~35 聞きたくない!!(タケル談) ~
「さて、改めてよろしくね。タケル殿、サクラ殿」
と言って軽い雰囲気で挨拶するゼヒライテ。
ジト目で対応するタケル。
サクラのことも既に知られているようで
二人して挨拶を返す。
『……宜しくお願い致します、サクラと申します』
「ハァ、
大層な歓迎を賜り有難うございます。
タケルです」
その反応を見てゼヒライテは、
「ア~ン、怒らないでちょうだい♡
いきなり仕掛けたのは私のイタズラなのよ
ゴメンなさいね(テヘッ)
経緯は今から説明するから」
と、シ者も起き出してきそうな笑顔で
ニッコリとタケルたちに微笑み掛けるゼヒライテ。
イタズラというレベルは遥かに越えており、
落とされた熱湯が本当に100度あったというくらい
表現がオカシイと思いつつタケルは言葉を返す。
「ック、ここでも「テヘッ」を見ることになるとは……
とりあえずスンゴイ美人さんなのは
良く分かりましたけど
ちゃんと理由を聞かない限り
誤魔化されないですから!! なっサクラ!!」
『マ、マックスビューリー♡……』
2冠馬か!!
ハァ、ダメだこりゃ……とりあえずオレだけでも聞こう。
そんな二人の遣り取りを微笑ましく
聞きながらゼヒライテは語り始めた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
「……わたしは何も出来ませんでしたーー
ーー先の大戦末期
「アァァァァァーーーーーー!!」
「アム!! アムゥゥゥゥゥゥーーーーーー!!」
……
「ハハハハ、他愛の無い。光神と言えどこんなものか」
血煙と土煙とが入り交じった中から悠然と現れたのは
聖光神と名乗るアン。
目の前で膝を付き呆然としているのは
闇神ガウ・ソルフェージュ。
ゴォオオオオーーーーーーー
ドドドドドォォォォオオーーーーーーー
ガッッッッガガガガガガーーーーーーー
周囲では竜王と聖光神の眷属が戦っている。
「さて、お前もワタシの贄となれ、闇の神とやら。
ン? チッーー
「ズ・ディオーゼ・ミリア!!」
ギギュィィギィィィィーーーーーーーー
ギギィィィィィィーーーー
ギギギギギギギギギィィィィィイイーーーーー
万を超える悪霊と悪鬼が地獄に引き摺り込もうと
聖光神に群がるが、
キンッッッッ
ーー古代闇魔法、魔王か」
一瞬で悪霊、悪鬼を始末する聖光神。
「ああ、俺だ。ハァハァ……」
「ククク、ワタシの眷属を倒してきたのは
大したものだが満身創痍ではないか」
「ウルセェェェェーーーーーー!!
その顔で喋んじゃねぇぇぇぇぇぇーーーーーー!!」
「あら、相変わらず怒りっぽいのねリオンは。
ククク、似ているであろう」
ブッチィィィィ!!
理性と感情のタガが外れる魔王。
いわゆるブチ切れた状態。
抜き放った剣は代々の魔王の力が宿ると
言われている真魔神剣「レイロイスカー」
残しておいた剣の力と自身の魂を燃やし尽くす勢いで
後先は考えず超究奥義を繰り出そうとする魔王。
傍らでへたり込んでいた闇神ガウが呟く。
「ダメだ……それでは……」
『いいえ、大丈夫』
突然聖光神から別の声が聞こえ、
同じく聖光神が苦しみ始める。
「ッグ、ッグッッッ!
グゥアアアアアアアーーーーーー」
光の速さで剣を抜き放つーー
ーー全ての現象、事象を無に期す真魔神剣超究奥義
「キングズ・モルト・グローリィィィィーーーーー!!」
時間の流れが止まった様に感じ、
対象の現在、過去を含む全てを無に期す大技。
対人特化の超究奥義が炸裂する。
ッカッッッッッッーーーーーーーー
ッズ……ズズゥン……
ズシャ……
……
倒れ込んでいる魔王と塵となり消滅していく聖光神。
「……クックックッ、まさかまだ生きていたとはなーー
消滅していく聖光神だが話はまだ続くようで、
ーーここまでやるとは正直思っていなかったぞ。
次はもっと強いのを連れて来い。
でないと……滅ぶぞ。
ああ、コイツはパズルを解くようにじっくりと攻
略してやろう。
良い暇潰しになるだろうて。
では少しの間だけ
貴様等のいう平和とやらを楽しむが良い。
愚か者共よ……」
ーーそうやって消え去った聖光神だが、
次の日には神都グローリアスで大戦後の復興のため
指揮を執っていたと情報がはいったそうだ。
影武者の可能性もあるが、
仕掛けては来ないため最大限警戒はしながらも、
とにもかくにも魔王、竜王と極冠国連合軍も
疲弊している訳で、
こちら側も復興に着手し始め現在に至るとのこと。
……
話を聞き終わったタケルの反応を待つゼヒライテ。
海上の宙に浮かびつつ器用に胡座を掻いて
俯いていたタケルが徐に話し始める。
「……バカなオレでも話は良く分かったよーー
サクラはタケルに任せ何も喋らず、
情報を整理しつつ事の成り行きを見守っている。
ーー気になるところはあるけど、
聖光神がこの世界の平和にとって驚異であり
害悪であることはね」
ただ、と続けるタケル。
「ただねぇ……
イタズラなのは良いとして、良いのか?
いや、置いとこう、進まん!
いずれにしても、
なんで腕試しみたいなことすんのかは
皆目検討も付かないし、ワカランままですよ」
その言葉を聞いたゼヒライテは、
「ゑ?」
と、素頓狂な声で疑問の声を上げる。
「いや、だから、戦闘する理由ですよ」
「エ?」
「……いや、だからーー
タケルの言葉を遮り言葉を挟むゼヒライテ。
ーー聞いていないのですか?」
「哈?」
今度はタケルが一般社会では聞いたことのない
素頓狂な声を上げて疑問を返す。
「いや、だから、聞いてないのですか?」
「ハ?」
ダメだ繰り返しだ。
思い直して恐る恐る聞いてみるタケル。
「あ、あの、何をですか?」
「……代理であなたを遣わせるから、と。
力はそれなりだから試してやってくれ……とーー
三拍くらい置いてから、
タケルからすると答えを聞きたくないため
終わって欲しくない時間、一億拍でも二億拍でも、
なんなら永遠に置いてくれて良い時間であるが、
無情にもあっという間に置いている時間は過ぎ、
ーーあなたのお師匠様から」
と最も聞きたくない答えを聞いてしまい
泣きながら絶叫するのであった。




