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~45 初対戦ですね!!~



 ずっと黙っているタケルとサクラは

 いつまで経っても紹介されない話は進まないはで

 もうヴァッケンへ行こうと思っていたが、



「お、お前の新技か秘技か知らんがーー


 ハァァ、と深い溜め息を吐いてから、


 ーー聞いた俺も悪かったが、

 いい加減横の二人を紹介したらどうだ」



 やっと紹介されたタケルとサクラは挨拶を済ませる。


「いやぁ、スマンスマン。

 エールが美味かったんでつい忘れてしもうたわ!!

 ガッハッハッ!!」


「お前は毎回門で騒ぎを起こして

 エールを飲んで大事な話を忘れて帰って

 思い出して戻って来てから話をする病か?」


「そんな長い名前の病気ないわ!!

 フン、じゃから今日は珍しく今からするワイ!!」



 おお、自分で言ってるよ……



 そこからのセイラはガラリと雰囲気を変え、

 タケルというゼヒライテに匹敵する戦力、

 またサクラも相当に強いといったことを軸に

 アリアに同盟の話を持ち掛ける。


 ーーという訳で、対聖光神への戦力も整いつつある。

 いつまでも日和っとらんでマザーやワシ等、

 ダグザ……と同盟を組まんか!!」


 ダグザちゃん

 ーー呼び方が決まらないですね(サクラ談)ーー

 の後の間は?

 

 タケルがそんなことを思っているのを他所に

 アリアは難しい顔をして答える。


「……フン、バカが。そんなものが信じられるか。

 ゼヒライテ様が手加減していただけだろう」


 と言いながらもコッソリ鑑定していたが、

 練度の高い認識阻害でも軽く突破するアリアが

 鑑定しても鑑定しても弾かれる

 タケルとサクラに驚いているが顔には出さない。

 


「フッフッフッ、そう言うと思ったワイーー


 またフッフッフッ始まんじゃないだろうな?


 ーーマザーに直接聞いても構わんが、

 貴様はどうせ自分の眼で視たものしか信じまい。

 それなら、このタケルとサクラの模擬戦を

 ここでやらせてみて判断してはどうじゃ?」


 ヨカッタ~違ったよ、って言ってる場合じゃないな。

 あ~とうとうやんのか~


「……フン、バカが。元々そのつもりだったな?

 まぁ構わん。

 セイラ、小僧共の話は後だ。

 バロン、お前も見てやれ」


「フン」

「ハッ!」




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 回りは獣王国の兵士たち、

 またVIP席にはアリア、バロンをはじめ

 重鎮が座っている。


 闘練場に案内されたタケル達。

 セイラは観戦に回るかと思いきや審判をするようだ。



「ちょっとセイラさん、

 結局サクラのステータスとか

 見せてもらってないんだけど」


「バカモノ!!

 模擬戦とはいえ初戦闘のサクラに

 それくらいのハンデはやらんか!!」


「う、まぁそうか。しゃあないか」



 珍しく正論だな……なんか悔しい!?

 まぁ置いとこう。

 なんかサクラも喋らんし、緊張すんな。



「それでは両者、準備は良いな?ーー



「ん」

「宜しくお願いします」



 ーーそれでは……はじめ!!」



 今後数えるのも億劫になるほど行われる

 相棒同士の模擬戦が

 ここアリア城内闘練場で初めて行われたのであった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 開始の合図があったものの

 両者は暫く一切動かなかった。

 しかしその思惑は両者異なるものであった。



(ん?? 動かんね)



 受ける側と考えているタケルは

 構えは取っておらず自然体。



(流石タケル、頭が痛くなってきますね)



 サクラは最初タケルが動かないだろうことについては

 これまでのデータから確信を持っており、

 この間を利用しタケルとの戦闘シミュレーションを

 高速演算で行いつつ勝ち筋を探っていた。


 より実戦に近い形が望ましいため前もって考えることは

 敢えてしなかったサクラ。


 同時に無詠唱で魔法を放っていた

 ーーダグザも使った重力魔法ズ・ルールの

 上級魔法ズ・ルルドである。


 タケルが一向に動かないサクラに違和感を感じ始めた

 その瞬間を測ったかのようにサクラが動く。



 ズズンンッッ



 自分の左側に違和感を感じたタケルは

 ほんの一瞬ではあるがサクラから意識を手放す。

 これもまた測ったかのように気配を断つサクラ。


 そしてタケルの左側に引力。



(これ、重力魔法か? 横から!?)



 サクラは更に先程とは逆。

 タケルの右側から出来るだけ速度の出る魔法

 ーー氷の上級魔法グラキオール

 氷のランス100本以上ーー

 を放っていた。


 氷のランスは逆側に先程放った

 約10tの重力場に吸い寄せられるため

 猛烈な速さとなりタケルを襲う。



(チッ!! なんちゅう使い方すんだ!?)



 舌打ちしながら飛んだ先、

 真後ろには気配を断ったサクラが既に先回りしており

 タケルが真後ろに飛んだ瞬間を狙い

 心臓目掛けて肘打ちを敢行したところであった。


 その動きの速さと魔法の即時発動。

 類まれな才能を見せるサクラ。


 その様子をVIP席を含めた観戦者たちは

 驚愕と興奮とが綯交ぜなった表情で、

 審判のセイラですら固唾を飲んで見守っていた。


 精神的な動きをも見切り、

 初手から詰将棋のようなサクラの攻撃が

 タケルに決まったと誰もが思った。



 ゴォッッッ!!



 真紅の中に白い焔。

 それを全身に纏ったかのような姿。

 一気に全ステータスが跳ね上がり

 釣られて動きも速くなる。


 真後ろに飛んだものの、

 強引に足を地面に蹴り付け一気に前方へ逃れるタケル。


 もう用無しとばかりに氷と重力魔法を解除し、

 肘打ちの体制からこちらもスピードを上げ

 タケルの背中を追いかける。


 背中からサクラが追ってきていることに

 気付いているタケルは後ろ回し蹴りを放とうとーー


 ーー瞬間、嫌な予感に襲われたタケルは

 何もない目の前の空間に飛んできた勢いのまま

 右足を深く踏み込み右拳を、

 背中側にはほぼ同時に左足を跳ばす。




 ドドッォォォォオオオン!!!!




 闘練場が揺れるほどの衝撃を伴い

 タケルの右拳はサクラの十字にした両腕にガードされ

 左足は消えていくサクラの腹部に蹴り付けられていた。



「もうっ!! うまくいったと思ったのに!!」


 驚いたタケルは距離を取りながらサクラに尋ねる。


「い、いまの、双葉か?」


「フフ、吃驚したでしょ?

 でもそれを勘で処理してしまうから

 厄介なんですよタケルは」



 流石に強いですね、と思うサクラ。


 1分後ぐらいにはオレより強くなってるよな……

 と思うタケル。

 これ師匠にどう言い訳しよう(ダラダラ)



 闘っている両者は其々の性格を反映し、

 更に分析に余念がないサクラと

 相変わらず師匠のトラウマに悩むタケル。


 そして、ここまでの闘いを一言も発せず

 観戦していたVIP席の面々はここではじめて

 一息吐いたのであった。





 双葉ふたば


 これはタケルの師匠が頻繁に使う技である。

 魔力と気配を残しながら

 自身は違う場所へ移動し攻撃する技。

 残した魔力体が物理的干渉を行うのが

 この技の特徴である。


 タケルの師匠の場合、

 これを何度も併用し20人くらいになるため

 技名が双葉じゃなくなってる!!


 と、いつもボコボコにやられているタケルが

 腹立ち紛れに溢す。

 といったエピソードが付く技を

 サクラが使ったのである。




「ッブハァ!!」

「す、凄まじいですな」

「こ、こんな……」


 

 審判であることも忘れ、

 息をするのも忘れていたのか

 驚きながらも集中し瞬きするのも煩わしいと

 言わんばかりに、

 物理的に穴が開くだろうと思われる程に

 その闘いを分析していたセイラ。


 またアリアはアリアで驚愕しながらも

 その戦闘力を推し量ろうとしている。


 また間近で見ているセイラは、


(フン、サクラもいきなりで

 あんな魔法の使い方が出来るとはの。


 しかも戦略がイヤらしいことこの上ない。

 あのバカタケルと違ってのーー


 右手と右脚を前に構えを取るサクラと対照的に

 タケルは変わらず自然体。

 それを見ながらセイラは分析を続ける。


 ーーしかしバカなのに、

 あの奇襲を見破ることが出来るのは

 サクラの言う通り勘なのか?


 勘なぞが通用する次元ではないのじゃが……

 ますますワカランわいタケルの奴。

 あとでお仕置きじゃ!! ククク、オシオキジャ)


 セイラの思考がインターチェンジから高速道路へと

 逸れた辺りで二人に動きがあった。


 まずサクラが動く、真っ直ぐにタケルに向かって。

 観戦している誰もが何かしら策を弄してくるだろうと

 考えていたがーー



 ビビビビビビッビビビビッビッ!!!



 ーーサクラは真正面からタケルに打ち掛かっている。

 その手数はギルドランクSSSの冒険者でも

 目で追うのがやっとの速さ。


 しかもフェイントを織り交ぜながら

 踊るように攻撃する姿は観戦しているものからすれば

 美しいとすら感じる。



(こっちはオレの土俵だい!!

 まぁまぁだ、よっと!!)



 格闘戦、特に打ち合い捌き合いには

 まだまだ余裕があるようで、

 避けに避けるタケルは

 ほんの半拍の隙に横薙ぎに蹴りを放つ。


 タケルの放った蹴りが

 どんな効果を持つか分かっているサクラは

 屈むか跳んで避けるとタケルは思っているだろうと

 サクラは考えていた。


 タケルのその裏を突くべく前進しながら

 左手で蹴りの衝撃波を弾き、

 タケルの懐に跳び込んだサクラ。



(あら、やるね)



 まだまだ余裕のタケルであったが

 懐のサクラに対応しようと軸脚に力を込めた瞬間ーー



 ズッッシッ!!



 脚全体に重さを感じ、ほんの一瞬驚くタケル。


 サクラは闘い始めてから気付かれないよう

 徐々に徐々にタケルの脚に

 軽い重力魔法を掛け続けていた。


 開始直後の横からの重力魔法も

 タケルの少々の重量は気にならない身体能力を

 逆手に取り、

 少しづつ重くなっているのを紛らわせるための

 感覚を狂わせる罠。


 そして更に予想だにしない双葉でほんの一瞬の隙を作り

 軽い重力魔法を更に重ね掛けていた。


 双葉で驚かせ2種類の重力魔法で罠を張り、

 その瞬きにも満たない刹那の隙を待っていたサクラ。



「ここっ!!!!」



 サクラはその上で念入りにも今度は双葉を使わずに

 そのまま真正面からこれまでで最速の突きを放つ!!



「クッ!」



 ゴッッ!! ズッゥゥゥゥゥ……ゥゥゥゥ



 サクラの突きがタケルを捉えた!!ーー


 ーーには捉えたのだが、

 捉えたのはタケルの左の掌であった。




「フゥゥゥゥーー



 張りつめていた気を緩ませ、

 膨れ上がった魔力を風船が萎むように抑え

 息を吐くサクラ。



 ーー今はここまでですね」




 顔を上げ菩薩微笑にてタケルに微笑みかけたところ

 サクラの拳を受けた側の左手首を右手で抑えながら

 俯いているタケル。



「流石タケルですね、やっと一撃……って聞いてます?」



 訝しげに眉を顰めるサクラであったが

 タケルが何かを呟いていることに気が付き耳を傾ける。




「イ」

「イ?」



「イッッッ、タァァァァァァ!!!!」



 どうやら、かなり痛かったようだ。



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