~67 なにごとですか??~
ーーガヤガヤ
おキレイですねぇーー
ほんと羨ましいーー
是非うちのーー
ーーワイワイ
決勝戦の2時間程度後、表彰式も恙無く終わり、
ここは王城ヴァスト内パーティー用大広間である。
出席者はヴルカヌスをはじめVVVのメンバー。
その他、国の重鎮である宰相や大臣、貴族や有力な商人
などもいる。
大会で4強に残った選手達も出席している。
本来ならここにセンターとベックスも
出席するはずであったが当然居ない。
「なんなんだ貴殿は? 光ったら敗けていたぞ」
「ちょっと規格外過ぎますよ。奥義で服だけとか……」
「わたしは当たらなくて良かったかと」
ゼットにセスタ、ラピスである。
皆一様にサクラに興味津々で先程から商人含め
引っ切り無しに話し掛けられている。
「ホホホ、たまたまですわ」
他所行きサクラである。
現在パーティーが始まって1時間程経った頃である。
そこへ、
「フフ、この大会はたまたまで勝てるほど
甘くはないはずだが?」
年の頃40歳前後、
真っ赤なシャツに真っ赤なタキシード
燃えるような赤い髪で現れたのは
ヴルカヌスである。
慌てて礼を執ろうとする4人を制するヴルカヌス。
「よい。
主賓は貴様等だ、ゆっくり楽しめーー
声を掛けて、サクラを見るヴルカヌス。
ーーサクラよ、少し時間をもらうぞ」
そう言って踵を返し指で着いて来い、と歩き出す。
控えていたVVV3人が付いていこうとするが
ヴルカヌスに制される。
「構わん。二人で話がしたい」
「ですが閣下ーー
ーー二度は言わんぞ」
そう言った瞬間、会場の全員が一斉にヴルカヌスの
気配に圧され尻餅を搗くものまで出ている。
「ム、貴様のせいだぞネスレよ」
ネッ!?
「し、失礼致しました。閣下のご随意に」
VVVNo.1エグゾネスレに倣い
No.2サージェリー、No.3スカルペルも胸に手を当て
会釈する。
「行くぞサクラ」
「は、はい」
(と言いつつネスレはちょっと、ねぇ。
ネッ◯ルじゃないの。
スイス出身だったらどうしましょう?
あぁ、ダメだわタケルに似てきました……)
慌てているフリで心の中では関係の無い事を考える
サクラではあったがとりあえずヴルカヌスに
付いていくのであった。
王城ヴァスト敷地内 迎賓館の一室
「フゥ、毎年ではあるが
あそこは落ち着いて話が出来んーー
それよりも、と言葉を継ぐヴルカヌス
ーー良く似合っておるではないか」
クリーム色のパーティードレスに身を包む
サクラは微笑で応じる。
「このような立派なお召し物をお貸し頂いて、
有難うございます」
含み笑いのヴルカヌス。
「クク、貴様が街娘の格好で参ったと聞いたときは
耳を疑ったぞ?」
「ホホホ、こんなお偉方のパーティーにお呼び頂くこと
なんて無いものですから。
お恥ずかしい、失礼致しました」
ーー失礼致します
紅茶を淹れ退出するメイドの女性。
部屋に二人きりになったタイミングで本題とばかりに
雰囲気の変わったヴルカヌス。
「さて、貴様だけ呼んだのは理由があってな。
入ってくれ」
!?
そう言って部屋の奥から来た人物を立って迎える
ヴルカヌス。
部屋に入って来たのは真っ白な僧衣に身を包んだ
これまた雪のように真っ白な髪で
透き通るような肌を持った20代前半に見える女性だ。
(私が気付かないなんて、この人……)
驚いているのを億尾にも出さず礼を執るサクラ。
「これは失礼致しました。
わたくしサクラと申します。えと……」
対して女性は、
「知っている。
呼びたければ私のことは「ディース」と呼べ」
そう言ってヴルカヌスの座っていた隣に座る。
ヴルカヌスがメイドを呼ぼうとしたところ、
それを制するディース。
「茶などいらん。さっさと済ませたい」
それを聞いたヴルカヌスは溜息を吐いてディースの隣に
腰を下ろす。
「ハァ、少し愛想はないがこの方は聖光教の大司教でな。
急に驚いたであろうが、
決勝を見てそなたのことが痛く気に入ったようで
どうしても会いたいと言われてな」
ディースと呼ばれた女性へのヴルカヌスの言動から
同格に近いと見て取ったサクラは失礼に当たらない
不自然でない程度の警戒感を示しながら応じる。
「それはそれは大変光栄でございますわ。
それで何かわたくし如きにお聞きされたいことが?」
警戒感を見て取ったヴルカヌスがサクラに答える。
「ハッハッハッ、そう警戒するな。
ディース殿は貴様を聖光国へ招待したいと、
是非その強さを聖光神様にお見せしたいと
申しておってな」
言葉の途中からアビリティの高速演算も使って
超高速で思考をフル回転させ始めるサクラ。
(ヴァッケンどころかいきなり敵の懐ですか。
構いませんが、
より外への連絡は難しくなると予想されますね……)
「まぁ!? そういうことでしたか。
何かわたくし聖光教に無礼を働いたのかと
思いましたわ」
初めの会話以降喋らないディースに代わって
答えるヴルカヌス。
「クク、面白いな貴様は。心当たりでもあるのか?
冗談は良いが、どうだこんな名誉なことはあるまい?
一般の者が聖光神様に直に会えることなど
まず無いからな」
大変名誉なことであるらしいので
それらしい表情と態度でそれを示すサクラ。
「それは是非!!
ちなみにいつ頃から向かわれるのですか?
えとディース様?」
一度矛先をディースに向けてみるサクラ。
「私は今からでも構わない」
それを聞いたヴルカヌスが、
「ディース殿はせっかちでイカンな。
サクラ殿にも準備があるだろうに」
「なら聞くな」
ぶっきら棒なディースに苦笑いのヴルカヌス。
コンコン
そこへ扉をノックする音、扉の外から声が掛かる。
「閣下、お耳に入れたいことが」
「なんだ? 構わん、入れ」
部屋に入って来た暗部らしき人員に
マニスのことを思い出し少し沈んだ気分になるものの
驚いている風を装うサクラ。
「閣下、ここでは……」
聞いたサクラが席を外すべく立ち上がる。
「そろそろパーティー会場に戻りますわ。
わたくし主賓ですから」
花が咲くような笑顔で警戒心を隠しながら
正面のヴルカヌスと隣のディースをしっかりと確認し
挨拶をして辞すサクラ。
「あとで会場に向かう故、それまで楽しんでくれ」
「ハイ、有難うございます」
そう言って部屋を出たサクラは
近くに控えていたメイドに案内されながら
会場へと戻る間に考える。
(さっきの報告は十中八九、
会長とセンターさん、マニスちゃんの件でしょう。
となると、調査が開始され追手が放たれますね。
次は商会に調査が入りますが、
まぁこちらは大丈夫でしょう、手は打ってあります。
問題は傍受されずに連絡を取る方法と、
あのディースという女性……
いずれにしても情報が少なすぎますね。
まずは聖光国へと潜り込んでみましょうか)
そう考えてパーティー会場へ戻ってきたところで、
ドッッッゴゴォォォォーー
ゴッッゴゴゴゴーーーー
ゴオオオンーーーー
王城上空から大きな壁を破城槌もしくは
もっと大きな何かで殴ったような衝撃音が響く。
キャアアアーーーー
ーー何事だ
ウワァァーーーー
イヤァァーーーー
警備兵!!ーー
ーーガシャーーーン
ーー皆さん避難を
会場は警備兵が取り仕切り避難と誘導を行っている。
「皆さん、落ち着いてください!!
城内には何重にも障壁を張った広間がございますので、
そちらへ!!
近くの警備兵の誘導に従ってください!!
選手の方々も誘導のお手伝いを頂けると有難い!!」
近くの警備兵に事情を聞くサクラ。
「私も誘導致しましょう!!
ちなみに何が起こっているのですか??」
汗を滲ませて焦っている警備兵も詳細は分からないが、
まずはお偉いさんや賓客を
避難させろということらしい。
(上空からのとんでもない圧力でしたよ?
ん、と王城の障壁がなかなか分厚いですね?
詳細が分かりませんが
攻撃を受けてるのは間違い無いんじゃないですか?)
上空を探ってみるが流石王都の障壁である。
サクラの探知も邪魔されて詳細が分かりにくいようだ。
まぁ今は避難誘導を手伝おうと動き出した
サクラであったが、
上空から聞こえてきた声を耳にし
ピタリと動きを止めたのであった。




