表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/250

~23 王都到着~



 予め周知されていたからなのか、

 転移先周辺は王都ミクトクーリアの住人で溢れていた。


 王城第一門に程近い平民街の中にある公園と思しき広場

 のど真ん中である

 

 いきなり王城に転移しないのはタケルがいるからである。


 また軍の兵士が転送魔方陣の周囲を警備しており、

 そんな人集りの中心にタケルたちは転移してきていた。


 そこで一緒に転移魔方陣から現れたセイラを見て

 歓声が上がる。



「おお~!

 確かにセイラ様じゃあ、

 なんと本当に帰っておいでとは!!」


「もうお会い出来ることなど無いのではないかと

 思っておりましたが、本当にウゥーー


「オオ!! ん?

 しかし人族がおるが誰じゃあれは?」


「知らんなぁ、しかし珍しいではないか!!

 外からの客とは!!」

「あまり強そうではないの」

「なんだかみすぼらしい奴だな」

「すぐ死にそうじゃのぅ」

「しかしセイラ様とどういう関係なんだ?」



 などなど、セイラさんを知っている人たちも

 結構いるようで、辺りは歓喜と嗚咽で複雑な空気が漂う

 空間となっていた。


 て言うか、伝わんのはやっ!!


 まぁなんか伝達方法があるんだろうけどさぁ。


 それからミスボラシイってなんなの?

 そ、そんなか?? まぁいいんだけどね(グスッ)



(コソ……結構な人気だなぁセイラさん。

 でもご高齢の方が多いよねぇーー)


『そ、それ以上考えてはいけませんよ!!』



 サクラの注意にハッと我に返るのが早いかどうかという

 ところで、

 キッッと夜叉一歩手前

 ーーどんな顔だよ!!(タケル談)ーー

 で、こちらを睨みつけるセイラ。



「お主……また失礼なことを考えておったじゃろう」


 ウッ、息が止まるタケル。


(……なんでバレるんだろう? 顔に出てんのかな?)


 根が素直であることで隠し事の出来ないタケルは

 経験値からくるであろうセイラの勘の良さに舌を

 巻きつつも、取り敢えず誤魔化してみる。


「メッソウモナイデゴザルヨ。」


 ジト目でこちらを凝視するセイラ。


「フン、いまは急ぎ弟に会わねばならんからの。

 その可笑しな口調も2回目じゃな

 ーーッチ、よく覚えてやがるぜ!!(タケル談)ーー

 貯金しておいてやるから後でじっくりと訳を聞かせて

 もらうぞ、覚悟しておけよ」



 ニヤッと悪い顔のセイラ。


 その顔を見たダイダロスはじめ兵士と周りの住民たちは

 その美貌とのギャップに萌える者有り、

 引く者有りと様々な反応を見せていたが、

 兵士たちは職務に忠実であろうとしており目に見える

 ような反応はなかった。

 ーーエライ!!(タケル感想)――

 そこで、どちらかというと引き気味のダイダロスが、


「と、とにかく貴様はここへ残ってもらう、おい!!」


 部下の兵士が二人、


「一旦、第一門の待合所までお送り致します」


 そう言ってタケルを案内しようとする。

 セイラからは、



「すぐに迎えをやるから、少しの間寛いで待っておれ、

 丁重に扱うのじゃぞ!!」


 と、案内の兵士にも声を掛けた。


 またタケルを安心させるように薄く微笑を口元に湛えた

 ものだから、周りの反応は言うまでもない。


「おお、あの微笑、ウチのカカァを質に入れてでも

 眺めていたいもんじゃあ」

「ハァァ、良いものが拝めたわい、

 ナンマンゴニョゴニョーー


 目を細めてハート形にしたり、中には何かどこかで

 聞いたようなことを口にしている者も居る。


(だ、誰だ? というかどういう翻訳だ?

 ナンマンダブって聞こえたぞ!?

 あと、カカァを質にって、質!?)


 タケルは住民の反応を聞いて困惑していたが、

 サクラは少し違うところが気になったようだ。


『ハァ、しかしどうしてこうも男性は老いも若きも美人に

 弱いんでしょうねぇ、嘆かわ……しいっっ!!!!』


 語尾の『しい』が鋭く発音され、

 こっちに鋭く振り向いたように思えたタケル。


 もちろん肉体の無いサクラがそんなことを出来る訳が

 ないのだが、

 そんな幻視を見ているような錯覚に囚われ咳き込んだ。



「ゲッホ!! ゴホゴホゴホッ!!」



 大変なとばっちりである。


 急に咳き込んだタケルを不思議な顔をして見ていた

 セイラだが、ふっと目を細めたあと城を見詰めると、

 真剣な顔付きになりダイダロスたちと共に遠いような

 近いような距離に見える城へと歩き出した。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 魔国ミクトラム

 王都ミクトクーリア 王城アドラ城


 アドラ城に入るには、決まった通行証が必要である。


 その通行証と門番の持つ通行証検査魔道具を合わせ

 ーー 一致すれば白く、不一致であれば赤く光るーー

 問題なければ入城許可が下りる。


 また街から見て遠いような近いような距離感が判らない

 アドラ城は特殊な防御壁で空間を歪めており、

 転移などで王城内へ通さないためのひとつの

 セキュリティシステムとなっている。


 通行証はその影響を受けなくするための解除システム

 である。


 ダイダロスに案内され、王城の第一門から第三門までを

 通過し、まずは食事との希望で勝手知ったる

 城内の高位役職者専用の食堂に着いたセイラは、

 食事を供され弟である魔王を待っていた。



「申し訳ありませんセイラ様ーー


 そう言って声を掛けたのは魔王麾下(きか)

 5将を纏めるリーダー格の智将であるイブリス。

 魔法、呪法を得意とする神官である。


 ーー竜族との会議故、途中で外す訳にもいかず

 申し訳ありません。


 本日の15時、早ければ14時には戻られる予定では

 ございますが念のため迎えの者と共に連絡には

 向かわせておりますので暫しお時間頂戴できますよう」



 魔王はマザーの棲む竜の里へと出張の会議だそうで、

 これだけは外せない用件らしいが、

 今日のお昼頃には帰ってくるとのことである。


 現在、時刻は10時少し前、

 地球で言うところの8時半頃と言える。


「ウム、分かっておる。

 それよりも竜族との関係はうまくいっておるのだな」


「ハッ。

 それはもうセイラ様のご尽力の効果が今もって

 働いております故」


「そうか」


 セイラは少し寂しそう、

 というより申し訳なさそうな顔をして目を伏せた。


「マザーには無理をさせておる故申し訳ないのう。

 いずれにしろ顔を出さねばならんが……

 元気かのうマザーは」


 誰に言うともなくボソリと呟き遠くを見る。


 珍しく黄昏ているセイラにその呟きへの返答があった。


「グズッグス。

 マザーはゲンキデス、セラさま。

 いつもセラさまがモドテないかキキマス」


 こちらも5将の一人ティリトーー

 ダイダロスと同じく巨人族だが更に少し大きく

 5mほどある。


 力はダイダロスよりも上、スピードは大きく劣るが、

 ダイダロスとの大きな違いは魔法が使えないという

 ことだ。


 しかし大地に足が着いてさえいれば、生まれた時から

 備わっているスキル「大地の精霊の加護」が働くため

 土属性に類するスキルが使えるのだ。


 地上においては無類の強さを発揮する。

 ちなみに同じ巨人族だがダイダロスとは違う種族の

 巨人である。


 そのティリトが泣きながらセイラに応えていたのを見て

 他の二人も何とも言えない複雑な表情でそれを

 見守っていた。


 悲喜交々、様々な感情が渦巻く王城であった。

 一方タケルはというとーー



☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 ……




 シーン




 とした、

 王城の第一門、城の最外壁部にある入口から程近い

 門衛室のすぐ後ろにある学校の教室程度の広さの中

 にある部屋の一室、罪人の取り調べ等に使われる部屋に

 通されていた。



 カッツ、カッツ、カッツ、カッツ、カッ!!

 カッツ、カッツ、カッツ、カッツ、カッ!!

 カッツ、カッツ、カッツーー



 部屋の外側にひとり、部屋内にひとり、

 部屋内のひとりは、ここへ通されるなり話しかけて

 みたが……




 シーン




 となったままで、

 扉の外側の兵士が行ったり来たりする足音だけが木霊

 することとなっている……



(ウ~~ム。

 いきなり取り調べ室っぽいとこもビックリしたけど、

 無視か(ガーン)……だけどなにより……ヒマだ)


『ヒマって……

 まぁその通りなんですが。

 でも……カツ丼出るかもしれませんよ!!』


(出るか!!……出るかな??)


『言っておいてなんですが、出ないでしょう』


(ハァ、だよねぇ)


『まぁとりあえずは返事があるまでの辛抱ですね』


(まぁ仕方ないか。

 サクラが話し相手なってくれるから、

 考えたらいつも通りって気もするし)


『フフッ、そうですね。』



 久しぶりとは言えないが、

 ガトーの宿を出てセイラと出発し洞窟を抜けて、

 概ね丸二日間はセイラと行動を共にしていたため、

 二人きりのいつもの感じに戻ったタケルはすることが

 ないとは言え、少しホッコリした気分ではあった。


 それ故リラックスもしているので、



(ところでさぁ、気付いてたサクラ?

 ダグザくんって結局一度もオレ達から返事してもらって

 ないって)


『気づいてましたけど、

 あまり相手のことをバカにするようなことは

 言うもんじゃありませんよ』


(いやバカにしてる訳じゃないけど、割と良く喋る人?

 って印象受けたんだけど、口調は威厳を保ったままで

 こっちの返事も聞かず喋り続けてんのを思い出すと、

 よけいにちょっと……ププ)


『タケルの言う通りなんですけど、不謹慎ですよ』


(でも、どうせシんでないしダグザくん。

 あの状態でもかなり魔力を残してたから。

 あの下半身にあった核を完全に消滅させない限り

 修復して2日もありゃ復活するでしょ。

 少し削っただけだし)


『ま、まぁそうですけど』


(だから、復活したらもう一回会ってみたいんだけど、

 変わらずダークキングみたいな感じで喋んのかな?)


『まぁ、ああいったご自身に酔われる感じの方ですから。

 物言いや話すリズムは変わらないでしょう。


 そうですね、前回の恨み言を延々と言われ、

 また同じことになる気が……します。

 ですけど、揶揄ってはダメですよ。

 後々面倒なことになるんですから』


 これまでの経験を元に釘を刺すサクラ。


(でも揶揄ってるうちに打ち解けるパターンってのも

 あったろ?)


『ええっ……ハァ……

 まぁありましたけど、友人になるつもりですか』


(実は結構面白い人だと思うんだけど、無理かなぁ?)


『タケルはどういう基準で友達選びをしているのか

 一度しっかり話し合わなければなりませんね』


 タケルが笑いそうになったり、眼を見開いて

「ウンウン」と頷いているのを見て不審な顔をする

 部屋内の兵士。


(変な奴だな? どこかおかしいのか?

 セイラ様のお連れとういうことだから取り敢えず軟禁で

 済んでるが本来なら密入国で即牢獄か打ち首だぞ)


 といったことを思われているタケル。


 更にタケルは傍から見るとひとりで頭の後ろで腕を組み

 背もたれに体重を掛けイスの後ろ足2本でバランスを

 取りつつユラユラと揺れている状態にあった。


 いかにもフザけた態度に見えることが

 兵士の心を苛立たせている原因になっていることが

 分かっていない……


 そんな状況とは露知らず、

 タケルは変わらずサクラとの会話を楽しんでいた。


(ーーでだな、オレがやったんじゃなくて戦女神の

 アイフェスさまの仕業だったって判った時の、

 あの時の師匠の顔見た!?)


『ップ、フフ、もう、やめなさい、プッフフ』


(クククク、サクラも笑ってるじゃん!

 え~と、あれ、ムンクのえ~と)


『フ、プフフフ、ムンクの叫びでしょう。

 しかも……お師匠様、白目、クフフフ』


 ……


『プフッ、フフフフフ、クスクスクス』

「シロ、メ……ギャーッハハハハハ!!」


 堪え切れず突然弾けたように笑いだしたタケル。



 バターン!!



 とイスが後ろに倒れ、しこたま頭を打ったタケルだが、

 頭は気になっていない様子で、それよりも頭ではなく

 お腹を抱えて倒れ込んでいる。


 突然のことに気が触れたのかと思い、

 目を見開いたまま慌てて兵士が駆け寄るが、

 先程からのタケルの態度に些か苛ついてもいるようで、



「貴様!!

 さっきから見ておればセイラ様への態度もそうだが、

 不敬不遜な態度!! 少しは大人しくせんか!!」



 そう怒りをぶつけるが、床に倒れたままお腹を抱えて

 涙目になっているのを見た兵士は少し心配になり

 声を掛ける。


 いかに態度が悪かろうともセイラが連れてきた者であり

 扱いが決まるまではシなれでもしたら困るのだ。



「お、おい、大丈夫か、どこか痛いのか?」


 タケルは涙を浮かべ兵士の問いに答えた。


「おなかが……イタイ、オモシロ……ス、ギ……」


「……」


 全くの予想外の答えに固まる兵士と、

 全く緊張感のないタケルは、

 どこまでもマイペースであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ