表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/250

~47 マクフェイル商会~



「もしや、お困りですか?」



 有り金144デルフィ、通関料20000デルフィ。


 残り19856デルフィをなんとか稼がないと

 国境を通れないタケル達に声を掛けてきた男。

 二人はその男に怪訝な顔を向ける。



「いやいや失礼、急に声を掛けてーー


(キャ~ナンパよナンパ!!)

(人拐いかも……)

 

 まだお門違いなことを思う二人を他所に

 男は話を続ける。

 

 ーー通関料が払えないのかな?

 と思いましてね」


 その通りなのだが、

 なぜそこで声を掛けるのか分からないタケルは

 聞いてみることにした。


「持ち合わせが無くて困ってましたけど……

 なんで声を?」


 そこで声を掛けてきた男の後ろから軽薄そうな男ーー


 ヒョロっとした細い体躯に

 高そうな銀色の軽鎧を着ている。

 身長は高く2m程ありそうだ。


 ーーが姿を表す。


「だぁから言ったろう、怪しまれるって」

「ハハ、怪しいですかーー


 怪しさを認めた男はベックスと言い

 軽鎧の男はセンターと名乗った。


 二人はヴァッケンの商人とその護衛で

 エルフの森に希少な薬草や素材を採取しに行った帰り

 だという。


 ーーで、そこの森を出る寸前で馬車が

 壊れてしまってね」


 採取した物をセンターが持ち

 馬に括り付けても諦めないといけない量が

 結構あるらしい。

 

 人を残して後で取りに来るのも当然リスクが有るので

 選択できない。


 代わりの馬車や国境警備兵に頼むにしても時間もお金も

 掛かるため通関料を依頼料として

 タケル達に荷運びを依頼出来ないか声を掛けたようだ。



「ああ、そういうことですか」


「警備兵や馬車を頼むより時間もお金も安く済むし

 君達も通関料が払えてお互い万々歳って訳さ。

 どうかな?」


 渡りに船ではあるが、


(サクラ、どう思う? ナンパじゃなかったけど)


(ナンパから離れなさい!

 人拐いでもないですし悪意も無さそうですから

 受ける方向で)


(うん、サクラもな。まぁそだな、実際助かるし……)


 当然ながらオレのリュックは使わないよ。

 何かと目立つからね。


 そういうことに落ち着き、

 荷運びを手伝い通関料も支払いを済ませてもらった

 タケル達はなんとか無事に国境を越えることが

 出来たのだった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「いやぁ、荷運び助かりましたよ」


「いえいえこちらこそ。有難うございます」


「本当にどうしようかと困っておりましたので

 助かりました。

 ベック様、有難うございました」


 ここはベックの構える商店の裏手、倉庫の前である。


 タケル達は馬車から必要な物を運び出し樽や袋に

 詰め替えて国境を越えてから店の倉庫まで

 運んで来たのであった。


「センターも有難う。

 護衛以外のことをやらせてしまったね」


「い~え~お安い御用で。

 ではでは護衛も終わりですので私はこれで~」


 センターは護衛任務だけで雇われていたようで

 挨拶をすると、すぐに去って行ってしまった。


 残されたタケル達も大会登録で

 書類も提出しなければならないし

 お金も稼がなければいけないしで

 国境は運良く越えたもののまだまだ忙しい身であった。


「じゃあオレ達もこれで失礼しますね。

 お世話になりました」


 タケル達が去ろうとするとベックが、


「ああ、良かったら食事でもどうですか?

 これも何かのご縁ですし、ご馳走しますよ」


 と提案してきたことで、

 文無し貧民タケルとサクラは断る理由もなく

 応じるのだった。






 マクフェイル商会~食堂



 改めて自己紹介を済ませた二人はベックと共に

 店の奥にある食堂で食事中である。



「大きいお店ですね」


「お陰さまでね。貴族位まで戴いてしまって。

 良いのやら悪いのやら」


 苦笑いするベック。


「それでベック様でなく

 マクフェイル商会と仰るのですね」


「ええ、以前はジャパン商会だったのですが、

 陞爵(しょうしゃく)と同時に商会名も変えましてね」


「ブッ!!」

「キャッ!!」


 正面のベックでなく

 ちゃんと隣のサクラに吹き出すタケル。


 急に吹き出すタケルを見てベックは

 何かに気付いたようだが口に出すことは無かった。


「あらら、大丈夫ですか? タケルさん」


 給仕からもらったタオルで顔と服を拭くサクラに怒られ

 自分も口の回りを拭くタケル。


「失礼しました。GOかと思いまして」

(バカ! 誰が視線のレーザービームですか)


「えっ?」

「いえお気になさらず」


 そんなことがありながらも食事は進みデザートまで

 出してもらったタケル達。

 特にサクラは上機嫌である。



「ん~! このクリームがなんとも!」


「ウチの商品のケーキでしてね。

 お気に召して頂けて良かったです」


 美味しそうにケーキを口に運ぶサクラを見て

 人の良さそうな笑みを浮かべるベックは

 そういえばと疑問を口にする。


「ところでタケルさん達はこのブラントには観光?

 では無さそうですから、やはり大会に?」


 ちなみにブラントはヴァッケンの王都である。


 隠すことも無いので正直に答えるタケル。

 サクラの補足も入り事情を説明する。


 それを聞いたベックは、


「やはり大会でしたか、その申請書類を提出にね。

 でも国境では通関料も無かったのに大丈夫ですか?」


 口に運んだケーキが止まる。

 ギギギと音がしそうな首がお互いの顔を

 正面に認識したところで改めて止まる。


 その反応を見たベックが苦笑しながら、

 ある提案を試みる。


「アハハ、面白い人達ですね。

 もうついでですしウチで資金稼ぎしませんか?」


 ベックによると、

 商会のスイーツ部門で丁度売り子を探しているそうで、

 また商会で卸す薬草、素材を採取する人手は

 いくらあっても足りないそうだ。


「それと大会書類はウチでも受け付けてますから

 一石二鳥ですよ」


「エッ、そうなんですか!?」


「ええ、この時期は大会受付で忙しいですからウチや教会、

 大きな宿屋なんかも受付するんですよ。

 年々申請依頼が増えてギルドだけでは

 手が足りないんですよ」


 それにと続けるベック。


「不躾ですが、サクラさんの容姿は大変素晴らしい。

 売り子には持って来いなんですよ。


 タケルさんも大会に出場されるのであれば、

 いっぱしの冒険者かと思いましてね。

 素材集めなんかをお願い出来ますから助かるんですよ」



 サクラはまぁその通りだろ。

 オレのいっぱしかどうかは置いといて。

 

 偶然とはいえなぜベックさんが

 ここまで良くしてくれるのか?

 疑問が残るなぁ。



(まぁ良い人だよなぁ、ガトーさん並みに)


(ええ、良い方ですね。

 特に何も感じませんし警戒し過ぎるのも

 失礼ですしねぇ)


(ウ~ン、そうだなぁ)



 そんな念話での会話をしながら二人共、

 セイラが居なくてヨカッタと思っていた……


 渡りに船が一艘二艘と出ており、

 ベックの提案を謹んで受けることにした二人。


 売り子にサクラ、素材採取荷運び等にタケル。

 二人はこの世界で初のアルバイトに

 精を出すことになったのだった。



持ち金を勘違いしており、修正しましたm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ