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~30 オネェということでよろしいでしょうか~

 


 タケルが寝落ちする少し前ーー



「頼みますよぉ~魔王様ぁ~

 そもそもセイラ様がいらっしゃるなら伝えておいて

 もらわないとぉ~

 

 余はセイラ様のお姿も気配も知らないんですよぉ~

 珍しく広間まで大陸側から誰か来たもんだから

 張り切って我が王国民になってもらおうと思ったらーー


 ーーシにかけるし!!」



 実は割とフランクな関係にまでなっていた

 魔王とダグザ。


 しかし今回は今朝方の洞窟内の一件で復活するなり

 クレームに来城しているダグザ。


 慌ててきたため、同盟の印である漆黒の指輪(ナイトメアリング)

 ーー城手前まで出入り自由ーー

 を忘れてきており、

 骸骨姿のまま第一門で揉めていたらしい……



「もう分かった分かった、スマンと言っておるであろう」



 公の場で口調の戻った魔王は、

 セイラに攻撃したダグザに対して公的にも私的にも

 思うところが多々あったが、


 ダグザに知らせていなかった自身のミスでもあり、

 その鬩ぎ合いが表情に現れ、

 大変可笑しな顔になっていたが、

 キチンとダグザには謝罪を行っていた。


 しかし何度も謝ったにもかかわらず、

 シにそうになったことをかなり根に持っており、

 なかなか引かないようだ。



「いや、スマンのうダグザ殿。

 この愚弟(バカ)が言い忘れておったんじゃ。

 ワシに免じて許してやってくれ」



 渋々といった表情、そう見えるドクロ顔のダグザは、



「ホント、なんですかあの規格外は??

 折角長い年月を懸けて作った転生用の身体が無駄になる

 ところでしたよぉ。


 しかし、まぁ、セイラ様にまでそう仰られたら

 致し方ありませんな」



 表情から判りにくいが渋々といった感じで納得したダ

 グザに対して、

 先程の話で気になるところがあった魔王から

 質問が投げられた。



「フム? ダグザよ、2点ほど聞きたいのだがーー


 と言った魔王は、


 ①タケルとの戦闘について

 ②転生用の身体について


 ーー以上の2点について、応えてはくれまいか」



 別段話すことに問題はないものの、

 どう説明しようかと困ったように蟀谷の部分に

 人差指と中指を当て、

 次に腕を組み替えながら考え、

 それでも説明し難いのか考え考え話し出した。



「会ってすぐにやられましたからねぇ~ウ~ン……

 そうですねぇ~

 まず余の障壁を拳で砕きやがりましたねぇ~


 上半身を一瞬で吹き飛ばされたあの技は魔力が

 ギュッと凝縮されたもののように思えましたねぇ~


 確か「オロチ」とかなんとか、言ってたような……

 召喚魔法のようにも思えましたが定かでは

 ありませんねぇ~


 なにせ見たことも聞いたこともないですからねぇ~

 あんなのは。


 一応これまでは

 解呪されたことすら無いんですけどねぇ~

 揚句にその後すぐに上半身は無くなるわブツブツーー


 ダグザの恨み言は一旦脇に置いて、

 その回答を聞いてイブリスはじめ5将は驚愕

 ーー寝ているティリト除くーー

 の表情で周り者と顔を見合わせている。


 特にダグザは不死の魔物。


 死霊王であるリッチなどの上位にあたり神の領域に

 ーーダグザを見てると面白そうだと呑気なことを

 タケルは思っているが奉じる神は悪神に分類されるーー

 指くらいは掛かっている者なのだ。


 よしんば障壁を突破し、

 その本体を攻撃しても再生速度も尋常ではなく、

 また新たに別の防御呪文も備えているためダメージは

 負っても上半身が消し飛ぶなどということは無い。


 事実ここ数百年、ダグザが不死になってから

 そんなことは一度も無く来る者は軒並み晴れて、

 ではないが不死の王国民へとなっていた。


 そういった理由から驚愕の表情を浮かべる5将。


 その他近衛兵に至っては、非公式であり、

 非承認とはいえ他国の王との接見のため一言も言葉を

 発しなかったが表情は5将のそれ以上に驚いた様子を

 物語っていた。


 そんな中セイラはドヤ顔で周りを見回している、

 相変わらず攻撃力抜群の胸を張りながら。


 そんな中、魔王はというと、



「クックックッ、そうかそうか拳でな。

 しかも聞いたことさえない技ーー


 一拍の沈黙の後、


「どうじゃ? なかなかの手練れじゃろうが」


 ニヤリと口の端を上げてセイラを見る魔王の眼は

 いつものシスコンの眼ではなく、

 強者に向ける気迫が籠っていた。

 その双眸はここにはいないタケルへと向けられている。


 ゴクリ、と魔王の殺気に当てられ、

 誰かが唾を飲む音が聞こえる。


 少々強い冒険者やハンター、

 魔物程度であれば気を失うほど、

 それほどの殺気を平然と漲らせる中、

 周囲の者達は魔王の言葉を待っていた。


 ーー余が一発喰らうわけだ……

 クックックッ、流石は姉上だ。


 どこで見付けてきたのかはまた聞くとして、

 是非とも戦力になってもらわんとな」


 余程嬉しいのか魔王はまだ口元を綻ばせているが、

 次の件もあるので、


「ウム、

 まぁ、タケルのことは姉上や5将達と相談するとして、

 もう一方だがーー


 フッ、と

 殺気を抜いた魔王に周囲の者達もホッとした表情

 ーーしつこいようだがティリトは除くーー

 で言葉を継ぐ魔王を見つめていた。


 ーー転生の肉体とは、

 もしや以前から話に上がっていた例のものか?」


 ダグザも結構な実力者、王の器でもあり、

 先程の魔王の気当たりにも動じていない。



「そうですよぉ~

 余の夢を詰め込んだ理想の肉体。

 あれに魂を定着させれば

 現世での力の制限も殆ど無くなるんですよぉ~」


 ダグザはさっきの話からも神一歩手前である。

 しかも死霊系魔物のトップ。


 現在は現世と幽世の狭間にある幽体に力を蓄えるように

 しており、肉体ーーと言えるかは微妙だがーーは

 生前から使っている骸骨部分、防御魔法などにも

 精通しており生半可な攻撃は一切効かない上に攻撃、

 支援、呪詛系魔法も達者と来ている。


 それでも現世で全力を振るうには制限があるため

 ちゃんと血肉のある丈夫な身体を準備していたようだ。


 遠い目をしながら語るダグザを見て、

 フンフンと頷く魔王。


 先程とは打って変わって

 ニコニコと口元に笑みを浮かべながら子飼の暗部からの

 情報を口にする。



「で、それがなんで女なんだ?」



 言うまでもないがダグザは生前から男である……


 またしても微妙な趣味をカミングアウトした者が

 出現した瞬間であった。




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