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~32 ゼヒライテ様と謁見ですか~


 ……



 暫しの沈黙……

 セイラもイブリスもキョトンとしている。

 魔王はなぜか真剣な顔をしている。




『あ、あの……』




 少し遅れて魔王が、その答えを発する。



「ウム……美人だ! と思うぞ」



 真剣な顔を一変させ、

 ニカッとしながら親指を立て力を入れて言うあたり


 ーー真剣な表情とのギャップはなんか意味あんのか?

 (タケル談)ーー


 またその言動から魔王は見たことはないが情報は持って

 いるのだろう。

 

 ただなぁ、この姉弟オカシイときがあるからなぁ……

 まぁサクラに任せよう。



「なんじゃリオン、お主見たことはないのか?」


「ああ、見たことはないんだが

 情報は上がってきてるからな。

 さすがに女だったのはビックリしたがな」



 その後も簡単に説明が続いたが、

 魔王曰く長命で魔法の扱いが得意なエルフをベースに

 丈夫な竜種の素材なんかも加えたそうで、

 その他にも超貴重な物質を混ぜ込んでおり、

 その製作方法は長年の研究成果だそうで

 門外不出とのこと。


 そりゃあそんな体がポンポンできたら大変なことに

 なるし当然だろうねぇ。

 

 いずれにせよ生前から鬱屈していた女体への思いが

 限界突破して、とうとう女の子になってしまえ!! 

 というダグザの夢の結晶である。


 夢の結晶である。

 って言われても理解は出来んけどね!!



「とにかくサクラの意思を尊重してくれるなら、

 オレはなんでも良いよ」


『ありがとう、タケル』



 面と向かってないけど、言われると照れるな。

 などとガラにもないことを思っているとセイラさんが

 サクラに最終確認を行う。



「ウム、ではサクラは了承ということで構わんな」



 オレの方から意識を離して、

 セイラに返事をするサクラ。



『ハイ、宜しくお願い致します。

 まさか肉体を持つことが出来るようになるとは

 思わなかったので本当に嬉しいです……』



 少ししんみりした雰囲気を出すサクラを、

 これまで助けてもらったことを思い出しながら、

 嬉しいような、

 この関係が終わるという郷愁にも似た感情を抱きつつ

 オレはなんとも言えない表情をしていた。


 セイラはそんな顔をするタケルを見て、



「ともかく良かったではないかタケルよ。

 サクラも望んでおることじゃし、

 あとはワシに任せれば良い」



 セイラはタケルの心情を察したのか、

 珍しく真面目な台詞と真面な顔で話す。

 魔王も頷いている。


 まぁオレの懸念は至って他愛のないものでもあるし、

 そもそもサクラがそう望むなら

 反対する理由もないのだが、ひとつだけ疑問がある。



「ウン、まぁサクラの望んでいることでもあるし

 反対する理由はないんだけど、

 ダグザくんはどうすんの?」


『わたしもそこは気になります。

 ダグザ様も簡単には納得されないと思われますが』


 ニヤリと悪い方の顔のセイラが口角を上げる。


「クククク。

 それは万事任せておけと言うておるじゃろう。

 安心して大船に乗っておれい」



 なぁ~んか悪いこと考えてる顔してるなぁ。

 というか悪い予感しかしないなぁ。

 こういう顔の時のセイラさんって碌なこと考えてない

 からなぁ。


 まぁ予想も付かんし、任せよう。

 ちょっと怖いけどな!!



『お任せ致しましょうタケル。

 何卒宜しくお願い致しますセイラ様』


「ウム、任せておけい」



 力強く返事をするセイラに若干の不安を覚えつつも、

 とりあえずは任せてみようと二人して心の中で頷いた。


 結論として明日にでもダグザの本拠である海底洞窟

 ニダベリルへと向かうことで話しは落ち着いた。


 兎にも角にも明日には答えが出ることになり、

 今日はお開きとなった。


 その後部屋でベッドに寝そべりながら天井を見上げ

 「妙なことになったな」と考えていると、

 サクラが申し訳なさそうに話し掛けてきた。



『スミマセン、わたしのことで……』

「いや、それはサクラも望んでることだし嬉しいんだけど

 セイラさんと関わることでサクラのことが

 どんどん知られるのと、

 関わりが深くなってくな……って今更か。」


 クスッと笑うサクラが、


『そうですね。

 今更あのセイラ様との関係を断つことは

 非常に難しいでしょうね。

 まぁ今回はこの流れに乗るほうが良いように思います』


「……そうだな。お世話になってるし、

 恩返し出来るならそれはそれで悪くはないかーー


 ーーん? 恩? ド突かれてる記憶しか……」

『……と、とりあえず明日のことは明日考えましょう!!』

「……そだな」



 引っ掛かかるものがありつつも、

 サクラのためになるならと思考を切り替える

 タケルであった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 翌朝


 慌てふためいた近衛兵の声が高位役職者専用食堂の

 隣にある会議室の通信用魔石から響いた。



「ダ、ダイダロス様! ダイダロス様!! 

 いらっしゃいますか!?」



 怪訝な表情を浮かべるダイダロス。

 現在は会議中ということは近衛兵も知っているはず。

 にも拘わらず通信を入れるというのは

 至急案件ということだ。



「なんだ慌てて、会議中であるぞ」


「そ、それが、リ、リンデンブルム様が!! 

 殿に伝言があると突然ご来城されましてーー


「なんだと!!」


 ーーいま副隊長のマモン様がご案内されて

 おられます!!」



 近衛兵の言葉が終わるか終らないか、

 その瞬間食堂の扉が大きく音を立てて開いた。


 灼熱の髪、身長は130㎝ほど、童顔の美少年、

 瞳は縦に長くドラゴン特有のものだ。


 また顔に似合わない威圧感は凄まじいものがあり、

 事実、会議室の近衛兵は噴水のように汗をダラダラと

 流しており、

 タケルには強気であった案内のマモンでさえも

 落ち着かない様子であった。



 灼熱竜リンデンブルムである。



「伝言を持って来てやったぞ! 

 なんでボクが、ブツブツーー



 しかしどうも機嫌が悪いようで、

 とりあえずは魔王が対応するようで、



「これはこれはわざわざお越し頂き恐悦至極。

 リンデンブルム様」


「挨拶などいらん

 とにかくマザーからの伝言だ! ブツブツーー



 気に入らないのか未だ文句を言うチビッ子は、

 竜の里を代表する5竜王の一角である。


 今は人化しており灼熱色の頭髪を際立たせるかの様な

 真っ白な上下の着衣はスーツのようでもあるが、

 見る角度によって薄く色が変わるあたり、

 明らかに魔法を付与されておりちょっとやそっとでは

 攻撃が通らないように見える。


 ただ見方によっては七五三みたいに見えることは

 二人は口にはしなかった……


 そのチビッ子からマザーこと神竜ゼヒライテからの

 伝言が紡がれる。



「えっ……と、セイラ姉とその連れだ!」



 ゼヒライテからの伝言であるからして、

 恭しく聞く姿勢であった魔王と5将達であったが、

 紡がれた言葉は端折り過ぎて理解が難しく、


 一同静まり返っているとバツが悪かったのか、

 リンデンブルムは横柄ながらもモジモジと器用なことを

 している。


 とりあえずセイラの名前が出たことで、

 即座に副隊長のマモンに

 セイラを呼びに行かせるダイダロス。


 そこへ、爪楊枝のようなモノで歯をシーハーしながら

 会議室に入ってくるセイラ。


「イヤ~スマンスマン、寝坊したわいーー


 寝坊はしてもキッチリ朝食は摂るセイラが

 リンデンブルムに目を留める。


 ーーン? リムではないか! 久しぶりじゃな! 

 息災なようでなによりじゃ。今日はどうしたんじゃ?」


「お~~~!! マザーに聞いてたけど

 やっぱり帰ってたのかセイラ姉!! 

 そちには会いたかったのじゃ!!」



 ニコニコパタパタと嬉しそうに駆け寄ってくる

 リンデンブルムに先程の威圧感は既にない。


 ガバッとセイラの胸に顔を埋めた。

 案の定魔王がとんでもなく引き攣った笑顔でその光景を

 見ているが流石に竜王に物申す訳にいかず

 我慢しているのが見て取れる。


 しかし、その嫉妬の炎に油を注ぐように

 堆いセイラの胸部に顔を埋めながら横目でチラチラと

 魔王の方を見てニヤニヤとしたり顔のリンデンブルム。



「なにか問題でもあるのか? 魔王よ。」



 我慢し過ぎて歪な形になった魔王の顔、

 それでも魔王は頑張った。



「イィィィィエェェェェ、

 ナニモ問題ゴザイマセンヨォォ」

「これこれ、グリグリするでないリムよ」



 セイラの胸を存分に堪能するリンデンブルム。

 これには流石の魔王もーー


 ーー怒りを爆発させることはなく、

 立ったまま顔に歪な笑顔を張り付け白目を剝いて

 気絶していた。


 怒り以上に妄想が拡大し右脳の限界を超えたようだ……




☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 セイラを姉と慕っている火竜の王、

 灼熱竜リンデンブルムはひとしきりセイラを独り占めに

 すると落ち着いたようで、

 それを見計らいセイラがリンデンブルムに尋ねる。



「リムよ、先程の伝言のことじゃがワシと連れがマザーに

 会いに行くということで良いのじゃな?」



 突然の訪問にも拘らずリンデンブルムの好物である

 ミクトラム産の高原牛ドラゴンバッファロー 


 ーー魔法を弾き、物理攻撃も吸収する分厚い毛皮に

 覆われた高度10,000m以上にしか生息しない

 羽のある牛、肉は旨しーー


 を機嫌よく食べながら、



「ン、ング、そうそう、マザーが会いたいって」


「ワシも頼まれておったから丁度よかったのじゃ。

 それのことじゃろ?」


「そうそれそれ。

 なんか確かめたいことがあるって言ってたよ。

 ムシャムシャ、ゴクッ」



 その会話を聞いて先程のショックから立ち直った魔王

 はじめ5将たちも、

 マザーからの呼び出しということに困惑を隠せない。


 挙げ句に、会話中の「頼まれておったから」という

 セイラの発言も気になる。


 またも大慌てでタケルを呼びにやるダイダロス。

 もう気の毒である。

 そして今度はタイミング良く現れることもなくーー


 ーー少し時間を置いてマモンに案内され会議室に

 やって来たタケル。



(なんか呼出し食らったんだけど、

 サクラの話はどうなんのかな?)


『とりあえず後回しになるんじゃないですか?』



 サクラと今後の展開について考えながら、

 リンデンブルムにタケルを紹介しているセイラに

 指を差されながら周りが騒ぐ中、

 どうして良いのか分からず頭の後ろで腕を組み、

 とりあえず扉近くに立ってボンヤリとしていた。


 そんな喧騒の中、

 冷静さを取り戻したイブリスは魔王に近づき、

 コソッとダグザの件について話していた。



「どうされますか殿?」

「そうだなぁ、マザーの呼び出しだからなぁ」


 耳聡く、その会話を聞いたリンデンブルムことリムは、


「あれ? なんか用事でもあったの?」



 急に問いかけられ、この距離

 ーー食事中のリムとの距離は25mほどーー

 でなんで聞こえる? 


 と思いつつも、

 聞かれて魔王はニダベリルでダグザに会う予定が

 あることを伝える。



「そうなの?

 まぁ先にそっちをやっつけてからでも良いと思うけど、

 マザーの用件はすぐに済むって言ってたよ。


 とにかく直接会わないと判んないこともあるしね。

 確かにそいつ変だもん。

 僕が探って全部見えないとか無いし」



 そう言って振り向いたリムは一気に殺気の密度を濃くし

 威圧感タップリにタケルを睨む。


 タケルはリムの方を見て失礼の無いよう

 組んでいた腕を元に戻し軽く会釈する。


 タケルの様子を見ていたリムはその威圧を解いて、



「ほらね、ボクの威圧を受けて普通に挨拶って、

 なんだそりゃって感じだよ」



 エッなんか拙かったか、といった顔のタケルだが、

 先程放ったリムの威圧に平然としているのは

 魔王以外ではセイラだけ。


 5将ですら冷や汗が出る始末、近衛兵は立っているのが

 やっという状態である。



「まぁボクも興味あるし、

 先にマザーの用件が終わらせてダグザの方へ行けば? 

 何の用事か知らないけど面白うそうだったら

 協力しても良いし」



 その一言で、ダグザの方は後回しとなり、

 タケルは神竜ゼヒライテと謁見することに

 なったのだった。




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