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~3 食事と宿代を稼ぎましょう~



 ギルドを出たオレたちは、

 宿代とメシ代を稼ぐため街の外へ向かって

 歩いていた。


 道すがら露店や商店に目を向け情報収集しつつ

 話をする。



(サクラ、壁に掛けてあった依頼書見た?)


『全て取り込んでます』



 あら、さすがだわこのコ。



(さすが、それで宿代とメシ代になりそうな依頼って

 なんかあった?)


『そうですね、草原のゴブリン討伐1体50デルフィ。

 フィーネ湖のリザードマン討伐1体100デルフィ。

 といった辺りが適しているように思います。


 ちなみに魔物の装備や牙などを

 ギルドに買い取ってもらうところは

 前の世界と同じようですね』


 ん?


 とりあえず通貨の単位はデルフィっていうのな。

 それよりも、


(ゴブリンって、さっき倒さなかったっけ?)


『倒しましたね、3体。

 1体は逃げちゃいましたけど。

 ちなみに宿代は70デルフィが相場のようですね』


 さっきのとこまでゆっくり行っても

 30分と掛からない。


(とりあえず戻ってみるかね)


『見に行って残ってれば良し。

 処理されていれば新たに討伐すれば良いのでは

 ないですか?』


(そだな)



 あんましパッパカとコロすのも気が引けるけど、

 まずは拠点とメシだしなぁ。

 ちょっとヤバイぐらいお腹減ってるし。


 とりあえず街道へ出て元来た方向、

 湖の方へ歩き始める。


 しばらく歩くとサクラと同時に気配を拾う。

 まだ見えてはないが、転移してきた場所よりは

 街の方に近い。



『……いますね、4体』


(ん、確かに。

 地上に2体と人かな……あと飛んでんな)



 確かに飛んでいる気配を感じる。

 その場所が見え、すぐに正体が判った。


 ハーピーだ。


 この世界でどう呼ぶかは知らないが

 人間の頭に鳥の体。


 もちろん翼を持っており上空から獲物を

 ヒットアンドアウェイで攻撃する。

 

 もしくは獲物を上空まで運び落として絶命させる。

 飛べない者からするとかなり厄介な魔物である。


 荷馬車を前に剣を横に薙いだり、

 振り回したりしつつ

 ハーピーを追い払っている人が居る。


 もう一人は……いま倒れた。

 死んではいないようだが、

 ハーピーの翼に吹き飛ばされ

 馬車の荷台に頭をぶつけて気絶したようだ。


 その一匹が剣を振り回している男に

 標的を変えたことで

 男は2匹のハーピーを相手にすることになった。



(こりゃあちょっとヤバい感じだねぇ)


『他人事みたいに言ってないで

 早く助けに行ってください!!』



 サクラに急かされた訳でもないが

 確かに早く行かないと拙いことになる。


 まだ200メートルぐらいはあるが、

 まぁ無いも同然の距離だ。


 背中のリュックから剣を一本取り出す。

 前の世界でオレと契約を結んだ

 雷の精霊が剣化したもの。


「ユッコ、頼む!」


「かしこまりました」


 剣に向かって叫ぶと一瞬で剣から雷化。

 稲妻に代わり4体のハーピーに襲い掛かる。



 バリッッ!!



 恐らく痛みを感じる間すらなかったであろう。

 雷に打たれた黒焦げの死体が2つ出来上がった。



「サンキューユッコ!! さすが速いねぇ」


「お安い御用です」



 傍らに戻ってきたユッコ


 ーーちなみに趣のある落ち着いた膝上の丈の

 ワンピースドレスを着用、色はらしく黄色ーー


 に礼を言い、

 剣化してもらい直ぐにリュックへ仕舞う。

 直ぐ仕舞わないと魔力デカいからなぁ。



『時速で言うと1,220キロ超なので、

 約200メートルであれば概ね0.6秒で到達します。

 人間であれば一瞬という表現で良いと思います』



 相変わらずこういった解説は

 正確だから良いんだけど、


 ただ、こういう解説の後のドヤ顔サクラ

 ーー見たこと無いけど(タケル談)ーー

 は、得てして勉強しろ説教に繋がることが多いので

 受け答えを考えないと

 暫くクドクド言われることになる。



「毎度正確な解説、スバラシイ」


『大したことないですわ。

 タケルも雷の速度なんかは

 学校でも習ったでしょう?』


「い、いや~、え~っと確か……

 オレって体弱くて学校は殆ど行ってなかったような

 気がしないでもないなぁ、エヘ♡」


『毎日無遅刻無欠席でクラスの皆さんが食中毒で

 学級閉鎖なのに知らずに一人だけ

 出席してましたよね』


「なぜに?……そ、そうだっけ?」


『ハァ、もう、

 どの世界でも科学知識は

 色々な場面で役に立つことがあるんですから、

 基本的なことは押さえておかないと。

 だいたいタケルは云々カンヌンーー



 まぁた始まったよ、ハァ。


 まぁいつもの遣り取り、

 お互いの関係の潤滑油みたいなもんだけどな。


 そんな遣り取りをしている内に

 ハーピーに襲われていた馬車の傍らに着いた。


 男は一瞬なにが起こったのか理解出来ず、

 その場に立ち尽くしていたがタケルが近付くと

 ポカンと口を開けたままタケルを見てくる。



「なんだったんだ? 今のは……」



 オレの顔を見ながら尋ねてくる。

 まだ少し動揺しているようだ。



「えーと、とりあえず大丈夫? オッチャン?」


 ハッ!!

 と我に返ったようで男が話しかけてくる。


「オウ!! おめぇさっきの見てたか? 

 雷みたいのがビャッ!! と光ったと思ったら、

 いきなりハーピーが2匹とも黒焦げに

 なってるじゃねぇか!!


 雷の魔法か? なんだったんだ?」


 元気だと結構喋るんだな

 この強面の厳ついオッチャン。


 ただオレたちがやったことだとは気付いてないので

 そのままにしておこう。


「ああ、見た見た!! すごい光ってたよ」



 雷神ユウコ。

 オレたちはユッコって呼んでるんだけど

 前の世界で契約した6大精霊の内の一柱だ。


 戦った時はこんなに大人しくはなかったけどな!!

 何回シんだと思ったか……

 まぁ今は良い仲間になってくれている。


 申し訳ないけどオッチャンの質問は

 スルーさせてもらいました。



「おお、なんだか分からんが助かったんだから

 嬉しい限りなんだが……」



 一瞬色々と思考を巡らせたようだが、

 恐らく分からないので面倒臭くなったんだろう。

 そんな雰囲気のオッチャンだ。



「まぁ、考えてもしょ~がないか!! 

 ところでボウズはあれか?

 助けに来てくれたのか?」


「い、いやぁそのつもりだったんだけど。

 あまりお役に立てなかったようでスミマセン」


「いやいや、

 街と逆方向だし

 気が付いて戻ってきてくれたんだろ? 

 その気持ちだけでも嬉しいぜ!!

 ありがとな!!」



 悪いことしてないんだけど、

 なんだか罪悪感を感じさせるほど真っ直ぐで

 快活なオッチャンだなぁ。


 こういうオッチャンは好きだなぁ。


 身長は170cm無いぐらいか?

 ガッシリした上半身。


 というか中に鎧を着こんでるんじゃないか

 というぐらいの体格。


 皮のプレートアーマーを付けているが

 充分に中身が想像できる腕の筋肉が見える。


 顔は無精髭があり、

 それが浅黒い肌にピッタリと嵌っている。



「俺はガトーってんだ!! オマエさんは?」


「タケルと言います。よろしく、ガトーさん!!」


「おう!!

 よろしくついでにメシ食ってけよタケル!!

 そこのフィーネの街で食堂……兼酒場だわ!! 

 メシでもご馳走するぜ!!」


(マジで!!

 うわぁ腹減ってたから助かるわぁ~

 いい人だぁ~滲み出てるぅ~)


『ほんと良さそうな人ですね!!』



 力強く相槌を打つサクラ。

 サクラは腹減らないし関係ないんだけど

 一応いつも心配してくれている。


 現在のオレは食べ物や宿にも困る一冒険者である。

 服と少しの生活雑貨があったか?


 あと剣以外は何もリュックに入れてないからねぇ。

 あっ、他もちょっと入ってたっけ?

 役に立たなそうなのが……まぁ良いか。


 とりあえず、そんな急に行くとかって

 なるとは思わんしねぇ……

 

 ホント考えるとムチャクチャだな、師匠!!

 と言っても師匠だしなぁ、しゃあないかぁ。

 

 といったことで、

 こういったお申し出は有難くお受けする。


 修行から直行だったから

 メチャクチャ腹減ってるんだよぉぉ!!



「ガトーさま、誠に有難うございます」


『感謝感謝(拝んでます)』


 困惑気味のおっちゃん。


「お、おおう、様はやめろ、様は!!

 しかもなんかワカラン格好だし、


 ーードゲザしてます(タケル)ーー


 泣きそうじゃねぇか大袈裟だな!!

 とにかくメシ行こうぜ、俺も腹減ってんだよ!!」



 ガバッと立ち上がって、

 オッチャンの手を握って再度感謝。



「ありがとう、ガトーさん!!

 ホント腹減ってたんだよぉ!!」


「ガッハハハ!!

 まぁオマエさん弱そうだし

 ギルドの依頼も難しそうだもんな。


 まぁずっとって訳にはいかないが、

 どうしても困ったら言ってこいよ。

 仕事ぐらいは回すからよ!!」



 一応オレは身長181cm

 オッチャンよりは高いんだけど、

 ガタイが違うんだろうと思う。


 冒険者は確かにガッシリして見るからに強うそうな

 感じの人が多かった。

 

 筋肉はそれなりについてるんだけど、

 ギリシア神話の彫像みたいなのが強いというか

 強そうに見えるからね。


 弱そうに思われるのも仕方ないな実際オレは弱い。

 3年経っても一回も師匠に勝てないどころか

 一発も当てられないんだから……


 色々と思っているとオッチャンが勘違いしたようで



「いやいやスマンスマン。

 弱そうだって言ったから気にしてんだろ?

 俺は思ったことすぐ口にしちまうのが悪いクセでよ。

 スマねぇな!! 気にしないでくれ!!」



 フォローのつもりだったんだろうけど

 「思ったこと」って言うてるやん!! 

 よけい落ち込むわ!!


 まぁそれよりずっと気になってることもあったので

 オッチャンに伝えよう。



「あっ、と違う違う。

 確かに弱いからそれは良いんだけど……」


「ん、どうした?」


「さっきから気になってたんだけど、

 ガトーさん……後ろの人忘れてない?」



 後ろを見て目を剥いたガトーさんを手伝って、

 気絶した魔術師かな? の人を馬車に乗せ、

 傷にポーションをかけた。


 あとは街の施術院で回復してもらえば問題ない

 とのことだ。


 ちょうど太陽が中点から西へ傾いたところだ。

 オレたちはお言葉に甘えて、

 ガトーさんの店で食事を頂くことにした。



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