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~66 決勝戦ですよ~



 少し時は遡り、

 タケルがエルフの森近くでマニスと戦闘になっていた頃

 王都ブラント武の聖地メイン会場では

 世界武闘技大会決勝戦が行われようとしていた。


 残念な気持ち、

 マニスが応援に来なかったことでタケルと戦闘に

 なっているであろうことを思いながら、

 浮かない気持ちで闘技場へと足を進めるサクラ。



 

 メイン会場 決勝 魔人ゼット vs サクラ



『さぁぁ今年もこの1戦で最後!!

 やって参りました決勝戦!!

 如何ですか? 解説のセスタさん?』


『そうですね、ゼットは昨年も4強に残りましたし

 間違いなく優勝する実力はあります。

 しかし相手のサクラさんも強い。

 敗けたから言う訳ではありませんが

 私の奥義を受けてダメージが服だけとは……』


『そうですね。

 でもセスタさんには皆さん大変感謝しておられると

 思いますよ。

 まさかのお色気シーンでしたからね!!』


『いや、感謝されても……

 私の奥義がーー


 ーーさぁぁ始まります決勝戦!!』


 話を聞かない緊張感の無い実況と落ち込む解説を他所に

 決勝戦が始まる。




 はじめ!!



 先手は魔人。

 「千手刀拳」と呼ばれるスキルでサクラを切り刻むべく

 拳を繰り出す。



 ビッビッビビビッビッビビビビーー

 スッスッスススッスッススススーー



『おおーーっと!!

 いきなり得意の近接戦に持ち込もうと言うのか!?

 ゼット選手の猛攻です!!』


 避けられ続けたところで突如リズムを変え、

 異空間から取り出した魔剣「ゾック」で新たなスキルを

 使用しつつ更に魔法も織り込んで攻撃するゼット。


 

「千切り」「敏捷減少(フェル・ライクロスト)


 

 シャッシャシャシャシャッシシッシーー



『ああーーっと!!

 サクラ選手の腕と脚に……

 あぁキレイなお御足に切り傷が』


『……ちょっとそのファン丸出しの発言は置いておいて、

 あの魔剣は体力を奪いますよ。

 おお、傷の方は回復魔法で瞬時に治していますね。

 流石です』



 止まらないゼットはサクラに対し更に攻撃を加える。



「百閃残波」「油泥沼(ヨウ・ブラトラップ)



『このスキルと魔法の併用には

 サクラ選手も防戦一方だ!!

 どうした? 動きにいつものキレがないぞ!!

 考え事でもしているのか!? ガンバレ!!』


『あの、もうガンバレって言っちゃってますけど

 良いんですか?

 でも……ガンバレ!! サクラさん!!』


 

 解説もファンであったことが露見したが

 関係なく試合は続く。

 

 実況は感情に忠実に従い公平性も何も無くなっており

 ファン丸出しで既に応援と化しているが

 当たっていることが一つあった。


 そうサクラは考え事をしていた。



(ああ、マニスちゃんとお話ししたりケーキを食べたり

 笑ったり楽しかったなぁ、モウッ!!ーー


 ーー暗部だったんですねぇ……

 色々辛いこともあったんでしょうねぇ……

 でもあの笑顔が、セイ!!


 ーーウソだとは思えないです。

 今頃はタケルと一戦交えている、ソイッ!!


 ーー頃でしょうか? オリャッ!!

 って、あーもー鬱陶しいですねこの攻撃!!)



 サクラは顔に当たらないよう服を切られないように

 だけはしており、

 戦闘に集中していなかった。


 しかしながらそんなことは相手には分からない。

 そんな中、

 致命傷は避けるサクラの様子を見ていたゼットが

 一旦距離を取る。



「どうした? 動きにキレがないんじゃないか?

 傷は治せても体力は戻らんだろう?


 決勝トーナメントに入ってからのお前の戦いは見た。

 動き回っても息ひとつ切らさない体力とセスタの動きを

 上回るスピードは大したものだ。


 しかしその体力とスピードを削ってやればどうだ?

 ただの華奢な娘に早変わりではないか?

 そろそろ動き辛くなってきたのではないか?

 クックックッ」



 ガンバレーーー

 サクラチャーーンーー

 キャァァァキレイなお肌がーー

 でもカワイイーーーー


『あぁそれ以上はヤメテあげてーー!!』


『サクラさん!!

 危険です棄権しましょう!! 

 あ、そんなつもりは……』 




 観客もなぜか実況までサクラファンであり、

 劣勢のサクラに絶叫に近い悲鳴を上げている。

 

 解説だけは思いがけずオヤジギャグになってしまい

 恥ずかしがっている。



 しかしサクラは当然ピンチどころか戦闘態勢にすら

 入っていない。

 考え事の邪魔をするゼットを

 煩わしく思っているだけだ。


 結局考え事は継続するのだが。


(よく喋る人ですね? 

 人が考え事しているっていうのに、もうっ。

 ハッキリ言ってウザいです。


 そうそう、

 え、とそれからタケルと一戦交えた後は

 捕まえるなりしてベックスさんたちと一緒にセイラさん

 と合流といった流れですか。


 とりあえず新しい連絡方法は潜り込んでからですかね。

 あとは、ん?――



 表面上は黙っているサクラにゼットが言葉を投げる。



「フン、ダンマリか。

 ククク、そろそろ終わらせてやろう」


 そう言って素早い動きで更に魔剣で体力を削りながら、


「ズ・ルール!!」



『ああーーーー!!

 ここで古代魔法に属する重力魔法まで使ってきた

 ゼット選手!!

 とことんまでサクラ選手の速さを奪う作戦です!!

 そんな動けなくなるまで速さを奪って

 何をするつもりだーーーー!!

 お父さんは許しませんよーー!!』


『恥ずかしいとか言ってられない!!

 サクラさん危険です!! 棄権して下さい!!

 ポッ(赤面)』



 実況と解説はさて置き、

 サクラは何かに気付いたようである。



 ーー待って?

 マニスちゃんって割とタケルと仲良かったですね?


 捕まえる

 →タケルが強いことが分かって好きになってしまう

 →セイラさんと合流前に森の中で……)



 タケルが居ないにも関わらず、

 妄想だけで嫉妬と怒りを爆発させるサクラは

 プルプルと震えながら固まっている、ように見える。


 当然勘違いしたゼットは止めを刺そうとする。



「ハハハハハ!! 動けまい!!

 ではせめて奥義で葬ってやろう!!

 シぬことはあるまい!!ーー


 剣を後ろに引き

 サクラに対し剣を突く構えを取るゼット。


 ーー魔剣技奥義「刺貫千突(セイシズ・アテュート)!!」



 タケルにも見せていないサクラオリジナル魔法が

 ブッ放されようとしていた。




「……マキシマム・レッド“憤怒”」




 サクラの前に出現する積層型魔方陣100余り。

 



 ピッ!!!!



 マズイ!! と途中で魔法をキャンセルするサクラ。





 タ、スタ、タ……

 バタッッーー




 ゼットは黒焦げである……



「キャァァァァ!! ゴメンなさいゴメンなさい!!」



 慌ててゼットに駆け寄るサクラ。

 控えている回復魔法師よりも早く回復魔法を

 掛け続けるサクラ。


 呆然としていた審判だが、

 その様子を見て我に返り回復魔法師に指示を送る。


 回復魔法師も素早くゼットに駆け寄るが、

 サクラにより回復されており事無き得たようである。



「ん? なんだ?

 途中から意識が……ま、敗けたのか?」


 駆け寄ってきた審判も心配そうに様子を窺っていたが、

 話し出したゼットを見てホッと胸を撫で下ろす。



 そして、



 勝者サクラ!!



 その一言で場内は割れんばかりの歓声とも怒号とも

 つかない絶叫で満たされた。



 そして闘技場中央付近では、



「ちょっと心配なことがあって興奮してしまったの……

 ゴメンなさいねゼットさん♡」


「♡♡♡」



 ファンが一人増え、決勝戦は幕を下ろしたのであった。



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