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~60 計画実行前日ですよ~



「楽しかったですかぁ??」


「……」


「ねぇ楽しかったですかぁ??」


「……」


「上手に隠れましたねぇ。

 さすがに探し出すのに苦労しましたよ」



 商会のベックスの執務室で問い詰められているのは

 タケル。

 問い詰めているのは言わずもがなサクラである。


 もうさんざん全日本ジュニアの必殺パンチを

 喰らった後である。



「まぁまぁ。

 誤解も解けていますしお二人ともそれくらいで」


 仲裁に入るベックス。

 傍らではセンターが大笑いしている。


「誤解は理解しましたけど……

 だって会長、私も食べ歩きしたかったんですよ!!

 それなのに一人で行って……

 私も行きたかったな、ブツブツ」



 そもそもマニスやエレーナと

 なぜにそんな懇意になると思うのかが

 分からないタケル。


 流れで抱き着かれただけで、

 なんら非は無いと思っているのだが、

 それを言うと大層メンドクサイことになるので

 言わない。


 要はサクラの嫉妬なので、

 非が有る無しではないのだがタケルにその辺りを

 察するスキルは無い。




 コンコン




 執務室の扉を誰かがノックする。



「ん? はいどうぞ」


「失礼します。

 会長、下にお客様が。

 エレーナさんと仰ってますが

 タケルさんにご用事があるそうです」



 エレーナが階下に来ているようで、

 ベックスがタケルに向かって問い掛ける。



「何かあるのですか?」


 首を捻るタケル。


「さっきサクラにお仕置き喰らっただけで、

 特に用事はないんだけどなぁ」


 それを聞いたサクラが


「あのね、誤解なのは分かりましたけど、

 一人で食べ歩きした分も含めてのお仕置きですと

 説明したでしょ!!


 そもそもその(くだり)は要りません!!

 それからエレーナさんは技の件ではないのですか?」



 思い出すタケル。



「ああ、そういや商会に居るって言ったっけ」



 タケルはエレーナに浸透勁を教える約束をしていたこと

 を思い出し、

 ベックスに中庭を借りることを承諾してもらい

 階下へと向かう。


「詰めはこちらでやりますから、

 ちゃんと見てあげてください。

 後でタケルにも説明しますから


 ……次くっ付いてたら故意と見做しますからね」


「んなことするか!!」



 バタン



 タケルが出て行ったのを確認し

 サクラは明日の其々の動きについて詰めの打ち合わせを

 始めるのだった。





 マクフェイル商会 中庭



「こうですの?」


「そうそう、へぇ~。

 いや、冗談抜きでエレーナさん才能あると思うよ」


「プハッ、ハァハァ。

 やっと感じた気を掌まで持って来れただけですわ」


 中庭で浸透勁に至るまでの、

 まずは発勁の練習をする二人。


「充分早いよエレーナさん。

 あとは下半身から螺旋をイメージして

 掌から出すだけだよ。

 掌だけだと気も小さいからね」


 タケルの説明を真面目に聞くエレーナだが

 質問があるようだ。


「ですけど、

 あの時はそんな下半身の動きは無かったように

 思いますわ」


 その通りと思うタケル。


「あれはそんなに威力要らなかったし

 掌の気だけで打ったから」


「ああ、なるほど。

 気絶させるのが目的ですし、

 とは言うものの、

 そんな繊細な調整なんて出来るようになりますの?」


 先は長いと溜息をひとつ吐くエレーナ。


「魔力と気を分けて感じるだけでも

 一苦労ですのに、ハァ」


 落ち込んでいても始まらないと切り替えるエレーナ。


 タケルは先程話した

 螺旋をイメージし下半身から上半身そして掌から

 放出するまでの一連の動きを確認するために

 自身の左手をエレーナに向け右手でその左手を指差す。


 直ぐに察するエレーナ。


「分かったのですわ」



 ……




 下半身の踏み込み、


 ドッッシッーー


 腰を捻って流れるように上半身へ


 ――スッ


 そこから腕を前に突き出して


 ――ッシ


 掌から突き出す


 ――ドンッッ!!



(おお、結構ちゃんと通って来たぞ。

 でもイタイから打ち消すけどねぇ~)


 驚くタケル。



「フゥゥ、疲れますわねこの技。で如何でした?」


 一息吐いてタケルからの感想を待つエレーナ。


「初めてなのに大したもんだ」

「本当に? 上手く出来ていましたか?」

「いやいやお世辞抜きで大の男でもイチコロだよ」

「良かったですわ。

 もっと詳しく教えて欲しいですわタケル」


 エレーナがタケルに教えを乞うべく

 傍らに寄って来たところで、




 ビョョオオオビュュウウウゥウウウーー




「ん? 何の音だ」

「あら、なんでしょう?」


 音のする上の方を見上げる二人。


 2階の窓が開いており、

 そこから太陽に照らされてキラキラと銀色に輝くものが

 大量に吹き出していた。



「ヒャア!! う、後ーー


「? ウワァ!!」



 サクラが腕組みをして仁王立ちしており、

 ゴゴゴゴという効果音がどこからか聞こえる。

 かろうじて理性は保っているようだが……


 そして口を開く。


「……あなた方、何をしていらっしゃったのですか?」


 エレーナは白眼で仰向けになって寝ている。

 本当に寝ているのではない失神したのだ。


 エレーナをチラリと見て

 唾液をゴクリと飲み込んで答えるタケル。



「れ、練習だよ」

「なんの?」

「発勁からの浸透勁だよ、知ってるだろ?」

「どういった技ですか?」

「? なんだよ、サクラのが知ってるだろ。

 ハァ、貫通系のーー



 ゴォォォオオオオーー

 


 なんかこっちも吹雪いてきた猛烈に……



「初経で貫通で……あなたという人は……

 シーー

 

 ここで遮るように2階から声が聞こえる。



「ザ、ザグダだん……ざ、ざぶい」



 センターさんは見えんけど、

 少なくともベックスさんは瀕&凍シ寸前だ。




 ベックス執務室



 センターさんは既に凍っていたがサクラが解凍と回復。

 

 エレーナさんは大したことなかったので

 オレが起こした後、

 商会の食堂で食事をご馳走なっている。

 お詫びとのことだけどワリイのって、ねぇ……


 とりあえず丁度キリも良いし食べたら宿に帰るってさ。


 明日の決勝はサクラの応援に来て、

 その後アリアに帰るって言ってた。


 そして部屋内は現在ポカポカにしてある。



「あーシぬかと思った」

「サクラさんの氷像は「少々お待ちください」しか

 言わないし」

「ホント、勘違いの暴走具合が変換ミスで済まない

 レベルになってきてんぞ」


「ス、スミマセン……」


 小さくなって謝るサクラ。

 ちょっと空気が重いので、

 

「まぁでも、準決勝で使った技をこんな間近で見られて

 ラッキーラッキー、ハッハッハッ!!」



 って言ったら、

 3人からジト目で見られたので謝ったよ……


 しかしサクラはこっち来てから、いや、

 誰かと会ってから理不尽がヒドイな、誰とは言わんが。

 今後が不安だ、特に合流する時が……



 とりあえず置いといて明日のことを纏めると、

 オレは朝からのベックスさんとセンターさんと一緒に

 王都を出る。


 その後、エルフの森まで行ってから

 一気にフィーネまで転移してセイラさんに引き継ぐ

 予定だ。


 連絡用魔道具はエルフの森に入ったら使うよ。

 ここでは通信傍受されても困るからね。


 サクラは午後の決勝戦まで商会に居て、

 普通に優勝する予定。


 普通に優勝ってのもあれだけど、

 準決勝は案の定自分に重力魔法100㎏を掛けて

 戦ってたらしいからねぇ、ゴ◯ウか!!


 ま、大丈夫でしょ。


 魔人さんは見たけど、

 得意は近接だから魔法で遠距離から完封もヨシ、

 近距離でもサクラのパワーとスピードがあれば大丈夫。


 ん? なんでそんな確信持てんのかって??

 あのね、あの寒いのあるでしょ?

 あれって双葉ってのと極冠世界(ニブルヘイム)

 単独で使ってるんじゃなくて掛け合わせてんのよ。


 それってオレは出来ん!!

 魔人さんはオレには勝てない、

 オレに出来ないことをサクラは出来る。


 だから大丈夫なのだ!! ハッハッハッ!! 


 唯一心配なのはサクラ以上のスピードがある場合。

 スピードはパワーにも変換できるから、

 一時的にでもスピード、パワー共に上回られた場合は

 ちょっとアブないかもしれない。


 まぁそれでも何かしら捻り出して何とかするだろうから

 やっぱり心配はしないことにした。


 後は初めてサクラと別行動になることだな。


 いずれにしろ今後の連絡が難しいな。

 決勝後は行方不明者2名だし国から出るとこまで

 一緒だったオレは怪しさ満点だから戻れんしね。


 まぁサクラがなんか新しいの考えたらしいから

 楽しみにしておく、指示待ちだな。


 なにわともあれ計画実行は明日だ。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 王城ヴァスト 某部屋



「監視は?」


「そ、それが、

 闘技場を出てから暫くは付けられたのですが、

 人込みに入った辺りからスキル隠密を使ったのか……


 気配も魔力も薄くなり見失ってしまいました。

 申し訳ありません」



 タケルへの警戒を最大限まで引き上げるシーマン。



「スキル隠密は「貫通眼」を持つ我らには効かんーー


 ……

 

 ーーやはり奴はどこか可笑しい。

 ベックスとセンターを見ながらの片手間では厳しいか」


 少し考えてから言葉を継ぐ。


「まぁいい。

 明日は最終日だ、No.1から3までいらっしゃる。

 会場は万全であろうし私も動き易い。

 お前達はアレクサンドルの相手と4強に残った者共を

 頼むぞ」


「「「「「ハッ!!」」」」」

 


 部下が解散した後、着替えるシーマン。



「……わたしの望みのためにも失敗は許されない」


 

 そう言って任務に戻るのであった。



遅くなりましたm(_ _)m

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