~28 そろそろ真面目に話しませんか(プンプン)~
客間にある鏡ーー姿見であるため全身を映すよう
かなり大きなものであるーー
から顔を半分出して泣いている
魔王はとても魔王に見えない。
「ハァァ、何をやっておるのじゃ貴様は?」
セイラはその情けない姿を見て、
深い溜息を吐いた。
「だってよぉ~姉上ーー
遮って言葉を次ぐセイラ、
「だってもクソもあるか!!
例えワシがタケルに、こぉーんなーー
と言うなりベッドの上から手も足も使わず
タケルに飛び付いてくる。
「ウワッ!! コワッ!!」
慌てて避けるタケル。
床に着地後、タケルに背中を向けた体制から
バク転の要領で飛び付いてくるセイラ。
ーーとか、こぉんなっ!!ーー
「ヒッ!! キモッ!!」
ーーとか、こーんな!!ーー
「ヤバッ!!」
ーーこんな!!
「キショッ!!」
ーーこほんな!!
「ムリッ!!」
…………
ゴゴゴゴゴゴーー
ーーエッ? 何の音??
『セイラ様……そろそろ真面目に話しませんか』
「「ヒイッ!!」」
「?」(魔王)
エクソ◯ストセイラの奇行は
暗黒面に落ちたダースなんとかみたいな
サクラのお陰でなんとか収まったのであった。
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そしてやっとこさ説明が始まりーー
ーーといった様子でのう、
どうも先の大戦前から奴には奇行が目立ってな。
奇行といっても、この愚弟のような行動を
言っておるのではないぞーー
アンタもだよ!!(タケル談)
例えばじゃが、
それまで馴染みじゃった聖光国の宰相やら
大臣やらがゴッソリおらんようになってな。
いつの間にやら全くワシらの知らん者達に
なっておったしのぉリオンよ」
「奇行じゃねーよ!! まぁ置いといてだな。
それもそうだしよぉ。
王にも可笑しくなっちまった奴がいるしな」
自覚のない姉弟は置いておきたいが、
話はセイラが進めているので尚続く話をとりあえず
聞くタケル。
「ウム、その通りじゃ。
まず大戦に参加せんかったのは、獣王国アリア、
岩山国エルデと中小国での、
結局アリアもエルデも攻め込まれるんじゃが、
それよりも海洋国がのうーー
セイラの話では、
海を統べる海洋国の精霊王ミルリールがそれまで
仲の良かった岩山国エルデの地の精霊王レイアと
袂を別ち、
寧ろあまり仲の良くなかった聖炎国ヴァッケンの
ヴルカヌス王達と連携を取り
魔王と戦ったということであった。
ちなみに竜の里のマザーは出産中で竜王たちが
魔王軍と共に参戦したようで、
また後方支援で万年凍土の国カシスグレイシアが
協力してくれたそうだ。
簡単にまとめると
竜の里、魔国、カシスグレイシア
VS 聖光国、聖炎国、海洋国
といった情勢であったとのこと。
で、現在も基本的には
上述の構図から変わっていない。
そして大戦後は以前セイラが説明した通り、
聖光国は聖光教への改宗を迫り従わない場合は
聖戦と称し蹂躙する。
(フ~ン)
珍しくキチンと説明を聞くタケルに
セイラは続けた。
「聖光国にも当然間者を送っておるが詳しいことは
分かっておらんのじゃ」
う~ん、オレの頭じゃ限界か。
な~んか引っ掛かるんだよなぁ……
後でこっそりサクラに聞いてみよう。
そう考えていると、黙って聞いていた
ーーなぜか鼻の孔を広げているーー
魔王の後ろ頭を軽くド突きつつ、
セイラさんが話を続ける。
軽く打っただけだけど魔王の顔が減り込んで
高そうなテーブルに罅が入っている……
「全くこ奴はこういうところは
全く変わっておらんの。
ホレ、続きはオマエが話せ、リオン」
魔王は少し痛がるも嬉しそうに続きを話し始める。
痛いのに嬉しいって変態確定だけどな。
「ッテテ、そうそう、姉貴の言う通りなんだよ。
とにかく近い内に攻めてくるだろう聖光神の野郎を
ブッ倒すにはとにかく強い奴がいるから
お前には力になって欲しいんだよ。
さっきの手合せでお前の強さは、まぁ分かった。
オレに一発喰れた時点で合格だしな!!」
魔変態王、いや変態魔王に褒められて
勧誘されたぞ。
普通なら即断即決で断るんだけどな。
変態が感染ってもイヤだしね!!
まぁ冗談は置いといてだ。
どうしよ? と言っても今更ねぇ……
とタケルが考えているとサクラから、
『今更セイラ様と別れて動こうが一緒に行動しようが
聖光神とやらは止まらないでしょう。
折角のご縁ですしここでお断りして
セイラ様が痛ましい姿になるのも
寝覚めが悪いのではないですか?
……そ・れ・に、
タケルの好きな美人+胸囲極大ですしねぇぇ。
好きでしょタケル?ーーゴゴゴゴ……』
オレにだけ聞こえる念話でサクラが
意見を出してきたのは良いんだけど最後の方は
勝手に想像して勝手に怒ってるし……
サクラってたまにこうなるよなぁ。
……放っとこう。
腕を組んで難しい顔をしているタケルの反応を見て
セイラは、
「聖光神……
あ奴の目的が未だハッキリせんが今度こそワシらを
皆殺しにするつもりなのは間違いない。
それこそ老若男女問わずじゃ!!
それはワシの手練れの部下が仕入れた
唯一の情報じゃし間違いない。
……そ奴はもう生きておらんがの」
珍しく寂しそうに遠くを見ながら話すセイラ。
皆殺しかぁ……
そうなったら、
まったり薬草採取とか言ってる場合じゃないよな。
ガチで戦ることになっても
構わんっちゃ構わんのだけどねぇ……
それよりだな。
う~ん……
さっきも思ったけど、どうも今回は引っ掛かる。
なんにせよ展開が早い。
こっちきて何日目だ? 4日目か?
いくらなんでも早すぎる。
なにか裏があるような気がしてならんのだよ明智君。
誰かおっちゃんに電話だ!!
色々混じったし危険だ……止めとこう。
真面目に考え込みつつも、
しようもない想像を混じえていると、
ふと先程まで黄昏ていたセイラの方から、
「ダメかのぅ」
考え込んでいるタケルを上目使いで
人差指を唇に当てて
媚びるようなわざとらしい視線を投げてくる。
魔王はそんなセイラを見て目がハートになったり、
タケルを見て全てのものを浄化する毘〇門天さま
みたいな顔になったりと忙しそうだ。
魔王はオレを誘っといて、
一体何がしたいのか分からんな。
『とりあえず、一晩考えれば如何ですかタケル』
「!!!」
「うん、そうだねぇ、眠いから頭回らんし」
「そうじゃな。まぁ今日は色々と盛り沢山じゃったし
ひとまず寝るのが良かろう」
とりあえず早く寝たかったタケルが
セイラに賛成し、締めに入ろうとしたところで
魔王が怪訝な顔をしながらセイラに話し掛ける。
「??? あの、姉貴?? ……今の誰?」
あっ!!
とお互いの顔をゆ~っくりと見合わせた
セイラとタケルは、苦笑した後、
「言うてなかったの!!(テヘペロ)」
オレはテヘペロしてないからな!
わたしも地震体験者ですが色々と大変でした。
少しでも早く復旧復興することを祈っておりますm(_ _)m




