表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/250

~54 1回戦わたしの出番ですよ~



 隣の会場から視力を強化し

 タケルの試合を観戦していたサクラ。


(最後は鳩尾に一発。

 ……史上稀に見る泥試合ですね。


 しかしいつの間に血糊まで……もぅ。

 服まで焦がして迫真の演技ですね……ハァ)


 映画であれば受賞でもしてたかも?

 ウ~ン……掛け声がダイコン過ぎますね。


 血糊は汚れ落とし(レンニューラル)で良いとして

 焦げ跡はねぇ……

 あっ、ちゃんと着替えたのかしら?)


 そしてタケルの心配が尽きないサクラ。


 もう何度目か分からないナンパを

 丁寧に断っていると

 出店に少し早いお昼を買いに行ってくれていた

 商会の従業員仲間が帰ってくる。


「まぁたナンパされてたねサクラちゃん。

 美人は大変だぁ。

 はい、大会名物ヴァッケン火山牛照り焼きセット

 タケルくんのと2つね」


「食べたかったんです~!!

 タケルの分も助かりました、有難うございます。

 席取りしてるし連れがいるって言ってもなかなか

 聞いてくれなくて」


 ケーキ店で一緒に働いていた、

 誰よりも大会に詳しいと豪語する大会マニアの

 マニスが第1試合から観戦に来ていたところ

 受付付近で丁度サクラとバッタリ会ったので

 一緒に観戦しているのだ。


 他の従業員達もサクラの出場時間に合わせて

 応援には来るしタケルの応援にも行くが、

 彼女は毎年決めた会場の全試合を観戦するのが

 楽しみで、今回はサクラの出場する

 第5ブロックを見に来たのだ。


「しょうがないよね~サクラちゃん美人だし。

 私がいる間は私が撃退してあげるから任せて!」


 と言って両手で握り拳を作りフンスと

 やる気を見せるマニス。


「ありがとマニスちゃん」

「い~え~ウチの店の看板娘兼新商品開発リーダー兼

 副リーダーシェフですからねーー


「アハハ」


 ーーあっ、こっちは第7試合終わったね。

 隣のタケルくんはどうだったのかな?

 お昼頃に途中結果があそこに出るんだけど」


 マニスが指を差すのは闘技場の中央宙空に

 現在第7試合の結果が出ている映像板である。


「そうですね。

 まぁそのうちヒョッコリ現れて「ゴハン~」とか

 言って来ますから放っておきましょ」


 結果もその時分かるだろうということで、

 試合観戦に戻る二人。


 そうこうしている内にお昼14時になり試合も休憩に

 入った頃。


「おーいたいたーサークラーお腹減ったー」


 その様子を見たサクラは溜め息を

 マニスはクスクスと笑っている。


「初めましてタケルくん、マニスと言います。

 サクラちゃんとケーキ店で一緒に働いてます」

 

 同じ商会で働いているが素材部門のタケルとは

 あまり接触の無い製菓部門のマニスとは

 初対面のため、お互い挨拶を交わしたところで、

 お昼にしようということになった。


 お昼ゴハンのお礼を言って食べ始めるタケル。


「わぁ勝ったんだねタケルくん!」


 試合の勝敗を聞かれ

 なんとか勝った、と答えるタケルだがサクラは

 内容も知っているため何も言わない。

 

 どっちかと言うと勝った後の方が

 大変だっただろうと思っている。


「おめでとう!!」

「え~と、ありがとう」


 で? と念話で話し掛けるサクラ。


(ああ、血糊は汚れ落とし(レンニューラル)で問題なかったし

 服も着替えたんだけど、回復魔法師さんがね……)

(あぁ、やっぱり)


 とりあえず軽傷で問題なしとなって

 解放されるまでに時間が掛かったのだ。


(血糊まで用意して……バカですか!?)

(ええ!? 相手強いらしいし、

 ラッキー勝ちみたいにすんの難しいんだぞ)


(……まぁ良いでしょう。

 では、あのダイコン演技のパンチが少しづつ胸部に

 近寄っていたのは?)

(ハア!? んなことしてねぇわ!!)

(どうだか?)


 マニスとは別で会話をしながら

 器用にお昼を食べるサクラ。



「そろそろお昼からの試合が始まるね」


 

 マニスの声でタケルとサクラの言い合いも収まり、

 3人で午後の部の試合をマニスの紹介で

 名物スイーツを食べたりしながら観戦している。

 

 現在20試合目を見ている2人。

 タケルはウトウトしている中、サクラはというと



 鑑定はマナー違反らしいしんですけど……

 その割りに

 さっきからひっきり無しに

 使われてるんですけどねぇ。

 タケルも横に居るしナンパは減りましたけど。


 サクラの場合、

 出場選手と思われて使われているのではなく

 美人なので純粋に興味本意ではあるのだが。


 出場選手はステータスも高く隠蔽術も高レベルのため

 お互い弾かれることが殆どであるため

 鑑定を使うことはまずない。


 そのためサクラに鑑定を使った者達は

 軒並み怪訝な顔をして去っていくのである。


 ハァ、使う予定はありませんでしたが。


 そんな中、サクラは既に鑑定と解術を組合せ隠蔽や

 認識阻害を突破してステータスを探る新しい魔法を

 開発していた。


 またご丁寧にその魔法に隠蔽を合わせて

 相手に使ったことが分からないようにもする

 念の入れようである。


 まだ名前が無いその魔法のテスト運用のため、

 鑑定を使ってきた者達に軒並み鑑定をやり返し、

 データ収集に勤しんでいた。


 そうこうしている内に30試合目が始まり

 サクラが受付に向かおうとマニスに声を掛ける。



「そろそろ行ってきますね」


「わあ!! そろそろだね!!

 みんなもそろそろ来るよ!!

 応援してるからね頑張って!!

 あれ?」


 とマニスが指を差すのはタケル。


「フフ、寝かしておいて上げてください」


 グッと親指を立てるマニスに微笑みながら、

 サクラは受付に向かった。




 受付を済ませたサクラは控え室に向かう途中、


(そういえば服装もですが

 武器も何も考えてませんでしたね、フフ……)


 そう思い控え室脇にあった

 武器貸し出し所へ寄るサクラ。


「ごめんくださぁい」

「んあ!? エライ美人さんだな!!

 ど、どした?」


 少し寝ていた貸し出し担当者のオッチャン。

 武器貸し出しを依頼するサクラ。


「ええ!? あんた選手かよ!?

 はぇ~、そりゃ貸すのは良いけどよ。

 みんな自分の持ってきてっから珍しいなぁ」


 と言いながらも

 サクラの指定する武器を貸し出しくれ、

 受付を済ませる。


「まぁた珍しいもんを……

 ま、頑張りな美人のネェチャン」


「フフ、有難うございます」


 

 本日最終試合、サクラの1回戦が始まる。






 第5会場 第5ブロック 第32試合



 タケルと違って番号玉に未練はないサクラは、

 お礼を言ってニコリと微笑み審判に番号玉を渡す。


「あーー!! 出てきた、出てきたよ!!」

「キャアアアーーサクラちゃーーん!!」


 ガンバってーーーー!!

 ウォォォォーー

 サ ク ラ チャーーーン

 オオオオオーー

 ザ グ ラ ジャーーーン

 わぁぁああああーーー

 カワイイイーーーーー

 キレーーーーー


 マニス含めケーキ店従業員に

 タケルの応援に来ていた野郎共も加わり

 大声援である。


 タケルも周りが騒がしくなり

 大欠伸と背伸びで忙しいようだが目を擦り闘技場へ

 目を向けていた。


 観客席に微笑み、手を振って応えるサクラ。

 タケルを見てクスリと溢してから中央へ向かう。


 微笑んだサクラに

 審判が見惚れてしまうといったことはあったが

 中央で対戦相手と対峙するサクラ。


 対するはアレクサンドル。

 タケルの対戦相手と同じ

 能力が高いと言われる異世界人だ。




 中央で片手剣を持ちながら、

 見せびらかすように素早い素振りをする

 アレクサンドル。



 突然、

 横薙ぎに振り抜いた剣を

 サクラの鼻先で止めて見せる。


 その行為を諌めようと審判が一歩出ようとするのを

 手で制したサクラに、


「フフン、怖くて動けなかったか。ククク……」


 下卑た笑いを浮かべるアレクサンドル。

 その問いにサクラはニコニコと笑みを崩さないまま

 審判に言葉を掛ける。


「審判の方、

 アレクサンドルさんは早く始めたいご様子。

 開始の合図をお願いしてよろしいですか」


 更に神微笑を浮かべるサクラ。

 その顔と先程からチラチラとサクラの後ろに見える

 般若のような影に審判は目をシパシパさせている。


 そしてなぜか先程借りてきた武器、

 ハルバートを審判に渡すサクラ。


「エッ!? は、始めるのは構いませんが、

 サクラ選手、武器をーー


 その言葉を遮るようにサクラが言葉を被せる。


「お手数ですがお預かり下さい。

 このままで充分ですわ」



 その言葉に暫し固まる審判を他所に、

 目の前のアレクの怒りは頂点に達しようとしていた。

 その怒りを隠さずに審判に言葉を投げる。



「ククク、ククククク。

 審判さんよぉ、早く始めてくんねーかなー。

 素手で良いって言ってんだからよぉ」



 怒りに歪んだ顔でサクラを睨みつけ

 試合開始を促す。


「ああ。

 ちなみに私はここから一歩も動きませんから」


 その一言で

 剣呑な雰囲気がピークに達したことを察し、

 慌てて開始の合図をする審判。

 

「は、はじめ!」



「舐めてんじゃねぇぞぉぉぉぉぉーーーー!!

 クソがぁぁぁぁぁぁーーーー!!



 袈裟切りに片手剣を振りかざし、

 サクラに跳び掛かるアレクサンドル。


 自然体で立ったままのサクラは、

 躍りかかってくるアレクサンドルを見据えながら



 ッボ!!!!



 アレクサンドルに向かって拳を放つ。

 いわゆる遠当ての要領。


 そんな離れた所から鳩尾に衝撃を受けた

 アレクサンドルはというと、




「うぁ、あ、ぁあ」



 バタリ



 振り被ったまま前のめりに倒れてしまった。




 ……




 審判は、


(ゴクリ……何も見えなかった)


 倒れているアレクサンドルの確認に向かう

 3名の審判。

 3名共が気絶を確認し両手を交差し勝利宣言。



 勝者サクラ選手!!


 

 ウォォォォォオオオーーー

 


 実況も解説も仕事をすること無く、

 今日一番の喚声が上がり、

 試合はサクラの圧倒的勝利となったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ