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~5 セイラさんは何のご用でしょう?~



「そういやぁギルドに登録したばっかりらしいが、

 オマエさんのステータスってどれくらいなんだ?」



 そういやオレもちゃんと見てないな。

 サクラがちゃんと修正(改竄)してくれてるし、

 いつでも人に見せられる状態にある。


 前とは違うのだよ、前とは!!

 ん?どっかで聞いたな、このフレーズ?


 まぁいっか。

 そもそもギルドカードみたいのが無けりゃい~のに。


 って言っても魔法がある世界にはだいたいあるらしい

 って師匠も言ってたし前もあったしなぁ。

 言ってもしようが無いので一旦置いておこう。


 ガトーさんに見てもらうのは至って普通のステータス

 なので、そんなに気合い入れるほどでもないのだが、

 とにかく前の世界ではなんも考えずにステータスを

 そのまま見せたので非常に面倒だったのだ。


 とりあえず、

 ちょっと後ろめたさも感じつつ少し安心もしながら

 ガトーさんにカードを渡す。



「おっとその前に、裏面は見ないほうがいいな?」

「ん? なんで?」

「そうか登録したばっかだったな」


 と言って説明してくれるガトーさん


「裏面は称号やアビリティ、スキルだからだよ。

 人によっては秘密にしときたいものもあるんだよ。

 だからイヤなら見ないぞ」


「別にいいよ。

 裏面ってチラッとしかみてないけど

 殆ど白紙だったような……」


「お、おう、それはそれで寂しいけどな……

 ま、まぁとりあえず見られるようにするのに

 軽く魔力を通してみてくれ。

 それで他の奴にも見ることが出来るようになるからよ」


(しかし、裏面のこととか一切説明受けてないぞ。

 セイラさんだっけ? 端折りすぎだろ)


『それはタケルが体の一部分に

 気を取られていたからでは? フフフ……』



 なぜか藪蛇になりそうな

 不穏な空気が流れ出そうとしているのを感じたタケルは

 慌ててガトーからカードを受け取り魔力を流す。



「ハイ!ハイ!

 ガトーさん、どうぞどうぞ見てやってください!!」


 変なテンションのタケルに若干引き攣りながらも、


「オ、オウ、ありがとよ。どれどれ……ふん、ふむ」



 と返事をしてカードを眺めるガトー



【表】

 発行ギルド・登録地:獣王国アリア フィーネ支部

 ギルドランク H

 名 前:タケル

 職 種:戦 士

 受 付:セイラ

 ―――――――――――――――――――

 1 魔 力:73   2 筋 力:60

 3 敏 捷:110   4 状 態:疲労小

 ―――――――――――――――――――

 賞 罰:なし



【裏面】

 称   号 初心者  

 アビリティ

 ス キ ル

 UQ スキル



 ホォ~~

 って自分のカード見てホォもないだろうけど、

 称号って初心者だったのね。

 まぁその通りだ。

 ギルド初登録だし初心者だわ。


 あとアビリティとスキルの違いも判らんねぇ。

 あとUQスキルってなんだ?

 あんま見ないからどっちゃでも良いんだけど、

 また後でサクラに聞いてみよう。


 などと思っていると、


 見終わったガトーさんが軽く溜息を吐いた……



「う~ん、見事な平均値って感じだな。

 スキルもないし……少し速さがあるって感じか」


「逃げ足だけは速いんでね」



 ガハハと豪快に笑うガトーさん。



「さっきも言ってたな。

 生き残りやすいだろうし良いことなんだがな。

 湖の西側に行かなけりゃ大丈夫だ。


 街の近くにある草原のゴブリンなんかで少ない群れを

 狙えばいい」



 そんな小さな群れのゴブリンしか倒せない

 弱っちいオレが助けに来てくれたことに

 「男気を感じた」とかで、

 宿が無いなら泊まっていけとまで言ってくれた



「いやあ有難いんだけど、流石にそれは悪いよ」


『そうそう、人の行為に甘えすぎるのは良くないのです。

 苦労は買ってでもしろと昔の人は言いました』


(なんか古いな…ばあちゃん思い出すな)


『……』



 喋らなくなったサクラを放っておいて、

 ガトーさんにお礼を言う。



「オッチャン、いや、ガトーさん、ホントありがとう。

 メシだけでも充分過ぎるぐらい助かってるよ。

 せめて宿代ぐらいは自分で稼ぐよ」


「オッチャンで構わんが。

 うーん、そうか……じゃあ、何か困ったことがあったら

 いつでも来いよ!!」



 本当に優しいオッチャンなんだ、と思う。

 会った時は厳つい強面の怖いオッサンとしか

 思えなかったけど、今は大好きさ!!


 優しさと自分の調子の良さに感動していたのに、

 サクラが捲し立てるように話してきた。



『そもそも古いって言っても諺を引用しただけですし、

 タケルのことを思って言ったのに、古いだの、

 ばあちゃんだの、ブツブツ……』



 ……さっきの古いってのを気にしてるようだ。

 サクラは怒りだすとネチっこいからなぁ。



『なぁんですってぇぇ』



 ……低い声が聞こえた。

 オレの声も聞こえてしまったようだ。

 聞こえてないことにしてガトーさんにお礼を言おう。



「うん、ありがとう!! 

 とりあえず晩メシはお邪魔するよ」


「おう、待ってるぜ、気つけてな!!」



 そう言って、

 お礼と晩飯の予約をしてガトーさんのお店を出た。

 振り返って少し見上げると「ビバーク」と書いてある。



「そっか、ビバークって名前なんだな」

『そうですね、わたしは知ってましたよ』

「なら教えろよ……」

『聞かれてませんので(ツーン)』



 ……まだ気にしてるようだ




☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 ガトーさんの店「ビバーク」を出たオレたちは

 ギルドへ行くことにした。

 依頼をこなさないとメシ代と宿代を稼げないからね。



 扉を開け、居酒屋的な食堂スペースを抜けて、

 依頼のある受付スペースへ進むと

 聞き覚えのあるちょっと古風な口調のキレイな

 澄んだ声が聞こえてくる。



「お主のような軟弱が

 フォルス山脈のオーク討伐だとぉ!?

 やめておけ、死ぬだけじゃ」



 冒険者も実力をバカにされたように思ったのか

 食い下がっている。



「ちょっと待ってくれよ!!

 俺はランクDだし何度かオークも討伐してる!!

 なんで今回はダメなんだよ!!」



 ハァ、と溜息を吐くセイラ。



「オ・ヌ・シ・ハ・バ・カ・カ!!

 フォルス山脈じゃぞ、フ・ォ・ル・ス山脈。


 通常のステータスの1.2倍相当の強さになってるのを

 忘れておるじゃろう?

 

 あそこは魔力の強い地帯じゃ。

 しかも寒いわでオークの皮膚も相当分厚くなっておる。

 少々の攻撃は跳ね返されるのオチじゃ」



 そういえば、と言ったような顔で冒険者は

 セイラの顔を見て気不味そうにしている。



「お主がちょっとばかし強くなったのは知っておるが、

 こっちにしておくのじゃ。

 報酬もあまり変わらんし

 槍使いにはやりやすい仕事じゃろ」



 ランクD槍使いの冒険者、セイラの正当な意見に納得し

 素直に礼を言って出て行った。


 そういった遣り取りを横目で見ながら

 ギルドの依頼掲示板の前に立っていると、


 こっちに気付いていたのか眉間に皺を寄せながら

 口元だけ笑っている器用な表情のセイラさんから

 手招きされる。


 ちょっと怖い……

 逃げるとさらに怖いことになりそうなので

 恐る恐る受付に近寄ると、




「宿代稼ぎに来たんじゃろ?」



 セイラは1枚の依頼書を受付に乗せた。



「お主はこれをやれ」



 依頼内容を見ると、薬草集めと書いてあった。



「回復薬を作る原料となる薬草じゃ。

 サッサと終わるし楽じゃろ?

 これを1本2デルフィで買い取るから50本も取れば

 宿代とメシ代にはなるじゃろ」



 オレが弱そうに見えたのと

 多分初めて依頼を受けると見て

 気を遣ってくれたんだろうか?。



「あ、ありがとうございます」


『確かに目立つのも拙いですし、

 ちょうど良かったかもしれないですね』


(なんか解せんが

 言ってることは間違ってないんだよな、うん)



 セイラは少し眉間に皺を寄せて右手の肘から先と

 暴力的なモノをカウンターに乗せて

 グイッと色んな意味で威圧感を伴いタケルの方に顔を

 寄せてくる。



「フム、この街を出てすぐに湖がある。

 そこにたくさん生えておるわ。


 この時間帯のあそこなら魔物も殆どおらん。

 食べ物を探しに湖の西側へ出張っておるからの。


 ヤバけりゃ逃げろ。

 お主の速さなら充分逃げられるわい。


 とにかく宿が決まったら知らせい。

 少し時間を取って話をさせろ」


(ステータス覚えてたのね、スゴイ。

 とか言ってる場合じゃなくて)

「えっ……」

『エッ……』



 多分バカみたいな顔になっていたのだろう。


 ハァ、と溜息を吐かれた。

 溜息を吐く様も、また大変に優雅な感じで、

 美人って得だなぁと思ってしまう。


 これ以上考えると

 サクラから何を言われるかワカランので切り替える。



 セイラは普通に受付に座り直すとニヤッと

 悪戯っぽい笑みを浮かべた。



(しかしホント美人だし、暴力乳だねぇ。

 だけど200歳とかだったらどうし…あっ……)



 ギリギリで考えんのを止めてみたが、時すでに遅し。

 サクラが重い雰囲気を出していた。



『タァ~ケェ~ルゥ~!!

 まぁぁたエッチなこと考えてますねっ!!』



 サクラのいつにも増して低い声が聞こえ

 背中に冷たい汗を感じながらも、

 目の前の受付嬢を放っておくのはそれ以上に怖いように

 思えサクラは一旦放っておいた。



「安心せい、別に取って食おうという訳ではないわ。

 少しばかり聞きたいことがあるだけじゃ」



 その言葉を聞いて少しホッとしたけど、

 でもなんでほぼ初対面のオレに用があんだろ??

 魔力はキッチリ押さえてるし目立ってないはず

 なんだけどなぁ。


 う~ん、いずれにしろ依頼の報奨金をもらうときに

 ギルドに寄るから、

 その時に宿の場所なんかを伝えることにして、

 そそくさとギルドを出た。



 さてサクラの機嫌をどうするかねぇ。



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