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~31 わたしのカラダですか?~



 コアな趣味

 ーーもう微妙では無くなったね……(タケル談)ーー

 をカミングアウトしたダグザであるが

 特に気にする風もなく自身の夢を語っていく。



「ホホォ~良くご存知ですな、さすがは魔王様。

 いやぁ~苦労しましたよぉ。


 ご存知の通り余は生前魔導師であったのですが、

 僧でもあったのです。

 それはまぁ禁欲禁欲の生活でしてのぉーー


 遠いところを見ているダグザ……に見える。


 ーーそれが高じて、

 女性の身体に大変興味がありましてのう。

 色々と調べておったんですよぉ。もうそれならばーー


 セイラはじめ5将や近衛兵も、

 なんだか性的な意味合いは無いような有るような、

 有るようで無いような……

 もうどう反応してよいか分からないので

 非常に微妙な顔をしながら話を聞いている。



 ーーこれを機会にいっそ女性にっ!! 

 と思いましてな」



 両手の拳を握りしめ、

 天井を見上げながらも天井を見ておらず、

 星でも見ているようなキラキラとした目をするダグザ……

 のように見える。


 その姿勢からも語尾が強く結ばれたことでも、

 より強く変態であることを周囲に意識付けた

 ダグザに対して、

 普通ならセイラの鋭い突っ込み

 ーー主にグーパンチやハイキックなど、

 タケルへの飛び膝は珍しいーー

 が入るところだが、

 セイラは何かを考え込んでいるようであった。


 その様子を魔王は訝しげな表情をしながら見ていたが、

 後で本人に聞こうと考え、ダグザに意識を向ける。



「……ウム、そうか。

 変態ということで改めてよろしく頼む」


「いやぁ~、そこは頼むと申されましても。

 そもそも変態ではなく究極の探究心への究極変態

 いや変体、メタモルフォーゼといった感じで捉えて

 頂けると有難いのですが」



 両者変態について若干見解の相違はあったが、

 そんなことはどうでも良く、

 それよりもセイラの様子が気になった魔王はダグザの

 クレームについて改めて謝罪し


 お詫びの印に漆黒(ハイエンシェント)の法衣(ダークローブ)

 ーー光属性魔法の攻撃を75%減衰ーー

 を贈り、ニダベリル王国の入り口である海底洞窟まで

 近衛兵を付けてさっさと送り出した。



「魔王殿、

 今度お会いするときは余に惚れないよう

 気を付けてくだされよぉ~、ハッハッハッハッハッ」



 といった気色の悪い一幕もあったのだが、

 自身が姉貴大好き!! 誰にも触れさせん!!


 とまで思っている極度のシスコン変態のため、

 周囲とは異質の夢を持つダグザの思いはおぼろげながら

 ではあるが理解できないことはなく、

 魔王から特になんの突っ込みもないまま贈り物を貰い

 上機嫌で帰って行った。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 ダグザの帰った後の接見用の広間は、魔王とセイラ

 それにイブリスを残し解散したところだった。


 そんな中、イブリスが口を開く。



「殿、わたくしに何か?」


 ん? と言った目でイブリスを見やり、


「いや、オレと言うより姉貴なんだがな。な、姉貴!!」



 セイラはダグザが帰ってからも考え込んでおり、

 魔王が呼びかけるまで黙り込んでいた。



「ん? おぉイブリス、残ってくれたか。

 ちと聞きたいのじゃがなーー


 考えを整理しながらなのか、

 瞑目しつつ言葉を継ぐセイラ、


 ーーお主のその能力を見込んで、

 ひとつやって貰いたいことがあるのじゃがな」



 少し困惑するイブリスだが、

 すぐに気持ちを立て直し返事をする。



「ハッ、セイラ様のご要望であればなんなりと」


「ウム……お主は付与魔法と呪詛系魔法に加えて

 特に憑依魔法を得意としておったのう」


 顎に手を当てながら腕を組み、

 難しい顔をしながらイブリスを見る。


「ハッ、対象にレイスやゴースト等の魂を憑依させ、

 その体を乗っ取り操るという魔法ですが、

 対象の精神力や魔力が強い場合は抵抗も大きいためーー


「いや、抵抗は無いじゃろう……」



 イブリスの言葉を遮り、

 セイラは誰に言うともなく呟いていた。


 ーーと、申しますと?」



 イブリスが先を促すと、

 いつも自信タップリのセイラが、

 少し不安気な表情で言葉を継ぐ。



「ウム。

 ダグザの新しい身体のことを聞いて

 思い付いたのじゃが……


 ウゥム、やっぱりタケルに確認してからじゃな。

 スマン!!

 

 ちょっと待っておれい、今から聞いてくるわい!!」


 言うが早いか、タケルの部屋へ一気に駆け出すセイラ。



「ちょちょ、ちょっと姉貴!!」



 魔王の呼ぶ声が聞こえるが、

 既に周りの声など一切聞こえないセイラは接見用広間の

 バルコニーから幾つかバルコニーを経由しつつタケルの

 居る客間へ向かう。


 魔王も慌てているが、

 イブリスに至っては会話の最中でもあったため

 茫然としていたが、

 魔王が追いかけるのを見て我に返り、

 自分も後を追うことにした。



「全く姉貴はタケルのこととなると見境が無くなるな、

 一体何なんだアイツ?」


 後追いのイブリスはイブリスで、


「ハァ、

 相変わらず殿はセイラ様のこととなると

 見境がありませんね。


 立場というものをお忘れになられては困るのですが、

 全く、ブツブツーー」



 ブツブツ言う二人ではあったが、

 とにかく見境がないといった似なくても良いところが

 似てしまった魔国トップ2名と重臣1名は

 タケルの元へと向かったのであった。



 幾つかの部屋を経由し、

 上階からタケルの泊る部屋のバルコニーにフワリと

 見事に着地を決めるセイラ。



『タケル、セイラ様……と魔王様、あと1名の方がーー

「ん、わかってる」



 オレは眠い目を擦りながらバルコニーの方を見た。

 ちょうどセイラさんが窓を開けるところだった。



「タケル!! 入るぞ!!」



 入るぞもなにも入りながら言ってるし、

 鍵かかってないのもオカシイし、


 なんでまたバルコニーからなんだよ!!

 んでもって鏡じゃないのんかい!!

 ハァ、ハァ、突っ込み疲れるわ!!

 しかも今度は1人増えて3人だし。



「もぉ~、なに? セイラさん?

 そもそもどっから来るんだよ!!」



 ズンズンとオレの座るベッドに向かって歩いてきた

 セイラさんは突っ込みも聞こえてないのか、

 勢いよく隣に腰を下ろすと勢いそのままに喋り出した。



「タケルよ、お主サクラの身体が欲しくはないか?」



 勢いよく座った際に

 揺れまくる暴力乳に目が行かないように

 必死だったタケルは最初何を言っているのか

 理解出来ていなかった。


 サクラはサクラで、


(……胸ばっかりに意識がいってるのは

 分かっていますからね)



 ゴゴゴ、という音が聞こえ、

 その場にいたら睨み殺されただろう低い声で、

 タケルの疾しい気持ちは見透かされていたようだ。

 

 メチャクチャ見ないように我慢したのに!!

 魔王はガン見してるのに不公平だ!!

 それならオレも見れば良かった……


 などとしょうもないことを考えていると、



「コォラッ!! タケル聞いておるのか!!

 相変わらずどこか抜けておるな」

「ん?」

「カ・ラ・ダじゃ!!」




 ……




『「へ?」』




 オレとサクラはアホみたいな声を出した後、

 セイラさんを見た。


 2人分の声がしたことで 

 イブリスさんも気付いたのかオレの方をジッと見て

 色々と探っているようだ。


 まぁ今更隠しても仕方がないので

 特に隠すつもりはない。


 しかしイブリスさんはイブリスさんで

 これまた美人である。


 セイラさんには及ばないものの充分に攻撃力の高い

 胸部をお持ちで、灼熱の色をしたローブの内側に

 上半身はなにか魔法の付与がされているであろう

 上質の布? で出来た白い長袖の体の線が出るタイプ

 の衣装。


 下は同じく白のホットパンツに長ブーツを履いている。

 しっかしお顔もでございますがスタイル抜群ばっかだな

 ここ、デヘヘ……イカンイカン!


 タケルがそんなことを考えていると、



 ゴゴゴゴゴ……



 ホ、ホントに音が聞こえてるんじゃないの?(汗)


 と、とりあえずサクラは無視して早く返事しないと

 セイラさんはセイラさんでなかなか返答しないオレに

 苛立ち始め、ゴゴゴとなりかけてるし。



「えっと、身体が欲しい? 

 って、そんなこと出来んの?」


 フン、と鼻を鳴らし、

 とりあえず怒りは霧散したようだ。


「出来る!!……かもしれん。どうじゃイブリス?」



 イブリスさんがオレから視線を外し、

 呆れ顔でセイラの方に向き直ると、



「何もない肉体へ魂を定着させるのは、

 私とすればそこまで難しいことではございません。


 そ・れ・よ・り・も、

 なぜ先に仰ってくださらなかったのですか、セイラ様」


 無論敬うセイラさんであるため敬語は使ってるけど、

 ちょっと雰囲気が怖いぞ。



「ス、スマン、イブリス。お、怒るでない」



 おぉ、珍しくセイラさんが冷や汗掻いてるよ。

 イブリスさんには弱いようだな、

 これは良い情報を頂いたぜい。


 チョイ悪の顔になっていると、

 セイラさんが強引に話題を逸らし出した。



「そ、それでじゃな、イブリスよ。

 サクラの存在を認識したところで、どうじゃ? 

 出来そうか?」



 腕を組み、ジト目でセイラを睨んでいたイブリスだが、

 目を瞑って溜息をひとつ吐き「仕方がありませんね」

 と気持ちを切り替え説明をはじめる。



「そもそも魂だけの存在で現世に留まることが

 最も難しいのです。


 留まれたとしても弱い魂は殆どが悪霊などに取り込まれ

 野良レイスやゴーストになってしまいます。


 ダグザ様のような主を持つゴーストやレイスなどは

 恵まれているのです。

 だいたいは悪事に利用され使い捨てられることが

 多いですからーー


 尚もイブリスの説明は続いたが、

 簡単に言うと魂と肉体との相性や属性の相性、

 その他条件はあるものの、

 要は出来るということであった。


 ーーということで、タケル殿に寄り添うその、



「サクラです」



 ーーはい、そのサクラ殿の魂を他の肉体に移すことは

 可能です。

 が、肝心の肉体はどこから持ってくる御積りですか

 セイラ様?」



 ニヤッと悪い顔のセイラは、

 イブリスをジッと見つめると徐に、



「良い身体があるではないか、

 ワシが直々に話を付けてきてやろう」



 …………



 サクラは既に答えが出ているようで、

 逆に何も言わなかったが魔王が口火を切った。



「なんとなく予想は付いたけど……

 ダグザの準備してんのをもらうつもりか?」



 悪びれた風も無くセイラは言う。



「なにか拙いのか? 

 ワシは生前のダグザを知っておるが、

 あんな根暗なアンデッドデビューな奴は今のままで

 充分じゃ!! 


 それよりもサクラに体を持たせた方が

 よっぽど世のためになるわい」



 相変わらず無茶苦茶考えるなぁセイラさん。

 一応彼の夢的なものじゃなかったっけ? 

 サクラも呆れているのが雰囲気から分かる。



「それで肝心のサクラはどうなのじゃ?

 タケルもサクラの身体が欲しいじゃろ?」



 ……



 初めからなんとなく気になってたんだけど、

 なぁんか引っ掛かる言い方するなぁ……

 これに乗ると碌なことにならない気がするぞ。

 なので、無視しよう。


 サクラもなんか黙ってーー


『カラダが欲しい……って、結婚してからでないと、

 ソンナキュウニ……イヤデモ……』


 ーーダメだ、妄想で暴走だ。



 とりあえず腕を組んで瞑目しながら想像してみる。

 サクラが身体を持って横に居るとするーー

 

 ーーセイラさんがオレにセクハラをしてくる、が、

 必死で抵抗するが葛藤もする……

 するとサクラが師匠も信仰するオレの中のエロ神様に

 反応して物理的に、物理的に度突か れ る……


 クッ、色々と大変拙い気がする……

 しかしこればっかりはサクラの意思も尊重したい。

 しかし!!

 今よりも更に拙いことになる気が……



「うーーーーん、うーーーーん、うーー



 タケルがメチャクチャに葛藤していると、

 セイラが訝しげな目でタケルを見ながら言葉を掛ける。



「お主、また変なことで悩んでおらんか?」



 確かに的外れなところで悩んではいるが、

 当然サクラの意思は尊重するつもりのタケル。


 そんな中、サクラは先程の妄想機関車から復活し、



『あの……まずはイブリス様。

 はじめまして、サクラと申します』



 先程までと違いはっきりとした念話で声を聞いたことで

 流石に魔国でも有数の察知・探知能力を持つイブリス。

 サクラの持つ力をおぼろげながらも掴んだようだ。


 魔王も再確認している。



「ほう、これまではタケルに隠れていたのか、

 タケル同様に器が大きいように感じるな」


「はい、サクラ殿の器もですがタケル殿……

 今わたくし共に分かりやすく魂の防御壁(ソウルプロテクト)を解いているようですが、

 あなた、これ……いや、止しましょうーー


 イブリスが言葉の最後に何か呟くが

 誰にも聞こえておらず、


 ーータケル殿も素晴らしい器ですね」


 と続け、何事も無かった様にセイラの方を見やる。

 それを聞き、セイラは満面の笑みとドヤ顔の両方の

 表情を器用に作りながら自慢気に言葉を吐く。



「フッフッフッ、そうじゃろう。

 ワシの眼に狂いはないのじゃ」



 タケルはそれを見て、


 ドヤ顔のセイラさんは置いといてだね。

 サクラはどうするつもりだろう?


 と考えていると、サクラが徐に口を開いた。



『あ、あの~……その御身体は、その、え~……』



 凄く言い辛そうなサクラ。

 珍しいな。


 見兼ねてセイラが問いかける。



「お主のことなんじゃから、何でも言うてみい」



 モジモジするのが伝わってくる。

 意を決してサクラが、もう一度口を開く。



『び』

「び?」



『美人さんでしょうか!?』


 ……


 サクラも女の子なんだなぁと思うタケルであった。




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