~37 忘れられてますね~
ゼヒライテから師匠とは知り合いで
連絡まで取っていたと聞き何かと不安定になっていた
タケルだが、サクラの機転で回復し謁見の広間へ
戻ってきたところだ。
「何かがチガウ気がするけど……」
『まぁまぁ目的もハッキリしましたし……
それよりゼヒライテ様、先程の空間は?』
タケルがナニかに気が付きそうなので
強引に話題を変えるサクラ。
「ああ、あそこはーー
とゼヒライテが答えかけたところで、
「タ、タケル……どこに行っておったのじゃ!!!!」
と、眼に星を宿したようにキラキラとさせながら、
胸の前で手を交差させ、
大層心配していたような仕草でタケルに
ゆっくりと近付いて来るセイラ。
「ンエ? あぁ戻ったのか。え~とーー
「ドッセーーーーーーーーーーーーイ!!!!」
ドッスッーーーーーーーーーー
ガッシャーーーーーン
吹っ飛んだタケルにより飾ってあった鎧なんかは
バラバラである。
『……ボーリングみたい』
セイラのダブル掌底が
タケルの腹部に決まった瞬間であった。
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「(コソ)あのね、変なフェイント入れて掌底する意味は?」
「(コソ)お主がすぐに浮気するからじゃ」
「(コソ)誰と?」
「(コソ)マザーとじゃ」
「(コソ)バカなの?」
「誰がバカじゃ!!ーー
ーーゴンッ
「そこっ!! さっきからウルサイ!!」
「シーン……」
「シーン……」
ゼヒライテに叱られるタケルとセイラ。
『ピカピカの1年生ですか……』
どういう状況かというと、
広間へ戻ってきたゼヒライテから
聖光神に関する情報共有。
これまでの経緯とタケルの事情。
呼び出した理由などを説明している最中で、
セイラと魔王、四竜王と共に会議室へ
移動してきている。
「セイラも! さっき怒られたばかりでしょ!!」
「スマンのじゃマザー。
だが、ちゃんと聞いてはおるぞ。
そうであったかータケルの師匠は
大層美人なのぢゃなー」
「男性です!!」
「え、え~、ゴホン。
そろそろ本題に戻って頂いても……」
と、言って話を本筋へと導いた勇者は竜王の一角、
クリスタルドラゴンのドレント。
全身がその名の通り水晶で覆われたドラゴン。
今は人化しており誰が見ても男前の銀髪美丈夫である。
「ハァハァ、ン"ン"コホン。
気を取り直して続けますーー
ーーという訳で、
タケル殿については彼のお師匠様でもあり、
わたくしの友人でもある方から紹介を受けまして、
対聖光神への切り札として戦力になって頂く予定です。
「ゼヒライテ様ーー
「どうしました? ユグレイブ」
ゼヒライテのお誕生日席を挟んで
ドレントと逆側に控える、竜王の一角。
地竜の王が良く響く重低音の声で
ゼヒライテに問い掛ける。
ーー僭越ながら少々お聞きしたい。
前回の大戦にて主は御出産のため
出撃は控えざるを得ない状況で
我ら竜王で対処に当たりました。
次の機会は主と我らが出撃すれば
今度こそ聖光神を滅することが出来ましょう」
「何が言いたいのユグレイブ」
「現状主は島の「神竜結界」の維持がある故動き辛い。
代わりに主と同格と考えられるご友人が
我らと共に戦って頂けるのであれば理解できまする……
それを弟子というのは……
ーー仕える身でありながら疑問を差し挟み、
誠に恐縮ではありますがご教示願えると有難い」
マザーはアンデッドも即死するような、
光が零れる笑みで嬉しそうにユグレイブの
疑問に答える。
「フフフ。
まだ見せてないからそういう疑問も湧くわねーー
と言ったゼヒライテに視線が集中する。
ーー聖光神の情報共有も粗方片付いたし
タケル殿とサクラ殿の紹介も済んだことだし、
丁度いいわ。
先程の神域での模擬戦を見てもらいましょうか」
会議室の空間が神域の様子に切り替わり
テラエーが出てきたところから模擬戦を再生していく。
まるでVRのような空間投影だが
観る者は慣れているのか、
ゼヒライテの言う通り
黙って模擬戦を観ることにしたようだ。
タケルとサクラはというと、
(おお~スゲーリアリティ!!
地球より進んでんじゃないの!)
『そうですね。
空間の研究がこちらの世界の方が進んでいるように
思いますね。
ちょっと取り込んでおきますーー
と観賞中の者達とは異なる部分に興味を示す二人。
もう少しでタケルがポップコーンが欲しいと思う寸前で
上映が終わり元の会議室の様子に戻る。
……
静まり返る会議室を見渡し一頻りしてから
皆に声を掛けるゼヒライテ。
「如何ですか、皆さん。
ユグレイブ?」
声を掛けられたユグレイブではなく、
ゼヒライテの相談役であり
秘書的な役割も熟す竜王の一角、
水竜王ナイアスが反応する。
「ゼヒライテ様ーー
「どうぞ、ナイアス」
ーーもう、お聞きするまでもないのでは?
セイラと魔王に至っては姉弟揃って
白眼を剥いてますよ」
会議室の全員が見守る中、
姉弟仲良く意識を手離しているのを横目に
ユグレイブが言葉を継ぐ。
「……この眼で見ても信じられませんな。
テラエーまで出されて
古代失伝クラスの魔法を喰らって無傷どころか
主に一撃まで加えるとはーー
フゥゥ、と深く呼吸を取ったユグレイブ。
ーー我らでは及ばぬ領域。
ナイアスの言う通り聞くまでもありませんな。
失礼致しました。
御随意に」
「フフフ、ありがとうユグレイブ。
皆さんもよろしいですね」
当然反対の意見も出ず、
ゼヒライテが今後の予定を伝え、
ひとまず会議は終了となった。
その後はタケル、ゼヒライテ以外は
食事が済んでいるため、
二人が食事をする間、同じくお茶をしながら
ゼヒライテや竜王達に質問を投げられる
タケルとサクラであったが、
ふとーー
(なぁなぁサクラ)
『はい?』
(平和だな)
『?……あ』
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ここは先程まで会議が行われていた場所。
いつものように担当員達が
清掃や映像投影魔道具の調整をしに部屋に入って行く。
「ヨーシ、さっさと片付けてメシだメシ。ん?
誰かいらっしゃったんですか?
これは失礼……ヒィィィィィィ!!」
会議室には未だに白眼を剥く2名の人物が
イスに座っていたのだった。
チェックミスで冒頭の部分を改稿しました、申し訳ありませんm(_ _)m




