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~40 緊張しますね~



 一路ニダベリルへと向かう一行は

 イブリスと合流するため

 一旦王都ミクトクーリアへと翔んだ。


 ゼヒライテは竜の里を留守には出来ないので、

 ヴァルディオーネ、リンデンブルムが護衛という形で

 タケル(サクラ)、セイラ、魔王、が

 王都でイブリスと合流。

 

 ミクトブランから海底洞窟に広がる

 不死の国ニダベリルまで出向くこととなった。


 魔王はただでさえジョブチェンジ駄々っ子で

 今朝から王都を空けているので、

 腕組みをして仁王立ちで待っていたイブリスに無言で

 睨まれ泣く泣くセイラと別れアドラ城へと帰城した。


 ただイブリスに睨まれてからも、

 泣きながらあまりにしつこく

 セイラと一緒に行くと言って聞かないので、

 キレたセイラが気絶させ移送中に暴れられても困るので

 ダイダロスに念入りに拘束され帰って行ったのだが……


 姉が絡むとスンゴいことになんな。

 そりゃ鎧に詰め込まれるわ……




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 海の街ミクトブランからニダベリルへと入った一行は

 タケルが戦った玉座の間から、

 更に1階層下の研究室へと来ていた。




「ホォォ、こんな場所があったとはのう」

「へぇぇ」



 セイラやヴァルディオーネが感心する中、



「ゼヒライテ様のご依頼なので致し方あるまい。

 ブツブツ……」



 ブツブツと未だに不満があるようだが、

 キチンと案内はしてくれているダグザ。



「それで、ここを、このもう1階層下に余の、余のーー



 後はちょっと言葉になってない……


(気の毒過ぎるんだけど……)

『……わたしもちょっと止めたくなってきました』


 ーーッ、エエイッ!!

 余も元は男子じゃ!!

 二言は無いわい!!

 領土の割譲もマザーのお墨付きだしの!!

 こっちだ!!」



 葛藤を振り切ったのか足早になるダグザ。



(足早の骸骨って、ちょっと怖キモいかも……)


『そ、それはタケルが元々苦手だから……

 でもちょっと……』


(それから「元」ってなに?「元」って?

 いまは既に女性なの? どういう理屈?)


『……骨格からも男性だと思うのですが。

 もう解析不能です』


 元AIを持ってしても分からないとは……

 なんかある意味スゴいのかも……


 当事者にも関わらず

 話が横道へ逸れていく二人であった。


 タケルとサクラのために

 断固たる決意を示したダグザだが、

 まさか気持ち悪いなどと思われているとは露知らず、

 ズンズンと件の身体がある倉庫の方へ向かっていく。


 少し先に大きな扉が見えるが、

 厳重にロックが掛けられているようで

 ダグザが一行を手で制した。




「ロックを外すから、

 余が良いと言うまで待ってくれたまえ」



 なにやら呪文を唱え、

 扉手前までの通路の複雑な魔方陣が徐々に消えていく。



 5分ほど経ってーー



 ーーフゥゥ……さて、終わったぞ」



 と言って、徐に歩き出し倉庫へ続く

 人間の成人一般男性の2倍程度の高さはある

 大きな扉の前へ向かう。


 一行もそれに続き扉の前で再度ダグザが呪文を唱え、

 それに応え扉が開いていく。




 ギ…ギギギギ……ゴ ゴゴオオオン……




 開いた扉の向こうは空中に浮かぶ丸い光球があり明るく

 左右の様々な材料が目に入る。


 意外にも死体や、よくある内臓の瓶詰などは無く

 中身の見える容器に入った

 何に使うのか分からない材料が綺麗に整理整頓され

 置かれていた。


 棚の間を真っ直ぐ歩いて行くと

 奥に少し広くなっている空間があり

 ーー前を歩くセイラやヴァル、イブリスで

 全ては見えないがーー

 その真ん中に硬そうな石のベッドのような

 台座が置かれているのが何となく見えた。




「ホォォ~」

「ヘェェ」

「美人のヒト~」

「なるほど」




 サクラは緊張してんのか黙ってるし、

 なんか色々と感想が聞こえるけど

 例の身体が見えたのかね?


 ヒョイ、と頭をずらしたタケルが横から覗いて見ると

 そこには素っ裸の女性の身体が横たわっていた。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 ダグザが準備していた

 転生用の身体が置いてある台座の前に集まる一行。



「えらい美人じゃのう。

 これがダグザになるのは、

 ハッキリ言ってワシはイヤじゃな!!」



 ハッキリ言い過ぎなセイラさんだが、

 確かにちょっと、

 これがダグザちゃんってなんのは……イヤかも。



「コリャ!! タケル!! 凝視するでない!!ーー

「いや、してなーー


 ーーもっと美人が目の前にいるじゃろうが!!」

 ーーいや、聞けよ!!」


「ハッ!! 裸だからじゃな!! ヨッシ、ワシもーー


『ちょっと、ちょっとちょっとおお!!

 セイラ様ああああああ!!!!』



 マントをバサッと投げ捨て、肩紐を外し掛けるセイラ。

 また図ったようにノースリーブ着てやがんな!!


 しかしオレはもう止めんぞ。

 止めるときにぜっっったいになんかやってくるから。

 案の定セイラさんから抗議の声が入る。



「……なんじゃ止めんのかタケル?」


「あのねセイラさん。

 もう何回もその手に引っかかってるからね。

 脱ぎたいなら勝手に脱げば」


「ホォォォ~、よう言うたのうタケルよ……

 ワシを甘く見るなよ!!」


 ガバッと肩紐を両方外したセイラは、

 その類まれで爆発しそうな胸部を露わにした。



『キャアアアアアアアアアァァァァァァ……』



 しかし金さん以上で脱いだな。


 サクラは絶対凝視したいはずだが、

 オレが目を閉じてるので認識できてないはずだ!!

 その証拠に悲鳴は段々と静まりつつある。




 グッ!!




 セイラが戦闘かと思えるほどの素早さでタケルに近付き

 頬を両手で挟んでいるが、

 タケルは眼を閉じたまま腕組みをしている。




「コォォッチヲミロォォォオ!!!!」




 吉○か!


 2作目だぞジャ◯プシリーズ!!

 困るから止めてくれ!!


 クッ!


 強引に顔を胸のある方へ向けられつつあるが、

 オレも力にはちょっと自信あんぞ!!


 完全にソッポは向いているが、



「ックゥ! なんちゅうひかららすんだよ!!」



 頬を挟まれ変語なタケル、



「フフフ、

 貴様はいつもいつもワシから目を逸らしておるが、

 今回はそうはいかんぞ!!」


『セイラ様!! お止めください!!

 わたしもセイラ様の、その、ちょっと、

 見てみたい気が……』


(アホか!!)


『いや、その、これは知的好奇心からであって、

 決してその疚しい、ゴニョゴニョ……』



 こんのエロAIが、こんな時に壊れるとは!!




「いい加減になさい!! そこっ!!」




 周りの気配から呆れているのと、

 大笑いしてるのは声で分かる。


 あと引き気味だが、

 この愚行を止めた勇気ある声はマザーか?

 助かった!! サスガ神竜様!!


 ハッと我に返る上半身裸のセイラが見た方向は、

 ヴァルの首に掛けてあるネックレス、紫色の石。




 ……




 シーン




「エートーー


 ーーダァッハッハッハッハッハ!!

 見ておったのかマザー!! 

 お主もワルよのう!!」




 ……



 シーン




 マザーはジトッとした雰囲気を醸すだけで答えない。




「……スマン!! テヘ(ペロッ!!)」




 流行語大賞でいいよな、もう。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 突っ込む機会があった場合は、

 ハイキック、飛び膝、ダブル掌底

 ーー現在確認出来ている突っ込みーー

 が飛んでくるが、

 本人がそれを行った場合はスルーされる。


 しかし今回はゼヒライテがこの場に居ないとはいえ、

 珍しくお怒りであるため

 流石のセイラも大人しくなった。




「ホンッとに、一体なに考えてんだよ。

 バカだよ、バカでアホだよ、バカ力だから首痛いし、

 バカ部門でもアホ部門でもダブル殿堂入りだよ!!」


『ヨコチチデコレヨコチチデ……』




 サクラは、オレが目を開けた瞬間、

 セイラの横からの眺めを認識したようで、

 どこか遠くへ逝ってしまっている。


 オレ? 

 オレは視覚神経が脳に達する前に

 シャットアウトしたよ!!

 器用で良かった、ハッハッハッ!!




「コホン。

 心配だったのでヴァルに遠距離通話と画像送信可能な

 改良型の通信用魔石を持って行ってもらって

 正解でしたね。


 セイラ!!

 お説教は後でジックリと致しますから、

 今は早く事を進めなさい!!

 ダグザ殿も待っておられますよ」




 大笑いしているヴァルとリム。

 イブリスは蟀谷に手を当てて瞑目したまま

 首を横に振っている。


 ダグザはと言うと、




「もうよろしいか?

 そろそろ始めてもらって良いのだが。


 その前に……そうだな、

 余は女性の身体にそこまでの興味はないが、

 セイラ様の御身体は所謂黄金比率と言うやつだな。

 バランスが取れており美しく目に映る」



 と、セイラの身体を冷静に分析し感想を述べていた。


 女性に興味があると言っても性的な意味では無い

 ということは良く分かったんだけど、

 そんな感想言われてもな……


 などと考えていたタケルを他所に、

 イブリスがなんとか事を進めようとする。




「そ、それでは、改めてダグザ殿。

 そのベッドの上に寝かされている女性が

 転生の器ということでよろしいか?」


 やっとか、といった感じのダグザが、


「ウム。後は頼みましたぞ、イブリス殿」


「はい、ダグザ殿」




☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 まずイブリスはタケルをベッドの傍に呼んだ。


 目のやり場に困るなぁ、まぁ目瞑ってるか。

 でも、これって成功したら

 サクラっていきなり裸じゃないの……


 と考えていると、

 セイラの横からの眺めの衝撃から復活したサクラが、


『大至急、超緊急で

 今すぐにタケルの持ちうる最大のスピードで

 ローブを準備して私に掛けて下さい……ゴゴゴゴーー




 なんか寒いし、音がするんだけど、気のせいか?……

 エ、エ~っと、



「ヴァルさん!!

 ゴメンだけど、そのローブ貸してくんない?」


 ホケッとこちらを見ていたヴァルは

 直ぐに察してくれたようで、


「りょーかり、りょーかい、そりゃそーだよね」



 と言って、ローブを素っ裸の女性に掛けてくれた。


 そんな一幕もあり

 サクラがヴァルにお礼を言い、

 ヴァルがニコリとして手をヒラヒラとさせたところで、




「それでは憑依、定着を開始します」


「『お願いします』」




 サクラの受肉がーー


『うう、緊張しますぅ』

(トイレの場所聞いとくよ)

『バカ!』


 ーーとにもかくにも始まったのであった。




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