としてしまう。

 ついでに燃える。



 バシャ……ジュゥゥゥ



 音を立て煙を出しながら

 胴体部分は湖の浅瀬に浮かんでいる。

 頭は草むらに転がっている。


 絶命しているのを確認し、

 一息吐きベレヌスに礼を言う。


 ちなみに炎はベレヌスの思いのまま燃えたり

 消えたりするので燃え移ることはないのだ。



「フゥっと、ベレヌス助かったよ。ありがとう」


『おつかれさまでした』



 オレとサクラは声を掛ける。


 ベレヌスは顕現すると

 目を見張る赤い髪を持つ老紳士の姿となる。


 その姿に似合った渋い物言いが特徴である。

 完璧で上品な立ち居振る舞い。


 礼儀作法に煩いスカーでさえも完璧と太鼓判を押す

 ーーアンタはどやねん! てのは置いておくーー

 知識も豊富だし頭の回転も良い。


 こういう年の取り方をしたいと思わせるような人物

 ーーこちらも精霊神ーーなのだが……



「お安い御用でございます。

 これから対岸のトカゲ共も一掃して参りましょう」



 といって魔剣から一瞬で顕現、

 対岸へ跳んでいこうと空中に飛び上がった足を

 なんとか捕まえて、



 ビタンバチャ!



 頭から水辺に突っ込む……




 水辺に突っ込んだベレヌスを見て

 若干引き攣りながらサクラが言葉を掛ける。



『ベ、ベレヌス様……いつもいつもですが、

 タケルから呼び出しがあったときに張り切りすぎて

 やり過ぎることが多い……


 いや全てやり過ぎておりますよ。

 少しお控えください』



 掴んでいた足を離すと、

 足がバチャッとなって

 少し泥が飛んで足に掛かった。


 途端に目で追うのがやっとの速さで、

 オレの足の泥を何処から出したのか

 白いハンカチで拭ってくれている。



「申し訳ありません!! このベレヌス一生の不覚。

 主に泥を塗ってしまうとは!!

 この罪は一生を掛けて償わせて……」


『……ッチ、相変わらず面倒臭いわね』




 ……


 

 一拍ほどの沈黙




「……ホォ、炎神とも呼ばれる

 このわたくしにその物言い。

 覚悟は出来ておるのだね」



 サクラはウザいのが苦手で

 偶にこうしてベレヌスとケンカするのだが、

 その時の雰囲気やら口調やらが……正直怖い。


 概ねベレヌスのこういった行動が

 切っ掛けとなっている。


 そもそも「覚悟は出来ておるのだね」って

 相手すんの結局オレって分かってんのかね、

 このAIと精霊は。



「あ、あのな、ケンカしないようにな。

 オレとベレヌスが戦うことになるからね。


 これも毎回言ってるけどな。

 まぁとにもかくにもありがとな。


 泥は大丈夫だし、

 これから薬草集めだし力借りなくても

 大丈夫だから。

 ゴメンな、ありがとう」



 オレがそういうと、

 ベレヌスは頭を垂れ跪いたまま、



「主からの寛大な恩赦。

 そして感謝を受け、

 わたくし大変感動致しております」


(いや、恩赦って……

 んでもって泥だらけの顔と泥だらけの

 モーニングが……

 もうこっちが辛いよ……)



 サクラはプイっと横を向いている雰囲気で

 黙っている。


 まぁ何かと大袈裟なのはちょっとちょっとだけど

 優しいし、基本仕事はキチンとするんだよなぁ。


 だから頼りにしてるし、

 オレも無理をお願いしたりもするので

 こういうとこもご愛嬌と思っている。


 サクラはオレに甘過ぎると

 いつも注意してくるけど……



「う、うん、なんせ汚れてるし一旦剣化しなよ。

 また呼ぶからさ」


 跪いたまま胸に手を当てて、


「この小汚い姿を主の目に入れるのは

 罪以外の何ものでもございません故、

 此度はこれにて失礼申し上げる」



 あの服、魔力で作ってんじゃないらしいんだけど

 一体どうなってんのか未だに分からない。


 次出てきたらキレイだしな、洗濯とかしてんのか? 

 ベレヌスが? ップーー


 何着も持ってんのかな? 


 今度聞いてみようと他愛の無いことを思いながら

 剣化したベレヌスをリュックにしまい

 周りを見渡すと辺りにゴロゴロと

 リザードマンの死体が転がっている。



 いつもなら解体してギルドに持ってくんだけど……



ブックマークを付けて頂いた方、有難うございますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ