表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/250

~49 相談事ですか?~



「ようこそベックス・ジャパンケーキ店へ!!

 いらっしゃいませ~」



 キャアアアアアアーーーー

 ウォオオオオオオーーーー

 グワァアアアアアーーーー

 ドドドドドドドドーーーー

 メシメシッミキミキッーー



 ここはマクフェイル商会の経営する製菓部門の本店、


 「ベックス・ジャパンケーキ店」


 である。


 今は朝の11時、地球時間で9時半頃だ。


「じゅ、順番にお伺い致しますのでっ!!

 落ち着いて並んでくださぁぁい!!」

「救護班!! 何人か潰れたわ!!

 引き摺り出して上げて!!」

「「「ハイッ!!」」」


「はい、ご注文お伺い致しまぁす!」


「ハァハァ、サ、サクラさ、

 いえ、そこのフォンダンショコラとミルクレープと、

 え~と、季節のフルーツケーキとモカとチーズケーキと

 それからーー


「ちょっとぉ!! 頼み過ぎですわよ!!

 何人待っていると思ってますの!!

 早くして下さらない!!」


 ーー僕は昨日の閉店からずっと待ってたんだぞ!!

 ちょっとぐらい良いだろ!!」



 パンパンッ



 手を叩いたのはサクラだ。


「ハイハイ、ケンカしないで仲良くしてね♡

 ケーキはたくさん有りますからねぇ」


「ハーーイ♡」

「ハァァイ♡」



 朝からずっとこんな調子で閉店の時間を迎える。



「本日もベックス・ジャパンケーキ店へ

 ご来店頂き有難うございました。

 ただ今の時刻を持ちまして閉店となります。

 明日もお待ち申し上げております。

 有難うございました」



 バタン、バタン、バタン、バッタン





 戸締まりの後は閉店後のミーティングが始まる。

 本店2階にある従業員食堂で、

 試食をしながらのミーティングである。


「サクラさん。この新作ケーキのフルーツに、

 ブッシュグレープを合わせてみたのですが

 如何ですか?」


「パク、モグモグ

 そうですね、素晴らしいお味ですが

 もう0.2g多めにお塩を加えてください。

 更にブッシュグレープの味が引き立ちます」


「ハイ! そのように」

 

 

 カチャリ



 ミーティング中にも関わらずやって来たのは、



「やぁみんな、ご苦労さま」


 ザッ


「「「「「チィィィィィィッス!!!!」」」」」


 会長のベックスである。


 なぜ体育会系の挨拶なのかはさて置き、

 見事な整列と挨拶を返すベックス・ジャパンの

 従業員たち。


「今日もみんなお腹空いてるだろうから

 差し入れ持って来たよ

 明日もあるんだから新商品も良いけど

 適当にして上がってよ」


「「「「「アザァァァァァァッス!!!!」」」」」



 ガヤガヤガヤガヤーー

 ーー会長の差し入れ美味しいよね!

 おいしーいーー

 ガヤガヤーー



 従業員が差し入れを頬張る中、

 別室に呼び出されるサクラ。



「サクラさん、ちょっと良いかな?」

「あ、ウッス!!」



 従業員食堂を出て隣の会議室へと二人で入る。


 サクラに席を勧め向かい合わせに座ったところで、

 話し始めるベックス。



「いやぁ~ホント凄いねぇサクラさんはーー


「ウッス!! アザーーッス!!」


 ーーいや、あの、

 本店独特の言葉遣いはもう結構ですから」


「あら残念、結構気に入ってたんですけど」


「ハ、ハハハ……ちょっと置いておいて、

 サクラさんに手伝ってもらってから

 ここ1週間の売上額が前週800%を超えましたよ!!」



 マクフェイル商会のケーキ店のアルバイトとして

 勤め出したサクラは何をしていたかというとーー


 初日

 売り子として接客の基本レクチャーを受け

 一瞬でマスター。


 その日のお昼休みの試食でケーキの成分と材料、分量を

 全て当てて見せ、

 夜にはクッキーやフィナンシェ等を含む店舗の全商品も

 同様に当てて見せたことで厨房でケーキ作りもやらせて

 みようということになった。


 2日目

 開店の3時間前から厨房で新作ケーキを作り、

 試食した店長が感涙し

 すぐにでも売り出すことになったが、

 その日に売り出すには数が足りなかったため

 翌日ということになった。


 しかしサクラがお昼休みに

 卵白を混ぜる手が見えないことに始まり、

 とんでもないスピードで100個を作り上げ売り出すと

 見た目も素晴らしいこの新作は贈り物にと30分で完売。


 次の日から定番商品として扱われることになった。


 お菓子作りにも類い希な才能を見せたサクラだが、

 なんといっても売り子のサクラはもっとスゴかった。


 微笑む度に常連客が増え、

 ファンクラブも何時の間にか出来上がっており、

 ベックスのケーキ店の売上額は前日比の2倍3倍と

 伸びを見せ、収支を見た会長のベックスが

 慌てて様子を見に来たほどだ。


 3日目から

 噂が噂を呼び噂に違わぬケーキの美味しさと

 サクラの美貌を目当てに開店から閉店まで

 引っ切り無しにお客が来るようになり7日が、

 サクラが勤めてから9日経ったことになる。



「もういっそウチで勤めませんか?」


「ウフフ、楽しいですしそれも良いかな?

 とか言ってみたりして」


「アハハ」


 9割くらいは本気で言っているが、

 今はそれよりもーー


「そうそう呼んだのはですね、

 これまで随分と頑張って頂きましたし

 明日はお店も休みです。

 

 お礼も兼ねて少し食事でもと思ってるんですが

 如何ですか?

 もちろんタケルさんも一緒に」



 断る理由もなく応じるサクラのアルバイト料も

 明日支給である。


 これで大会出場の登録料を支払うことが出来る、

 と思うサクラであった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「ささ、遠慮なさらずにどうぞ召し上がって下さい」



 ここはベックスが経営する高級料理店


 「クッキング・ソーマ」


 食事を勧めるのはベックス。

 遠慮なく頂いてしまうのはタケルとサクラである。


 店名が何かと危険だなと思いつつも口には出さず、

 食事に手を付ける二人。


「いやぁ、お二方のお陰で商会の売り上げが大変なことに

 なりましたよ。

 

 ほんの9日程度で前月分以上の売り上げですからね。

 従業員には特別ボーナスを支給しないとね」


「そう仰って頂けると嬉しいですね。

 それはそうとタケルはちゃんと仕事してましたか?

 会長」


「アハハ、たくさん納品してもらいましたよ。

 討伐し難い火蜥蜴(サラマンダー)火狼(フレイムウルフ)をワンサカね。


 そうそう倒し方がお上手なんでしょうねぇ。

 お陰様でギルドや軍に卸す耐熱防具類が高品質で

 大変喜ばれましたよ」


「フッフッフッやるときゃやる男よ、オレは」


「ハイハイ、当たり前体操以上に当たり前ですけどね」


 ピクッ


 反応を示すベックスは何食わぬ顔で二人に尋ねる。


「いやいや流石は大会に出場なさるだけはあります。

 

 ところで、

 お二方はこの国の外側から来られたかと思うのですが

 私はこの国からほとんど出たことが無くてねぇ。


 外の情勢やなんかを聞かせて頂ければ嬉しいのですが、

 何か面白い話などは有りますか?」



 特に可笑しな質問でもなく、

 当然ここは話上手なサクラが答える。



「あらぁ、やっぱりお忙しいんですね」


 ベックスの、

 そうじゃないんだが、という思いを他所に、


 サクラは外の情勢や獣王国と魔国の王都に行ったことや

 その街並み、売っている物や住んでいる人について

 話した。


 もちろんアリア女王や魔王、ゼヒライテに会ったことは

 伏せてだが。


 静かに冷静に話を聞いていたベックスだが、

 話が進むにつれ興奮を押さえ切れなくなる。



「ほ、本当ですか!?

 と、特に魔国は入るには大変厳しい検問があって

 商人でもなかなか入国許可が下りないと聞きますが」


 キョトン、とする二人は顔を見合わせて苦笑いする。


「ええ、まぁ付き添いと言いますか何と言いますか。

 もう一人の連れの用事でちょっと」


 答えるサクラの言葉で更にテンションが上がる

 ベックスは頭から甲高い音がしそうな程、

 思考をフル回転させる。


(ま、まさか入国だけでなくお連れの方の用事とは……

 お連れの方が魔国出身であれば更に希望が持てるぞ)


 センターには慎重にと念を押されたベックス。

 ただ、

 こんなチャンスは今後来ないのではないだろうか?

 と自問自答したのだが、結果ーー



「……お二方に相談があるのですが

 聞いて頂けますか?」



 タケル達に例の相談を持ち掛けるのだった。



第3章の章タイトルを少し変更しましたm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ