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~51 打ち合わせましょう~



 ウィンクするサクラに見惚れてしまったのを、

 咳払いで誤魔化すベックス。



「ン"ン"、ゴホンゴホン。

 とりあえず今日はここまでにしましょう。

 あまり長いと監視の目もありますしね」


 ベックスの話では、

 自分の経営する店舗に会話などを記録する装置はない

 と調べが付いているそうだが、

 他の店には一部そういった監視装置が設置されている

 場合があるそうだ。


 また今も外には、

 VVVNo.5の護衛という名の監視が2名居る。


「まぁ、君達は実際この9日間ウチで働いてもらったから、

 そこまで警戒しなくても良いんだけど、念のためにね」


 といって今日はお開きと、いったところでサクラが


「最後にひとつだけ」


(ウワァ~、コ◯ンボ? う◯ょーさん?)

(黙ってなさいってばよ!)

(ウワァ~~、◯ルトだぁ)

(……覚えてらっしゃい)

(ちょっと振ったじゃん!)


「ん? なんですか?」

「会長、ご家族は?」

「居ませんよ……」


 少し寂しそうなベックスを見てサクラが

 申し訳なさそうに、


「立ち入ったことを。失礼いたしました」


 微かに笑みを浮かべて返すベックス。


「いえ、元々独身ですから大丈夫ですよ。

 亡命後のことを考えてくれたのでしょう?

 

 家族は居ませんし商会もここまで大きくなれば跡継ぎも

 育ってますし潰されませんよ。

 王国にとってもダメージになりますからね」



 空元気なのか、先程のサクラに対抗して

 パチリとウィンクしたベックス。


「さっ、明日は大会登録も済ませましょう。

 今後の事は明日の仕事が終わってから考えましょうか」



 と言ってお開きとなったのだった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 翌日夕刻


 ちなみにタケルとサクラは宿も決まってなかったので、

 有難いことに従業員寮の一人部屋を宛がわれていた。


 タケルの荷物はリュックだけ、

 サクラも当然何も持ってなかったため店の制服以外の

 服など含め生活雑貨は商会から買取ということで

 給与支給日に精算。


 食事代、寮費は大会申請費用と共にお給与から

 差し引いてもらうことにしていた。


 そして頂いたお給与で最初にサクラがしたことは、



「ハァァ、やっと胸の支えが取れます。

 忙しくてお送り出来ていませんでしたから」

「おお、確かに忘れてたわ。まぁ良かったじゃん」


 ダグザのところでもらったサクラの高級そうな服を

 送り返す手続きをしていたのだ。


 今のサクラは庶民らしい袖付きの薄い緑のワンピースに

 靴は少しヒールの付いた革製のものである。



「用事は済みましたか?」


「衣服 獣王国アリア ギルドフィーネ支部 セイラ様」

 と書いた宛先用紙と同封の手紙を少し目を見張った後、

 商会の荷送り部署担当に依頼し、

 サクラに声を掛けるベックス。


「はい、有難うございます。

 フィーネ、アリアには荷物を送れるんですね?」

「魔国はムリですけどね。

 アリアとはまだ商取引出来ていますから」



 そんな会話をしてから少し待つように言われて、

 すぐに戻って来たベックスと話をしながら

 向かっているのは商会長の執務室。



 ガチャリ



「よう、お疲れさん」


 執務室に入ると既に先客がおりグラス片手に挨拶の声を

 掛けてくる。


 ベックスが返答と共にタケル達二人に先客を紹介する。


「やぁ、お疲れさま。


 二人には突然で申し訳なかったけど、

 何かと時間もないし呼んだんだ。

 紹介するよ」


 その言葉に反応した先客は立ち上がって

 自己紹介をする。


「ベックスの監視担当もやるんだが友人だ。

 センターという。

 俺も国を出るつもりなんで寄せてもらったぞ。

 ちなみにVVV(ブイスリー)のNo.4で異世界人だ」


 

 ここにヴァッケンで行動を共にする4人が

 揃ったのであった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 一瞬罠かと脳裏を掠めたのはタケルだけ。


 サクラは国境で会った際に二人の会話と雰囲気から

 察するにかなり深い関係と当たりを付けており、

 VVVNo.4で異世界人というのは予想外であったにしろ

 その人物が目の前に現れむしろ納得であった。


 4人は簡単に自己紹介と挨拶を交わし席に付く。



「まずは大会登録の件だけど、この書類に私のサインと、

 ハイ」

「俺のサイン、と」


 サラサラとサインをするベックスとセンター。


「はい、ありがとうセンター。

 ということで来週の大会出場が決まりました」


「カハハ、簡単に思うだろうが大会登録は全部俺んとこに

 回ってくるからな。

 それに受け付けてくれてるベックスまで揃やぁ

 こんなもんだーー


 ーーあっ申請金10000デルフィは

 後で持って帰るからな」


 と付け加えるセンター。


 登録も無事に済みホッとする二人であるが、

 彼等に取っては簡単でも、

 タケルとサクラには大変有り難くお礼を言う二人に、



「そんなことは良いんだけどよ、

 さっきベックスから聞いたがアンタ等あのセイラと

 知り合いなのか?」


 ああ荷札か、と納得する二人だがなぜベックス達が

 「あの」と付けるのか分からない。


 ただ「あの」と付けられるようなセイラで

 思い当たるのは一人しかおらず、

 あのセイラがどのセイラなのか分からないはずは

 無かったため答える二人。



「知りませんが恐らくそのセイラ様です」

「知らないけど絶対そのセイラさんです」


 どうせ目立つことでも仕出かしたんだろうと思う二人。


 その答えを聞いて腹を抱えて笑うセンター。

 ベックスは苦笑いだ。


「カハハハハ!!

 アンタ等、

 そのセイラ様が大会出てたの知らねぇんだろ?

 それでその答えかよ!! カハハハハハーー



 一頻り笑い転げたセンターは以前の大会での出来事を

 タケル達に話した。



 ……



「わざわざ敵国に……バカなのかな♡」


「加えて素性まで隠してということは書類は偽造……

 しかも2年連続、2年目は男性で出場……

 露見して暴れ回って帰ったって……

 酔っぱらいじゃないですか……」


 サクラは言葉にならないようでタケルは一刀両断だ。


 セイラさん居ないからな!! ワッハッハッ安心安心



「ククククク、オモシれぇだろ?


 偽造書類は完璧だしまさか敵国の姫さんみたいのが

 出場するとは思ってないし、男装までしやがるし。


 強えから捕まんねぇしで王さんまで出てきて

 大変だったけどよ、面白くもあったな」


「わたしも荷札を見た時は驚きましたよ。

 まぁ私が送るんじゃないですから検閲もないですし、

 そのまま通しましたがまさかお知り合いだったとは……


 彼女は大会に出場してますし民衆も見てますから、

 ここでは何かと有名ですからね。

 お連れさんの名前を出さなかったのも頷けます。


 まぁ、そのセイラさんの面白い話は後でゆっくりと

 聞かせてください」



 セイラが魔国の重鎮であることはアリアでも一部の者

 しか知らないことであり、サクラは念のため名前を

 伏せただけであった。


 それがまさか敵国のヴァッケンでそこまで有名とは

 露知らず宛名に名前を書いてしまったが

 問題が無かったことに胸を撫で下ろす二人。


 同時に、


 何やってんだ!!

 居ないのに影響有り過ぎて読めんわ!!


 と二人して強く思っていたが、


 ともあれ一段落し、

 話を進めることになったーー






 ーーそうだな、4強に残れば雇ってもらえるな。

 あと連絡用魔道具は使えるが傍受されてるぞ」


 今後の動きについてはサクラを中心にベックスと

 センターに前提条件と無理な部分がないか

 確認しながら行われた。


 その中で、当然まずはセイラにもらった連絡用魔道具を

 使うことが考えられたが、

 傍受されているため却下となる。


「となると、念話ですが近距離ならなんとかなりますが

 ちょっと遠いですね」


 念話に驚くベックスとセンターだが、

 まずは話を続けるサクラ。


「では、

 エルフの森に素材採取に行く日を利用しましょう」


 サクラはとにかく二人を国境から出してしまえば

 充分に策は成ると思っている。


「大会では私が最低4強には残ります。

 そこで動き難くなる前にお二方が国境を出たのを

 見計らって見えない所から転移でフィーネまで

 お送りします」


「おお!! 転移まで出来んのか!!

 ステータス見てねぇがアンタ等相当強えな!!」


 そこで疑問を挟むベックス。


「国境を出てから一気にフィーネまで行けるのは

 有難いけど、4強まで残ってしまえばお二人は国から

 出られませんよ。

 

 暫くは歓待という名目で拘束されます。

 その間に召し上げるに当たって更に素性を細かく

 調べ始めるはずです」


 そこでニヤリとするサクラ。


「さっきのお話ですが4強まで残るのは私です。

 それに転移はタケルの方が慣れていますので、

 タケルは適当に敗けて下さい。

 敗ければ国へ帰る訳ですから問題ないでしょう?」


 

 確かに、と頷く二人を見て纏めに入ろうとするサクラに

 タケルから念話が入る。



(ちょっと、敗けるとかマズくね?)

(お師匠様には私から説明します!)


(……どこまでも付いていきます♡)

(キラキラさせない!! 

 でも8強までは残って下さい。

 言い訳も何も無くなりますからね)

(ラジャーー!!)



「ということで、

 細かい修正はその都度お伝えしますから。

 大筋はその流れで参りましょう。よろしいですね?」



 特に質問もなく打合せは終了し、組み合わせ発表のある

 前日に最終確認することでお開きとなった。



 さて、

 後は大会まで今まで通りアルバイトに精を出す予定だ!


 日給が1000デルフィだから申請費用差し引いても結構

 残るんだよね。


 サクラはケーキ店で大人気らしいから、

 途中から日給上がってるしボーナス出るしで、

 かなり稼いでるぞ。

 い~な~


 オレ、ここで働こうかな? 結構楽しいんだよね。


 変わらず能天気なタケル。



 二人の命運が掛かった大会が始まろうとしていた。





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